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72品目 宇宙一のインフルエンサー?

「フードー……ファ……ファイー………ター…」

「黙れぇ!」

テンペラーは短剣で地賊団の魔物を一刀両断した。

魔物は立ち尽くしたまま粒子状に消滅する。

「雑魚め……アゲアゲに水を差すものは何であれ容赦はしない。」


テンペラーが立ち去ろうとした瞬間

「ガ…ギッギギ……」

「ググゴ……ガ…」

2体の魔物が背後から同時に飛びかかってきた。


「まだいたのか。」

テンペラーはそれを気配のみで避けながらテンペレスト・オブ・ヘヴンを銃モードに変形させる。


「消えろ。」

そして振り向く事なく銃口のみを後ろに向け彼らの頭を貫き消滅させた。


のも束の間

「ゲゲゲゲゲギギグ…………」

足元にまた2体魔物が現れる。


「ガゴガガギガガ…………」

2体の魔物はテンペラーの足にしがみつき転ばせようとしていたが

「…………」

テンペラーは前を向いたまま無言で2体を射殺する。


その後も

「ゴッグッゴ……!」

建物の屋根から出てきた4体。


「ギギッゲゲグ!!」

前から全力疾走してきた1体。


「グギ……ギ…………ゲゴ!」

地面から足を伸ばしてきた3体などと立て続けに魔物がテンペラーを襲う。


「こんな雑魚の相手などどこがアゲアゲであろうか……」

不満を漏らしながら時に土手っ腹を打ち抜き時には真っ二つに切り裂き難なく捌いていく。


「一体なんの意味があるんだ……?コレに。イライラがアゲアゲだぞ。」

テンペラーが呟いていると


「うん……?」

人々が逃げた影響で喧騒の消えた街から再び音が漏れる。


「これは……アゲアゲの予感!」

野次馬のようにアゲアゲに対する好奇心剥き出しで音の方へ向かうと


「これは……」

そこには重武装した憲兵とその何倍もの大軍勢で街を荒らす地賊団達がいた。


(今までは学園にあの化け物が出るとすぐ兵士が来ていたがなるほど……これの対処に追われていたのか。)

テンペラーは何故か魔物が立て続けに現れるのに兵士が来ない理由に気づく。

 

「あれは序の口だったというわけか……やはり戦いは乱戦の方がアゲアゲだ!」

テンペラーは戦地の中心に飛び込み自分の目の前にいる魔物達を次々と葬る。


「地賊団の勢い止む気配無し!ここは一旦退避し、戦況を立て直すべきかと!」

憲兵の1人が兵長に大声で進言する。


「ダメだ!ここで一旦我々が退けばその間にとんでもない数に増幅する!そうなってしまっては幾ら陣形が整っていても押しつぶされる!増援を要請しひたすら粘るしか、道が無い……!」

兵長の言う通りであった。

まるで蛆虫のように湧き上がる地賊団の魔物達は魔法一撃で簡単に消し飛ぶほどに弱いものばかりであったがその脆さを上回る程の物量がその場には押し寄せてきていた。


「ですが兵長!」

「……なんだ!」

食い下がる部下に兵長に少し苛立ちを覚える。


「まだ実践授業のために同行していた兵士見習いの高等部の学生がこの中にいるんですよ!」

「な……!……なぜ避難させていない?」

「避難する間もなく地賊団が猛攻を仕掛けていており……ぐああっ!!」

杜撰な連絡体制に兵長は説教をしたい気分であったがそうも言ってられなかった。


それ程に地賊団の魔物が地面から際限なく湧き出ていたのだ。

(時折ポルトロ内で魔物が湧き上がる事はあったが……幾ら何でも勢いがおかしい……まるで14年前の惨劇のようだ。)

学園祭閉会式。

初めて地賊団の存在が確認された日。


兵長は今でも鮮明に浮かび上がる記憶に今の状況が重なりつつあった。

「直ちに学生の安否を確認!確認した生徒から次第即座に離脱させよ!」

声を広げる魔法具を使い全兵士に命令を下す。


「そんな事言われても……!」

「この量じゃ視覚を上げる魔法具を使っても大変だぁ……」

あまりにも魔物と兵士、生徒達が散らばり過ぎていた為安否確認は困難を極めた。


「あぁ……もうダメだ……オレ達死ぬんだよ!」

その頃終わりの見えない戦いに1人の兵士見習いの生徒が弱音を吐き腰を抜かす。

フレグードァ・バート(迸る烈火)オイ、しっかりしろよ!立て!」

近くにいた生徒が手を伸ばすが


「なんで冷静にいられんだよ!こんなのもう無理だ!オレ達全員ここで死ぬんだ!」

その生徒は完全に戦意を喪失していた。


「授業始まる前は兵長のなるためのキャリアパスとか散々言ってた癖に、死んだら元も子もないだろ!」

もう1人の生徒が必死に語りかけるが既に言葉耳に届いていなかった。

「無理だろ!倒しても倒しても……こんなん無理だ!父さぁん!!母さぁん!!ううあああっ!!」

生徒はついに泣き出してしまった。


「ゴッグガゲグ…………」

そんな中棍棒を持った魔物の一撃が生徒2人を襲うその時。


「グ…………」

閃光に貫かれ魔物は消滅する。


「フッフッフ……アゲアゲなデンジャラスだったな?お前達。」

魔物を倒したテンペラーは笑いながら2人に近寄る。


「だ、誰……」

「神衣天フードファイターテンペラーまたの名をアゲアゲアマツ!気まぐれなオレ様が天からの恵みをくれてやろう。」

テンペラーはそれから2人の生徒を守るような構えで戦い始めたのだった。


現実世界──

「んじゃ、フローズン焼肉会せーの乾杯〜!」

「かんぱーい……」

その頃冷凍集団フローズンの5人は焼肉屋にいた。


「とりまみんなぶっちゃけ何位?オレは過去最高の400位!」

タッチパネルで適当な品を注文しながら尋ねる。


「414位」

「420位」

「399位」

「306位」

1人だけ別次元の数字が飛びだし凍真に周囲の視線が集まる。


「なんだよ……てか、みんなこの環境の割には頑張ってる方じゃん。」

「いやいやコールっち!凄いよハッキリ言って!」

「うんうん。前まで388位くらいで腐ってるて言ってたのにどうしたの。」

「意地。」

意外な答えに皆目を丸くする。


「へぇ……コールっちならもっとこういう戦法で……今これが環境の刺さり良いからナンタラカンタラって思った!」

カシバが凍真のモノマネをしながら言う。

「それは前提の話。知恵はハッキリ言って出し尽くしてるくらい出し尽くしてる。もうここまで来たら気持ちの戦いだよ。オレはガチで願い叶えるつもりだから。」

凍真はグラスの氷を噛み砕く。


「てか今のモノマネ似てる!」

「ね?似てるくね?」

サブソフトとカシバのジュリブ星人コンビが盛り上がっている中

凍真は

(そうだ……F.F.Fがどうなろうが知ったこっちゃない。オレは……叶える。何があっても……氷元家の人間は全員消し去る!)

家族への復讐。

凍真を突き動かす溶ける事のない原動力は未だ冷淡さを保っていた。


そんな中

「「え?マジ!?」」

ジュリブ星人のコンビが大声を上げる。


「ちょっとビビったぁ……今日貸切じゃないから!」

「まだ一枚の肉食ってないのに。元気だねぇ……」

智昭と凍真は耳を塞ぐ。


「いや今運営のニュース見てたらさ……コレコレ!」

サブソフトが携帯の画面を出す。


「銀河を股にかける超大物インフルエンサーギャラクシストがF.F.Fとコラボだって!」

「ホントに夢かなって思ったよ!あのギャラクシストなんて大物どうやってねぇ……」

宇宙人達が盛り上がる中智昭が手を上げる。


「はい!ギャラクシストって誰?」

「えっと……地球ではまだ知られてないけど、宇宙ではマジで知らない人いないレベルの宇宙的インフルエンサーなの!」

「ファッションモデルに俳優、作家、映画監督にシンガーソングライターにファッションブランドも手がけてて、銀河一つ分の豪邸に住んでんだよ!」

地球人の3人は何も知らなかったので頷くしかなかった。


「何?日本で例えると?」

凍真が尋ねると

「明石家さんまととんねるずとビートたけしと志村けんとダウンタウンに全盛期のSMAPとEXILEとAKB48を付け足して、そこから大谷翔平と井上尚弥と久保建英をトッピングして手塚治虫と宮崎駿と庵野秀樹の人気を全て掛け合わせてる感じ。」


「スケールエッグ……」

「逆にわからんなった。」

「それが……地球に来て何すんの?」

思考が止まった2人を差し置き凍真が尋ねる。


「なんか、自分の手がけてるブランドにフードファイターをモチーフにした商品を出すんだって。」

「それのPRのために地球に初上陸するって!」


「へぇ……」

凍真はハッキリ言って心底興味が無かった。

(マジでどうでも良い。千春……待ってて。何があっても、オレはオレの家族を何とか亡き者にしてあげるから。)


その頃

「レイ……オムライスを作ってみました。食べますか?」

「アミノが作ったのなら何でも食べる!いただきます!」

レイはアミノの作った不恰好なオムライスをスプーンで夢中でかき込む。

(まさかこの人生において料理をするとは思ってもいませんでした。)

アミノはひどく汚れた洗面台を洗いながらレイの屈託のない笑顔溢れる横顔をみる。

(才牙と違って別にオムライス一杯でも別に生命は維持できるし、それ以上を求めない。でも、食べ物として出されれば残す事なく何でも食べる。自分でも都合のいい物を作り過ぎてしまいましたね……)

アミノの脳裏には返り血を浴びながら宇宙人を生きたまま捕食するレイの光景が浮かんでいた。

そして目の前の童心のままオムライスを食べるレイ。


(そう……彼女は世界を救うためのあくまでも道具。善人を食い物にする悪全てを裁き、理想郷を作り出す唯一無二の存在。歪んで汚れていなかった頃の私の夢を叶えるための……救い。)

手についた水滴を切りながらアミノはそう心に言い聞かせる。


(なぜ私は当たり前のことをわざわざ言い聞かせた?)

アミノは自分の心理に疑問を抱くが

(……まぁ、自問自答をしている暇はない。次の正義を執行しなくては。)

アミノは既に次の目的に目をつけていた。


「宇宙的インフルエンサーギャラクシスト。あなたの悪をは裁きます。」

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