59品目 4品同時注文ありゃしたー!
59品目 4品同時注文ありゃしたー!
裕太達が未知の砂漠に放り出され10日の月日が流れた。
「ハァ……ハァ……やばい、どれだけ歩いても砂、砂、砂……」
道端で拾った木の枝を杖代わりに歩いていた裕太の体は限界に近づいていた。
さらさらの砂に足が取られる上、永遠と照りつける日光と真逆の夜の寒暖差。
四方八方から体力気力を奪われて裕太は満身創痍状態に陥っていた。
「あぁ、オレも流石にずっと同じ景色で訳わかんなくなってくるぜ……」
自分たちが進んでいるのかすら分からない砂だけが毎秒押し寄せる状況にメンドも精神的に参ってきていた。
「食料はラーメンあるからなんとか死ぬことは無いけどさ………いや何でもない。」
(流石にラーメン何十食も食べるのも飽きてきたけど、メンドに言ったら悪いよなぁ?)
「……そうか……何でもないか。」
(いくら裕太でもラーメン何十食も食うのはキツいよなぁ?)
裕太とメンドは互いに疲弊していたがそれをなんとか出すまいと必死に進むことだけに意識を集中させていたが
「マジでどうなってんの…………ホントにここどこなのぉ?」
裕太は先行きの見えない不安と極度の疲労からついにへたり込んでしまう。
「どうする。そろそろ今日はこの辺で切り上げるか?」
「いや、まだ日が出てるから……頑張っ……!」
裕太は立ち上がり一歩を踏み出そうとした瞬間再び倒れてしまう。
「おい!もうやめとけ。これ以上進んでバテたら元も子もねぇぞ。」
「うーん…………そうするわ。」
裕太とメンドはひとまず進むを事を諦め体力の回復に努める事にした。
「いや全然休まらないんだけど。」
すなによこた砂に横たわる裕太は愚痴を吐く。
地熱と紫外線の同時攻撃でむしろ安静にするほど体力は奪われていった。
「日陰まで歩こう……」
「でも日陰なんて碌にねぇぞ?」
「いや、ホントに無理だから……あと寝てるより歩いてる方がまだまし……ハァ……ハァ……」
裕太は重い腰を上げて再び足を動かし始める。
「むぅ…………」
そんな彼らの姿を双眼鏡で馬の上から観察する者がいた。
(10日程観察しているが特に変わらず。だが少なくとも次元の穴からやって来た異世界人である事は確実だ。)
左手の書物と裕太達を交互に見つめながら思考にふける。
(口の動きから推測される発音からしておそらく我々の世界の人間との意思疎通は可能と見て間違いないだろう。おそらくこの書に書かれている並行世界からの住人とみて概ね間違いないはずだ。)
彼が開く書物の絵には、沢山の料理が盛り付けられた皿を片手に山の頂を目指す1人の男と火山の頂上に立ち男を見下ろす怪物の姿が写っていた。
そして男の上空には空を割るように丸い光が描かれていた。
(ただ伝説と同じだとしたら少々迂闊というか……とても英傑の立ち振る舞いとは思えんな。これだけの期間にわたる尾行に気づくそぶりも見受けられない……)
「…うん?」
その周囲の砂が振動する。
「下がるぞ!」
馬を操り男は距離をとった。
「何?地震……?」
「裕太アレ見ろ!?」
メンドがします方向には
「何あれ……砂が盛り上がってる……?」
今までに見た事のない砂の柱が目の前に出現していた。
そして水のように流れ落ちる砂の塊から何かが這い出る。
「シャアッ〜〜〜!!」
「えぇ!!何、コブラ?」
裕太の目の前に現れたのはコブラのような見た目をしたとぐろを巻いた怪物であった。
「シャシャシャシャシャッ!!」
怪物は人間の何倍もある曲をうねらせ舌を出し入れしながら裕太の元へ向かってくる。
「裕太、とにかくやるぞ!」
「……分かった!オーダー!」
裕太は震える手でなんとかチケットを差し込みメンドに変身する。
(変身した……!?)
馬に跨る男はその光景に目を見開く。
「ヘビ野郎!ガラにしてやるぜぇ!」
メンドは蛇の怪物の額に飛び蹴りを放つ。
「シュウゥゥウ…………!!」
こたえたのか蛇の怪物は体をうねらせ地面に引っ込んでしまった。
(メンド……今ので完全にオレの体力消えた……)
「おいマジかよ!?ああっ……!」
メンドはその場に倒れ込む。
「実を言うとオレももう持たねえんだ……」
メンドはそう言いながら変身解除する。
「………………」
裕太は完全に力尽きてしまった。
「シャアアアッ〜!!」
その瞬間噴水のように蛇の怪物は再び地上に飛び出す。
そして裕太を捉えその体内に収めようとしたその時
「沸る稲妻」
突如怪物の脳天から末尾にかけて強い電撃が与えられる。
怪物は黒焦げになり絶命してしまった。
「…………」
魔法の攻撃を放った騎馬の男は裕太に駆け寄る。
「少し重いぞ。」
馬に裕太をくくりつけた男は西の方角へと疾駆する。
(何はともあれこれで研究が捗る……!)
男は知的好奇心からの胸騒ぎを口元から漏らしていた。
自然と上がる口角を放置し建物の影へと突き進む。
「………………ハッ!」
裕太はベッドの上で目を覚ます。
「今度は……部屋?」
裕太は自分がとある一室にいる事に気づく。
「ん?裕太か?」
メンドも目を覚ます。
「何ここ……まるでゲームの世界みたいだ。」
裕太は目の前に広がる未知の物全てに驚いていた。
「アレって日本語じゃないよね?」
裕太は文字らしき者が描かれた置物を指差す。
「……だな。やっぱ外国なのか?」
裕太達が話し合っていると
「いや、ここは異世界だ。」
部屋を仕切る黒いカーテンの奥から1人の男が入りそう告げる。
「い、いせかい?」
「そう。ここはキミ達が生きてる世界とは別の世界。何らかの理由で世界と世界の狭間を行き来してしまったのだろう。」
男は訳知り顔で裕太達に説明する。
「自己紹介が遅れたね。私はベェルリ=ルドウ。ベェルリで呼んでくれたまえ。君達を砂漠で運び出したのも私だ。」
「麺矢裕太です。その……ありがとうございます。」
「メンヤ…ユータ…確かに伝説の名前と似た響きを感じるな……」
ベェルリは呟く。
「何ですか?」
裕太は首を傾げて尋ねるがベェルリは笑顔で手を横に振る。
「あぁなんでもないよ。あぁそうだね、ココは私の住まいみたいな物だ。この部屋はキミに預ける。使ってないからさ、好きにしてもらって構わない。早速だけど話は変わるけどさ、キミ何かに変身していたよね?」
ベェルリは裕太の左手のフィディッシュブレスを覗き込みながら尋ねる。
「その喋る紙切れをその腕輪にさしたら姿が変わったのを見たんだよ。」
「オイ紙切れじゃねえよ!オレにはメンドって名前があるんだよ!覚えときやがれ!」
チケット状態で飛び跳ねながらメンドは食ってかかる。
「すまない。メンド、何となくだけどキミが実体化した姿と言うのが適当なのかな?」
「おぉ?お前察しが良いな。その通りだ!裕太が持ってるフィディッシュブレスに、醤油ラーメンのフィディッシュチケット状態のオレを装填する事で、オレはあの姿で戦えるんだぜ。」
「興味深い……色々調べさせて欲しいよ。」
「美味いラーメンの事ならいくらでも体で教えてやるよ!」
メンドは自分のことに興味津々なベェルリの態度に悪い気がしていなかった。
すると突然
「キャアアアーーッ!!」
「何!?」
外から叫び声が聞こえた。
「っ……!」
裕太は反射的に窓を開き外を見る。
(速い……!)
裕太の動きにベェルリはやや驚く。
「メンド見てアレ!」
「なんだあのバケモンは?」
裕太達の視線の先には後退りする少年少女とそれを追う化け物の集団の姿があった。
集団はまるで骨の鎧を纏ったような姿で槍や剣を持つ物で様々であった。
「絶対ロクでもねぇ奴らだぜ!」
「うん、行こう!」
裕太達は窓から飛び降りて化け物達へ突っ込んでいく。
「おいキミたち……」
ベェルリが止めようするもすでに行ってしまった。
「なんだこの反応の速さはまるで壮絶な戦いを経験した兵士の様………」
ベェルリは途方にくれながら窓に視線を移す。
「なっ、アレは……!」
ベェルリは骨の化け物達を見るなり表情を変え急いで部屋を飛び出した。
「だ、だれかぁ!」
「くぅぅ……ギィヤアアッアアッ!!」
骨の化け物が倒れる少女に剣を突き立てようとした瞬間
「はぁ!」
裕太は横からタックルをしかけ化け物を突き飛ばす。
「大丈夫?ケガはなさそうで、良かった……少し危ないから離れてて。」
裕太は少女に優しく微笑むのち、険しい顔で化け物達に振り向く。
「やっぱデリッシュの事があったからさ、こう言う表情の人を見るとほっとけなくなっちゃって。」
「そりゃそうだろうな。オレは全然分かってたぜ。」
裕太はメンドは醤油ラーメンのチケットを構える。
「行くぞ裕太!」
「あぁ、オーダー!」
そしてフィディッシュブレスにチケットを差し込む。
「ゴッコッ……ググカッゲゲゲー!」
骨の化け物達は次々と襲いかかるが攻撃をいなされてしまう。
「ショウラアアッ!!」
そして蹴りを入れられた化け物の一体が煙の様に消滅した。
「お前ら全員、あっさり倒してやるぜ!」
メンドは自分から化け物の群れに突っ込んでいく。
「何々!?一年生が化け物に襲われただって!」
その頃襲われていた少年少女達と同じ様な服を着たやや年上、10代半ばあたりの子供達が騒ぎを聞きつけ駆けつける。
「大丈夫だった?」
真面目そうな雰囲気の女子が少女に声をかける。
「あっあの人が……助けてくれました。」
少女が指を刺す方向を子供達は一斉に見つめる。
「オラオラオラァ!」
そこには宙返りや巧みな足技で化け物を薙ぎ払うメンドの姿があった。
「何あれ……?」
「召喚魔法で誰かが眷属を呼び出したのか?」
「あのような鎧の魔法具は見た事がないぞ……」
未知の存在に子供達は口々に言い合う。
「裕太、体大丈夫か?」
(寝てたお陰か、バッチリ!)
「なら良かったぜ!」
生徒達に見られている事に気づかずメンドは裕太の状況を確認すると3枚のチケットを取りだす。
「歩きぱっなしでコッチはフラストレーションがたまってんだよ!!異世界だから特別サービスで行くぜ!アディショナル!」
メンドはシオフォームにチェンジし高速移動で化け物達を翻弄する。
「どうしたよ?塩の流れについねこれねぇのか!」
メンドは目にも止まらぬ速さで繰り出される手刀で次々と化け物を葬り去る。
「ソルトスマッシュ!」
的確な一撃が命中し化け物達はなす術なくやられていった。
「次はコイツで行くか。」
激辛ラーメンのチケットを装填する。
「うおおおおおっ!!!」
気迫溢れる叫び声で化け物達はその場から動けずにいた。
「激辛激震激動!」
そしで辛味成分溢れる熱い拳で隙だらけの相手を一撃で沈めていく。
「ゴッガッゲッゲゲギギグッ!!」
「ガコココゴッグキュググック!」
残った化け物達は死に物狂いで特攻する。
「意外と多いな……こんな時は」
メンドは今度はミソフォームに
「ミソ・ビッグバン!」
自分を取り囲む化け物達を爆発で一掃する。
「お前が最後か!アディショナル!」
メンドはショウユフォームに戻る。
「アサルトショウユ!」
そして右足を突き出し最後の一体を撃破した。
「っしゃー!!絶好調だぜ!オレの勝ちいいっ!!」
メンドはくるくると回転したの右腕を次出しながら飛び上がる。
(ちょっと調子乗りすぎでしょ………まぁ良いけどさ。)
「なんなの……コレ……」
子供達はメンドの快進撃に呆気にとれていた。
そんな中
「地賊団の一派が学園内に多数出現!地賊団の一派が学園内に多数出現!」
同じ文言の伝言が鐘の音と共に繰り返され辺りが物々しい雰囲気に包まれる。
「なんだよいきなり!?」
舞い上がっていたメンドもいきなりの事に現実に引き戻される。
「現場はココか!」
「はい、ベェルリ教論の目撃情報ではココで間違いない様です。」
「生徒達は下がっていなさい!」
周囲は重武装された兵士が軒を連ね子供達は強制的に立ち退きを余儀なくされる。
「な、なんだ……?」
(なんかヤバい雰囲気………?)
メンドと裕太は動揺せざるを得なかった。




