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60品目  ベェルリは考える

60品目 ベェルリは考える

「一体何が始まるってんだよ……?」

(なんか凄い人たちに囲まれてる………)

メンドは重武装に身を包んだ大男達に包囲される。

するとそこから


「あぁ兵士の皆さんすいませんすいません通りますよー」

裕太達に聞き馴染みのある声が兵士達の中から聞こえる。


「この声……ベェルリか?」

メンドが声の方を向くと兵士の間を掻い潜りベェルリがやって来た。


「キミ、もしかして…………あの骸骨達を倒したのかな?」

ベェルリはメンドの顔を見るなり少し興奮気味に尋ねた。


「あぁ。」

「そっかぁなるほどなるほどて事はあの伝説的にいえば…あぁ気にしないでコッチの話だから。つまりは……」

ベェルリはどこからか体に忍ばせていた書物を取り出しページを巡りながら独り言を言い始め兵士に尋ねられるがすぐに押しのけ思考にふける。


「うぅん?」

メンドはどうして良いか分からず立ち往生したままだった。


「オイコレ、どういう事なんだよ?」

メンドは兵士の1人に尋ねる。

「あの……ベェルリ教論は度々自分の世界に入ってしまう事があり、そういう時は言っても聞かないんです。で、我々はあくまで教師達の命で学園の治安維持を受けている身なので教師から指示がなければ動けないのです……」

「ずっとコレかよ!マジか?」

メンドはじっと書物を見つめるベェルリを睨みつける。


「オイ!なんとか言えよ!」

ベェルリの持つを本を取り上げる。


「わっ!」

「いつまで待たす気だよ。麺が伸びちまうだろうが!」

周りの兵士たちが呆気に取られる中ベェルリは


「なるほど、約2、3分の待機に苛立ちを感じると。ここも伝説との相違点か…」

「さっきからなに訳分かんねぇ事言ってんだよ?オレはいつまでこの鎧の奴らに囲まれなくちゃなんねぇんだ?」

「鎧の奴ら?あぁ。」

ベェルリは周りで指示を待つ兵士達を見回す。


「皆さんはもう戻っててもらって結構です。あとは私が受け持つので。」

「了解。」

ベェルリの言葉を受けて兵士たちはそそくさとその場を後にした。


「そうだな、メンド君と裕太君はとりあえず部屋に戻ってて。行き方案内するから。」

そして裕太は先ほど自分達がいた建物の部屋に戻る。


「ここの建物は学園の教師が研究や授業に使う資材を預けておく場所で1人につき1つ、お金を払えば空き部屋を使うことも可能な施設なんだ。」

赤い絨毯が敷かれ白い炎がともるランタンに照らされるヨーロッパ風の木造作りの廊下を歩きながらベェルリは説明する。

「え?資材って事は………オレ達って資材として見られてるんですか!?」

後ろについていく裕太は驚きに声を上げる。


「いやいや、そんな人の心の無い研究者と一緒にしないで。資材を預ける場といっても東エリアの食堂や事務室、一部学科での授業でのみ使う教室も併設されてるしそんな物々しい場所じゃないよ。あと部屋も結構広くて人が住めるくらいには快適だからさ、中にはここに泊まり込んでる教師もいんのよ。」

「へぇ……だからベッドが。てか、さっきからさらっと『学園』とか『教師』とか言ってますけど、ここって学校なんですか?」

裕太が質問をしたと同時にベェルリに設けられた部屋に辿りつく。


「そう、ココは魔法使いになるための学園都市。」

ドアを開けながらベェルリは告げる。


「魔法……凄い、本当に異世界なんだ!」

「オレ達とんでもねぇ所に来ちまったんだな………」

魔法という言葉の響きに裕太とメンドは自分たちが異世界に来た事を実感する。


「そうだね。この世界には魔法使いという概念は当たり前に存在しているけど、口ぶりからしてキミ達の世界には無いって事だね?」

ベェルリは引き出しを慣れた手つきを開けながら机に様々な書類や道具を並べていく。

「はい。漫画とかアニメとかでしか見た事なくて…………」


「その『マンガ』とかいうのはよくわかんないけど、存在しないんだ。なら、見せてあげようか?」

「へ?」

ベェルリは薄紫色の紙に藍色の鉛筆の様な物で何かを書いていく。


「今から簡単な魔法を見せてあげるよ。」

ベェルリは神の上になん本かの線を引くとその線は1人でに動きだし複雑な模様を描いていく。


「うおおすごい!」

「線が生きてるみてぇだ!」

メンドと裕太は目の前の光景にただ圧倒され驚くしかなかった。


(この程度で驚くのなんて、3、4歳の子供位だというのに。本当に知らないんだな。じゃああの勇者もそうだったのか?)

「これは魔法陣を描くためのコードと呼ばれる線。複雑な模様の描画を省略できる。」

説明を交え、ベェルリは裕太達の反応をじっくりと観察していた。


そして髪の上に魔法陣を作り出された瞬間、髪は1人でに燃え始める。

「燃えた!」

そして火の中心から水が溢れ出し火を消化し、その瞬間上も光の粒子となって消えていった。


「メンド凄くなかった今の!」

(あぁ、こんなの現実にあるんだな!)

「火の水の下級魔法を時間差で発生させる魔法陣。魔法陣を学ぶ上で基礎中の基礎だけど、魔法を知らない人間からしたらこう感じるんだなぁ〜」

ベェルリは腕を組みながら新鮮な反応を噛み締めていた。


「にしても火水かぁ……思い出しちまうよな、ボノケーノのこと。」

「…………メンドもそれ思った?オレも何だよね。」

裕太はどこか遠い目になる。

脳内には姉に10秒足らず抱きしめられたのち、一言も発せず才牙に体の全てを貪られる強烈な記憶が鮮明に思い起こされていた。


(やはり時折16、7の青年とは思えない様な顔をするな……地道に調べていくしかないようだな。)

「っていっけね!こんな事してる場合じゃないや!ごめんね、色々聞きたい事あるけど、授業始まるから部屋で待ってて、じゃ!」

慌てて道具を抱えてベェルリは投げやりにドアを閉める。

廊下には騒々しい足音が響いていた。


「行っちゃった……でも、異世界かぁ。オレ達帰れるのかな?」

「そういやそうか!どうなっちまうんだ?ここに骨埋めるのかぁ?」

「メンドは骨ないけど、オレは………」

裕太はベッドに横たわり携帯を見る。


「やっぱ圏外だわ。」

「マジかよ。でもフードファイターに変身出きんだからF.F.Fアプリはイケるんじゃねぇか?」

メンドが冗談半分本気半分の声色で提案する。


「いやぁ怪しいんじゃない?」

裕太はF.F.Fアプリを起動させる為に携帯をフィディッシュブレスにかざす。


「え?イケた!イケたんだけど!?」

難なくアプリが起動して裕太はベッドの上で飛び跳ねる。


「マジかよ!?フードファイターいるから探してみようぜ!」

「いやアプリ開いて初っ端にやるのソレ?いないでしょうよ他のフードファイターなんて。だってココ異世界なんだから。」

裕太はやや呆れながら場所指定マッチを開くと


「反応したし!?」

裕太は驚きから携帯を落とす。


「てか、待って……このフードファイターって、順位1位ぃ?」

裕太は画面に表示されている反応がF.F.Fランキングを示すことにさらに驚いた。

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