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52品目 天の恵み

「という事があり、オレはコイツを引き入れたんです。」

掛は天を引き入れた際の話を終える。


「てかもう土下座の体制じゃなくて良くね?」

この間ずっと土下座状態で頭を床に擦り付けている掛を英二は冷静にツッコむ。


「ハッハッハッ!まぁ何はともあれオレ様がいれば千人力だ!なにせ天の名を冠する最強の食べ物・天ぷらを司っているアゲアゲなオレ様なのだからなぁ!ハーッハッハッハッ!」

天は部屋にまるで天ぷらを揚げている時の様な大きな声で高笑いする。


「で?もう一度聞く。オレ様は何をすれば良い?」

「ハァ……お前は先程言葉は野暮だとかぬかしていたろうが?」

呆れながら完人が尋ねる。


「その時はアゲアゲだったから聞かなかった。だが今はサゲサゲの空気だ。オレ様が説明を聞くにより場を天ぷらにするが如くアゲアゲにしてやる!」

「意味が分からん……お前と話していると頭が痛くなってくる…………」

完人は頭を抱えながら手を瞑る。


「えーとですね……」

横から入ってきた英二がここまでのいきさつを説明した。


「という事です。」

「ほほぅ、まさかそんなバッドにアゲアゲな事が起きていたとはな。」

「いやちょっと待って!」

凍真が割って入る。


「あなた話聞いてるの見る感じさぁ、F.F.Fの所長が変わった事とかすら今知ったよね?いくらなんでも情報に疎過ぎない?なんでそんなんで1位にいられんの?」

「オレ様の周りはいつもオレ様を倒そうと様々なフードファイターがやってきて賑やかでアゲアゲだった。それで充分だ。」

笑顔で当然のように答えるが凍真も完人のように頭を抱える。


「F.F.Fアプリだとかスキルだとか難しい事はわからんくて殆ど覗いたことが無かったな。だが話を聞いてる限りちと興味が沸いた。よーし決めた!どれ程にアゲアゲか、今度オレ様直々に評価してやる。」

(コイツ、つまり愚直に挑戦相手をぶっ倒し続けてたって事?イベントもこなさずにスキルチケットも使わずに素の強さだけで?バケモノ過ぎる…………最低でもコイツレベルは強くならなきゃならないのか?)

凍真はF.F.Fの頂点の格の違いに衝撃を受ける。


「つまりそのハルムとシルラという宇宙人を探せば良いんだな。そうだ!そう言えばアゲアゲの天ぷらをいつも食べる姉妹がいた事を思い出した!ついて来い!」

「え………奇妙な姉妹?まさか………?」

察しのいい凍真は目を細める。


「そのまさかだった!?」

天に連れてこられた一向は衝撃に立ち尽くす。

「おお天ぷら姉妹元気か!アゲアゲの天ぷら、今日は何をご所望だ?」

天の目の前には目標のハルムとシルラその人が立っていたのだ。


「あ!アゲアゲアマツ久しぶり〜待って後ろにいるのって!?」

「ごめんね。オレ達色々忙しくてって………アゲアゲアマツ、そいつらってぇ!?」

2人は天の後ろの完人達を指差す。


「あぁ?オレ様はコイツらに宇宙人探しを頼まれてな。天ぷら姉妹、なにか手がかりはあるか?特徴はお前ら天ぷら姉妹そっくりだ…………待てよ?」

その時天の脳裏に天ぷらの上がる音が響く。


「オレ様は今までお前2人の事を天ぷら姉妹としか言っていなかったな。名前を教えろ。」

「ハルムです。」

「シルラです。」

「ラッキーアゲアゲだぁ!!」

天は1人天に向かって人差し指を立てて叫ぶがその場の全員が同じことを思った。


(コイツ、もしかして割とバカ?)


現在──


「全く、酷い話だった。相手が相手なら遥か彼方へ投げ飛ばしていたな。」

パルフェクト(完人)はアジト内の侵略宇宙人のギャングを蹴散らしながら呟く。


「でもお陰で早く事が進んで良かったです……」

ピッザァーが返した瞬間彼の顔面のすぐ近くを天ぷらの衣の如く輝く光の弾丸が過ぎ去る。


「ギャアアアッ!!」

そしてギャング達の断末魔と共にアジトの一部が大きな音を立てて崩落した。


「ハッハッハッ!チマチマやるくらいならもっとアゲアゲ行かないか?」

程なくして天衣刃銃テンペレスト・オブ・ヘヴンを片手に高笑いする天がアジトに入る。


「貴様アホか!!」

パルフェクト(完人)は天に剣幕で近づき胸ぐらを掴む。


「我々の目的は人命救助だ、もし今の攻撃の衝撃で拉致された人々が傷を負ったりでもしたらどうするつもりだ!少しは考えて動け!」

「フッ……弱いな、思考が弱い者の発想だ。」

「なんだとぉ?」

「2人とも喧嘩はぐわああ!!」

天がチケットをかざした瞬間、衝撃波によってピッザァーは吹き飛ばされる。

パルフェクト(完人)はなんとか堪えたがすぐその場に膝をついてしまった。


「敵も倒して全員無傷で救い出せばオールアゲアゲインオールオッケーだろ?なサゲサゲな思考で物事を考える。まぁ見ていろ。オレ様のアゲアゲっぷりをな!」

パルフェクトの肩をポンポンと叩かながら天は1人アジトの奥に侵入する。


「オーダー」

テンペレスト・オブ・ヘヴンを短剣モードに変形させチケットを装填し天に掲げテンペラーに変身した。


「アディショナル」

そしてテンペレスト・オブ・ヘヴンにかしわ天のチケットを挿入しかしわ天フォームにチェンジする。


「断線・カシワスラッシュ!」

短剣モードのテンペレストをバッテンに切り裂いた瞬間、アジトの壁や屋根、場にいたギャング全体がバラバラに切り裂かれる。

拉致された人間達を一切傷つける事なく。



「アディショナル」

次はカジキの天ぷらをセットする。


「スピードアゲアゲだ!」

カジキ天フォームにチェンジしたテンペラーは拉致された人間達の元に超高速で駆け寄る。


「アディショナル!」

彼は再び海老天フォームに戻るとテンペレスト・オブ・ヘヴンを銃モードに切り替える。


「衣の守り!」

そう言いながら銃口から球場のエネルギー体を射出する。

そのエネルギーは天ぷらの衣に変化し拉致された人間をドーム状に包み込み瓦礫から守る。

「お前らにオレ様から天の恵みを授ける!」


彼は天ぷらの盛り合わせをその場にいた何百何千ノリ人質達全員に与えた。

「さぁこれを食ってアゲアゲになれー!」

この間全てコンマ10秒の出来事であった。


菓子折邸──

「ハーッハッハッハ!アゲアゲな奪還だったろう?」

上機嫌な天は肉厚な海老天を手で摘み口に運ぶ。


「天からの恵みだ。オレ様はもう行く。役目は終えたからな。ハッハッハッ……」

天は大量の天ぷらを残して去っていってしまった。


「まるで嵐のような人でしたね………」

「強さは本物だがどうも気に入らん。」

完人達は複雑な表情で彼を見送った。


「にしてもあの天ぷら姉妹が地球に侵略に来ていたとは………やはりオレ様のアゲアゲっぷりに惹かれてか?そうに違いない。」

「チガウヨー」

「!?」

グトンは天と背中合わせに立っていた。


天は目を見開いたまま振り向く事なく尋ねる。

「お前、なかなかやるな。背後を取られる感覚というのはこういう感じなんだな。」

「んまぁ………コレはオレの力だけどオレのちかじゃないっつーか………多分ボク、フィジカルでは勝てません。」

彼の言葉を聞いて天は唇の端を上げる。


(コイツの心を読んじゃおっと!)

グトンは彼の心の中を覗き込む。


(コイツはオレ様のファンだな。だからこんなアゲアゲな登場したんだ。そうに違いない。)

(コイツ単純過ぎる!心の中単純過ぎる!)

「ぷ……くく…………」

グトンは天があまりにも真っ直ぐ過ぎたことになんとか膝を叩きながら必死に笑いを堪える。


(こりゃあ()()()()に送り込んだら面白れーだろうなぁ………)

「そういえばアナタよくわかんないけど、アゲアゲなのね?」


「その通り!」

天は大声で答える。


「じゃあ、もっとアゲアゲになりたいですか?」

「もちろんだ!」

天は即答する。


「じゃああなたの目の前にある光ってるのあるでしょ?」

「あるな。」

天の目の前は白く光っていた。


「その光に飛び込めばえーと………超アゲアゲになれます!」

「最高だな!レッツゴー!」

天は疑うことなくその光の中は飛び込んでいってしまった。


そして光の扉閉じられ天の姿が消えてなくなる。

「…………ギャハハハ!!アイツ単純過ぎる!!アハハハ!!ヤッベェ腹いてぇ…ッヘッヘッヘ…!!ダーハハハハイヒヒヒィ!」

グトンはその場で笑い転げる。


そして時は経ち


「遂に手に入れたぞ………オレが……オレが……オレこそが食物連鎖の頂点だぁぁああ!!」

大量のフードファイターの力を略奪し、消化した才牙はそのチケットを見るなりけたたましい程の胸声を響かせる。


「おぉ?」

彼は足音に気付き首を右に回す。

そこにはコールホール達5人の姿があった。


「今の声、ヤバすぎでしょ?」

「マジでアレと戦うの………」

フローズンのひそひそと才牙の様子について耳打ちし合う。


「デザートが自らやって来たか…………」

才牙はよだれを啜りながら黒いチケットにブレスを差し込んだ。


「オーダー!」

才牙が叫んだ瞬間彼の体は黒く染まりやがて液状化する。

黒い液体の中には多くの食べ物食べかすが泳いでいた。


「ウォエエッ!!」

「キモッ!!マジキモいんだけど!!」

「てか臭っさ!」

フローズン達は周囲に立ち込める強烈な刺激臭とその悍ましい光景に精神を傷つけられる。

そして何より本能的な恐怖に体の無意識の震えが彼らを襲う。


「マジで……ヤバいかも。」

なんとか正気を保っていたコールホールの手足もその畏怖からは抗えていなかった。


そしてその液体が一点に集中し中から無数の牙を持つ口が出現その液体や崩れた食べ物を我先にと貪りやがて口同士で共食いを始めだした。


「フフフ………お前らのような名前をつけるとすれば……」

何処からか響く才牙の声。

やがて液体と口は一つの肉体の形へと収束する。


「お前らフードファイターを喰らう、フードイーターとでも付けるかぁ?」

そこに現れたのは体の至る箇所に顎ついている異形の怪人であった。

そして頭部の顎が開いた瞬間大きな眼球が奥から飛び出しぐるぐると周囲を見渡す。


「いただきます。」

そう呟いた瞬間、眼球が引っ込みかわりに太く長い舌が現れフローズンに襲いかかった。


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