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56品目 美味い!

「マジで……ヤバいっすよコレっああ!」

ピッザァーが触手に足を取られフードイーター本体の方向へ引きずられていく。


「英二!なっ……!」

助けようと駆け寄る完人の元へ人間の背丈を大きく越える触手が立ち塞がる。


「凍らせてもすぐ氷が食われる……どんだけ凍らせてもキリがない……!」

フローズン・コールを駆使して足止めを図るコールホールであったが触手の際限なき食欲によって全くの効果が得られなかった。


「こうなったら……!」

誰もが食われる秒読みの中サシミモリはチケットを引き抜きバーナードの姿に戻る。


「おいアンタ何してんだ!!」

「お前らは食べ物の匂い動くたびにを常に撒き散らしてるから敵も寄って来やすい!だから変身解除して食べ物の匂いを少しでも消して才牙に近づく!お前ら地球人と違ってオレはこの姿でもある程度は戦える!」

バーナードは熱波を放ち邪魔な職種を一掃しながら足を動かしフードイーターへと距離を詰めていく。


「確かにオレは人間は食いたくない。この姿になってからは尚更そう思う。よく考えたじゃないか……」

フードイーターはわざとらしく手を叩きながらバーナードに向かって声を張る。

その声には自分の勝ちが確信であるという余裕が載っていた。

「クソ……!」

「先程まで生きる意味も見失っていた癖によくやるな。まぁいい、ゴミみたいな命なんだろ?お言葉に甘えて捨てさせてやるよ……」

2本の触手をけしかけたその瞬間


「チャースラッシャー!」

それは香ばしい焼豚の円盤によって見事に一刀両断された。


「ガラにしてやるぜぇ!」

メンドが横から割り込む。

「ウォララアアアッ!!」

フードイーターの頬に渾身の拳を放つ。

 地面が割れて空気が震えるほどの衝撃を与えたが


「飛んで火に入るラーメンとはお前の事か!」

フードイーターは首を傾げたのみだった。

「ぐあああっ!!」

メンドは背中を噛まれそのまま装甲の一部を引きちぎられ、食べられてしまった。


「フッ!」

 そのままフードイーターに蹴飛ばされる。

地面を転がるたびに黒い濃厚な鶏ガラスープが血のように地面を濡らしていく。


(メンドォー!)

裕太は心配からメンドの名を叫ぶ。

「心配すんな!『フード』ファイターだぜ?食われて当然だバカ野郎!それにお前は無傷なんだろ?ならオーケーだああえ!ぐあっ、がああ……!」

メンドは痛みから立ち上がれずにいた。


「そうだ。食べ物は食べるのが当然。生物が血を、肉を、骨を構成し、不足する栄養素を補う生理現象。三大欲求の一つだ。それを否定するというのなら食品サンプルと一生囲まれていろとでも言うのか?何がゲームだくだらない……」

フードイーターはメンドを見ながら何度も頷き語る。


「お前さっきから言わせておけば!」

彼の言葉に最初に異を唱えたのは完人だった。

「お前が語っているのは極悪非道にして我田引水かつ!実に原始的で稚拙な破壊衝動と歪んだに生への執着心にしか過ぎん!お前はここに至るまでスイーツのフードファイターも喰らっただろう?その味の特徴、見た目の美しさ、風味、食感など答えられるか!」


フードイーターは少し考え答える。

「食べ物は食べるためのものだ。どうせにお前もオレも胃袋の中は汚い。つまりそういうことだ。」

「生において不必要な『彩り』をこよなく欲する人間という生物を体現している事この上ない最高の人間讃歌をバカにするなど言語道断!その胃袋掻っ攫いてくれるわ!」

「掻っ捌かれるのはお前だ。」

その瞬間パルフェクトは対峙していた巨大な触手の口に飲み込まれ始める。


「まずい……」

「完人さん!」

 その瞬間パルフェクトは自分の意思で完人を追い出した。


「待て、パルフェクト何をする!?」

「完人さん大好きでした!ずっとスイーツ…特にパフェは大好きでいてくだ…」

 その瞬間触手はパルフェクトを丸呑みした。


「あぁ……パルフェクトォ……!」

完人は騒然とする戦場の中、ただ1人静かに瞳から一滴の汗を流す。


「テメェよりによって完人さんにパルフェクトちゃんの事で泣かせてんじゃねえぞぉ!!」

「ゲームじゃねえよ!願いのためにこちとら無い命張ってんだよ!」

ピッザァーとコールホールも怒りにまかせ突進するが


「甘いもののあとはしょっぱいもの。あとは冷たいものだな。」

大量の触手に体の装甲を食べ散らかされてしまった。


「そんな……!」

「ヤバいよ!」

「退け。」

俯く完人、戸惑う英二を凍真を触手で薙ぎ払った。


「ほらほら、大盤振る舞いの舟盛りがあったはずだがなー?もう食っちまたかなぁ!」

触手の軍勢はメンドそっちのけでバーナードに集中する。


「思った以上にヤベェな。アイツらの事考える暇ねぇまま終わっちまったな……」

メンドはなんとか立ち上がるも一瞬にして無力になった3人に呆然とする。

「わりも面白い奴らだったからこそ、ガチで戦ってみたかったのによぉ……!」

(だからこそ、せめてでも勝たなきゃ!アレ使おう!)

「ああ、舞味が作った()()だな。」

メンドはフードファイターの因子を減退させるチケットを使う。


(ラーメンで立ち直った舞味さんが言ってたんだ。)

裕太は屋敷を飛び出る直前のことを思い返す。


──

「2人とも!」

「うん?」

出発する裕太達をずっと部屋に引きこもっていた舞味が引きとめる。


「コレを持って行って。」

「コレは……」

「フードファイターの因子の力を増大させる名付けてかっのスキルチケット『旨味爆発』とデリッシュちゃんの協力で出来た、逆に因子の力を下げるスキルチケット『一人前』よ。」

2枚のチケットを裕太は受け取る。


「デリッシュ……」

「彼女はまだ部屋の中。でもラーメンの空の器が部屋の扉の前に置いてあったから大丈夫!」

「へへ、当然だぜ!」

チケット状態のメンドは自身げに胸を張る。


「才牙は今黒いフィディッシュブレスをつけてる。裕太くんと同じような因子を自分の体内にある無数の地球外の消化酵素に食べさせてより自分の体に密接させて因子の力を活用してる状態なの。」

「えと…………つまり?」

裕太はいきなりの説明に目が点になっていた。


「アイツのブレスに一人前を差し込んだらすごく効果があるってコト!めちゃんこ弱体化するから」

「旨味爆発で強化したメンド様がシメで決めるっつー訳だな!」

「そう……ってわたしが説明したかったヤツゥ!」

舞味は口を尖らせる。


「とりあえず……ありがとうございます!」

裕太は礼を下げる。


「デリッシュの力借りるぜ!」

メンドはフードイーターに駆け寄る。

「今アイツの触手はバーナードがなんとかしてやがる!今しかねぇ!」

メンドが間合いに入った瞬間


「ヒャアアッ〜!!」

フードイーターの口が開き舌が飛び出す。


「クッソ!」

メンドは咄嗟に舌を掴み拳を当てる。

「しょんなのきくきゃ」(そんなの効くか。)

舌はより伸びていきメンドに巻きつく。

メンドは身動きを封じられた上一人前チケットを落としてしまった。


「いただきまぁす!」

「離しやがれ!」

 メンドが飲み込まれる直前

「うっ……!」

フードイーターの動きが止まる。

その瞬間、触手は動きを止め消滅し、火鍋のマグマなども

同時に姿を消した。

「ああああっ!!ふざけるなぁああ!!」

強制変身解除されて才牙はそのまま気絶する。


「この野郎!」

メンドは倒れる才牙に一言叫び、振り返る。


「お前がやったのか……ボノケーノ。」

「その名で呼ぶな。」

サシミモリはフードイーターの左腕を掴んでいた。


彼の黒いブレスには一人前チケットが刺さっている。

「ゴミ同然過ぎて、アイツも食わなかったらしい。触手が嫌がってたのをなんとか掻い潜って、よくわからんまま差し込んだ。」

「お前確か、デリッシュの弟だろ?結果的にイイ兄弟孝行じゃねえか!」

(確かに。オレ達よりもよっぽど適任だ!)

メンドは親指を突き立てる。


「よくわからんが………なっ!」

バーナードは目の前のものを見て動きを止める。


「何見てんだ…ってデリッシュ!?」

メンドは声を上げる。

そこには離れた位置からデリッシュその人が自分たちを見ていたのだ。


「美味かったかー!こっち来いよ!」

メンドは大声で叫び手を振る。

「美味しかった!最高だった!」

デリッシュは手を振りかえし駆け寄る。


「まずは、裕太ごめんなさい。」

(全然いいよ。オレが、ウジウジしてたのが悪いからさ。)

「へへ、ホント困っちまうぜ?コイツにゃあオレがいねぇとてんでダメだ!まぁ結果的に?ラーメンをすする人間達のイイ顔見れたけどナ。ほらボノケーノ、」


メンドはデリッシュとボノケーノを突き合わせる。


「オレは…オレは………あああ…ううううああえ!!」

ボノケーノは目を逸らし平静を保っていたがついに緊張の糸がほぐれると同時に心の澱みが決壊してしまった。


「ボノケーノ…生きてて良かった。この前は酷いこと言ってごめんなさい。もうずっとそばにいて。」

デリッシュは敢えて弟を力いっぱい抱きしめる。


「この笑顔忘れんなよ裕太……」

(あぁ、オレ達で守っていこう。)

その瞬間


「ふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなぁ!」

才牙が突如立ち上がりデリッシュからボノケーノを引き剥がす。


「お前ぇ……へへへ…オレは人間は食いたく無いんだよぉ!!」

 そう言いながらボノケーノの目玉を抉り取り口に運ぶ。

そのまま肩を無理矢理外し噛み砕き、腹に穴をあけ蔵物を貪る。

 ボノケーノは断末魔を上げる暇もなく一瞬にして全てを喰らわれてしまった。


「お前………」

メンドは怒りで拳を振るわせる。


「あっ……………」

 デリッシュはその場で気を失う。


考える前にメンドの拳が才牙を捉えたかにみえたが

「シメのラーメンだぁ!ガハハハハ!!」

(メンド、マズい!)

右腕から喰われ始めてしまう。


「ヤベェ!ふりほどけぐああ!」

「ああ美味い!!あんな不味いものを消すにはコレくらいの濃味が必要だぁ〜!!」

才牙はほほを赤らめながらメンドを食べ進める。


(間に合え!間に合え!)

「わかってらぁ!」

痛みで体が動かない中スキルチケット旨味爆発をなんとか差し込んだ瞬間


「最後だ!」

頭部の装甲を食べられてしまった。


「そんな」

一瞬で裕太は変身解除してしまい才牙に吹き飛ばされる。


「お前らは殺す。食事を邪魔したからな。」

そして才牙は再びフードイーターになった。


「オレを怒らせるというのは、一つの銀河を一瞬で散り散りにする軍隊と宇宙怪獣を同時に敵に回したと思え、死ねぇ!」

才牙の手刀が裕太の顔に突き刺さる


(メンド……お前が消えてどうするんだよ!散々鼓舞して、ラーメン食べさせてくれたのに!)

「オーダー!」

空っぽのブレスが巻いてある左腕の拳を突き上げたその時


「ショウウラアッ!!」

(この声……この感覚!)

左拳と即座に繰り出された右回し蹴りでフードイーターを吹き飛ばされた。


(なんでメンド?嬉しいけど……なんで!旨味爆発の効果も出てないのに……!)

「何戸惑ってんだよ、注文受けたら迅速に送り届ける。ラーメンは早さが肝心だ。常識だろうが?」

(それにこの姿って……!)

メンドは言われて体を見渡す。


「おっ懐かしいな〜!もうなれねぇと思ってたぜ!」

コガシショウユではなく、基本のショウユフォームの姿になっていた。

(でもメンドはその姿が1番……カッコいいよ。)

「その通りだ!コレがなんだかんだ1番しっくりくるしな〜!」

メンドはその場で飛び跳ね、久々のショウユフォームの感触に浸っていた。


「お前ぇ……そんなんで何が出来る?」

「お前を倒す。」

メンドの一言にフードイーターは無言で走り出す。


「行くぞ裕太、これで最後だ……あっさり、倒してやるぜぇぇ!!」

(いこうメンドーッ!!!)

メンドの向かいくる拳に対抗して右拳を突き出す。


2つの拳がぶつかり合い、締めの戦いが幕を開ける。

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