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000 プロローグ
星一つ見えない曇り空の下、少年は必死に走っていた。何度も転びそうになりながらも、そのたびに立ち上がり、坂道を駆け上がる。母が最期に告げた「逃げなさい。できるだけ遠くへ」という言葉だけが、息が上がり、足が鉛のように重くなっても、彼を突き動かしていた。
がむしゃらに走り続ける少年の耳に、地響きのような蹄の音が届く。それはみるみるうちに近づいてくる。振り返ると、燃え盛る故郷の炎を背に、不気味な影が馬を駆って迫っていた。
その光景に、得体の知れない恐怖が少年を襲う。「逃げなければ」と本能的に感じた少年は、道を外れ、深い藪へと身を隠した。再び藪の中を走り出し、転びそうになりながらも走った。次の瞬間、視界が突然開けたかと思うと、地面が消えた。一瞬の浮遊感の後、激しい衝撃が全身を襲い、少年は意識を失った。
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