62品目 Who is taste?
魔法学園の教師棟。
ベェルリの部屋を拠点とする裕太達は驚くべき事実に舌を巻く。
「1位のフードファイターが……なんで!?」裕太は端末に映し出される相手のフードファイターの情報に驚いていた。
「1位のフードファイターか。そういやオレ達今まで一回も会った事ねぇよな?この際戦ってみようぜ!」
「は?いきなり何言い出してんの?なんでこの反応が出てるかどうか気にならないの?」
相変わらず戦闘に走るメンドに裕太は呆れと驚きの混じる声で返す。
「そんなのオレ達が考えたって分かんねぇだろ?別に戦うなんて言ってねぇ。ちょっと会ってみるだけだよ。」
「えっえぇ……」
裕太とメンドが言い合っていると
「南側に地賊団が出現!」
再びけたたましい声の響きが棟内全域を駆け巡る。
「地賊団ってさっきも言ってた……」
「行くぞ!」
裕太とメンドは部屋を飛び出す。
「待って、南側って……あの反応の同じ所だ!」
裕太は画面に映るもう1人フードファイターの反応も南側にある事に気づく。
「おっ!棚からぼた餅ってカンジだな!1位のヤツか……どんな手合いか武者震いが止まらねえー!」
「べ、別に戦うつもり無いみたいな事言ってなかったけ?もう!」
戦いたがるメンドに呆れながらも裕太は南側へと走って行く。
その頃
「フッフッフ……この未知の場所。実にアゲアゲだな!」
学園内な南側にいたF.F.Fランキング1位の男・神衣天は陽気に鼻歌を歌いながら学園内の敷地内を散策していた。
「見た事の無い花の彩りやに見た事の無い建築、聞いた事の無い囀りや感じた事の無い風の息吹……あらゆる未知がオレ様の心をどこまでもアゲアゲにしてくれる。」
手を広げながら彼はさつまいもの天ぷらを出現させそのめま地面に寝転がりそのままかぶりつく。
「この木漏れ日を感じながら食うさつまいもは美味い!アゲアゲだ……!」
生い茂る緑からさす僅かな光とその下でそよぐ風に体を委ね、さつまいもの天ぷらに舌鼓を打っている最中
「ゴッコッコガギギギック………」
「ゲゲゲ……!!ガゲキクケゴグキギッ!!!」
「む?なんだその不協和音は静かなアゲアゲを邪魔するとはいい度胸じゃあないか?」
天は偶然にも地賊団の戦闘員に邂逅する。
「衣の無い丸裸のお前達を……制裁という名の衣をつけてアゲアゲてやる!来い、天衣神銃テンペレスト・オブ・ヘヴン!」
彼は腕を掲げ変身アイテムであふテンペレスト・オブ・ヘヴンを天から掴み取る。
「オーダー!」
海老天のチケットをセットしてテンペラーに変身した。
「そういえばこの世界では始めてだな……記念すべきアゲアゲだ!」
異世界での初変身であってテンペラーは短剣モードで戦闘員達に切り掛かった。
「何この音!?」
その斬撃の衝撃は裕太達にも届いていた。
「間違いねぇ!あの1位のヤツだ!」
「だろうね……!」
裕太達は音のする方へと急行する。
「ハァァッ!!」
赤いマントを翻しながら彼は戦闘員達の攻撃を受け流しては同時に的確な一撃を叩き込んでいく。
「カッキギ………」
「クックッカ……」
戦闘員達は一撃で粉々になっていった。
「アレだ!行くぞ裕太!」
「オーダー!」
裕太はメンドに変身し戦闘員達に突っ込んでいく。
「ハァ…」
「ショウウラァ!」
テンペラーが斬りかかろうとした相手をメンドが蹴り飛ばす。
「何…………?」
テンペラーは自分に目もくれず戦闘員をしばいていくメンドを呆然と眺める。
「…………」
テンペラーは沈黙したままテンペレスト・オブ・ヘヴンを銃モードに変形、そして戦闘員をメンドごと射撃する。
「ぐああっ!」
銃撃を受けたメンドは衝撃で10メートル程吹き飛ばされ大木に叩きつけられる。
「なんだこれぇ……あ!」
そしてそのままへし折れた大木に下敷きになってしまう。
(メンド、コレってもしかして)
「あぁ、アイツがやった!」
メンドはうつ伏せのまま遠方にいるテンペラーを見る。
「お前危ねぇだろ!オレいるんだからちったぁ考えて撃ちやがれ!」
メンドは怒鳴り声でテンペラーに語りかける。
「……アゲアゲを邪魔するな。」
「は?」
「今は見てろ。一般食。」
「いっ一般食……?」
今までに言われた事の無い語彙にメンドは頭が一瞬真っ白になる。
「空に浮きアゲアゲー!!」
テンペラーはマントを翻しながらその場でターンを行うと戦闘員達全員が空へ吹き飛ばされる。
「トドメだ。閃光・カイロウスパーク!」
そして極太の光線を発射し戦闘員達を塵一つ残す事なく滅した。
衝撃で学園上空の空からは全ての雲が消し飛び快晴に包まれる。
「ホレ。」
テンペラーはメンドの覆い被さる木を撃ち消滅させるとメンドに近寄る。
「もう終わった。起き上がれ一般食。」
そう言いながらメンドの腕を無造作に掴み無理矢理立たせる。
「いてぇよバカ!コレぐらいイケるっつの!てか一般食ってなんだよ……喧嘩売ってんのかテメェ!」
メンドはテンペラーに詰め寄りメンチを切る。
「一般食は一般食だ。オレはお前みたいな奴らをアゲアゲに始末してきた。」
テンペラーはメンドを見下ろしながら当然のように言う。
(メ、メンド一旦落ちついて……!)
裕太はメンドを宥めることしか出来なかった。
その頃某惑星では。
「うぅ……見れないよぉ。」
グトンは才牙の細胞から作られたミュータントがレアル族の少女を捕食する音に血の気が引いていた。
彼の耳には粘度の高い液が滴り飛び散る音。
無造作に奏でられる骨や筋肉の破砕音
そして空間全体に漂うむせかえるほどの生臭さ。
アミノはその様子を平然と眺めていた。
「ほう、やっとご馳走様ですか。壁を食べてしまったせいで少しお腹いっぱいだったのでしょうか?オリジナルに比べると数段食事量は少ないのでしょうか……」
少女が完食された事を確認し冷静に淡々と分析していた。
「アンタのSAN値はどうなってんねん……!」
グトンは息が詰まるような声で呟く。
未だ目を開けられずにただアミノの言葉に恐怖していた。
「おや……?始まりましたか。」
アミノ言葉通り、ミュータントの体が変貌し始めた。
蛇の様な体が膨張し人間の四肢のような形に変化していく。
「やはりレアルの強靭さは凄まじい……相手の性質を変えようとも生きながらようとするなんて………………同時に倫理のない外道な金持ちの性奴隷にはピッタリの性質でもあり辟易しますよ……」
ミュータントの変化にアミノは高揚するが即座にレアルという種のたどった歴史に声を低くする。
「でも……それを変える。私では成し遂げられない偉業を私とキミならね。」
アミノはまるで夢を追いかける少年の眼差しで変化を見届けていた。
「臆病なグトンさん、これだけは見てください!。歴史の変わる瞬間ですよ!」
「オレはそんな眩しいもの見たくないよぉ……あへ?」
グトンは嫌々ながら目を開けるとそこには
「さっきの女の子だ。生きてる?」
先程の少女が目を開けて自分の足で立っていた。
「いわば制御可能な才牙ですよ。」
「極めて矛盾してませんかソレ?」
「常識的に考えればアナタの言う通りです。でも、彼女は陣地を超えた……世界に希望をもたらすに常識は通用しないのですよ。」
アミノは少女に手を差し伸べる。
「アナタは……」
「ほう、言葉を理解できる知能もあるとは。初めまして私はアミノ。アナタの保護者です。」
「わたしの……名前はえっと……えっとぉ……」
少女は自己紹介しようにも名前が無く口籠もり俯く。
「キミの名前すでに考えてあります。レイ……それが名前です。」
才牙の細胞を得たレアル族の少女、レイが誕生した瞬間である。




