50品目 煮え切らない心情
「ウォラア!!」
侵略宇宙人の地球のアジトに呼ばれた才牙は早速目の前にいる自分の何倍も背丈のある宇宙人を片手で投げ飛ばす。
「呼び出したと思ったらこんなくだらない事か?あぁん?」
才牙の手に握られていたのはとある兵器の売買のための契約書だった。
「こんなものいらん!契約などお前で実演するまでだ!」
「お、親分助けてくださいぎゃあああ」
そう言いながら宇宙人は才牙の胃袋に呑まれてしまった。
「チッ、メインディッシュの前に舌が穢された………」
悪態を突く才牙を4本ある腕を絡ませながら、見つめている宇宙人の元に部下達が寄ってくる。
「なんて野蛮な………」
「どうします、こんな制御の効かないヤツを買うんですか?親分……」
周りの宇宙人達は才牙の傍若無人な態度を見て恐怖するが
「オレは倹約家だ。ここぞという時にしか金はださねぇ。これぐらいでないとハリがない。立木才牙………噂通り恐ろしい強さを持っているな。でかしたぞグトン。」
そう言いながら語る侵略宇宙人のボスはグトンの頭を撫でた。
「へへ、そりゃどうも………」
グトンは自分を睨みつける才牙への恐怖に必死に耐えながら無理矢理表情筋を動かし笑顔を作る。
そんな中
「親分!」
「なんだ騒々しい?何があった。」
振り向く事なくボスは返事をする。
「シルムとハルラが裏切りました!後ろにはあのフードファイター達を引き連れてます!」
「なんだって!?」
侵略宇宙人のボスが驚き振り向いた瞬間
「バカめ!」
才牙は彼の背中をに噛みつき皮膚の皮を剥ぎとる。
「ぎゃああ!!」
ボスは頭から仰向けに倒れると才牙が皮がむけ筋肉が剥き出しになり血が吹き出す痛々しい背中を踏みつける。
「怒るオレの前で隙を見せたからこうなったんだ………食物連鎖の頂点に立つ以上、お前を食うことでオレに拍がつく。食いたくないがなぁ!」
そう言いながら才牙はボスの肉を貪り始めた。
「もう遅かれ早かれ才牙さんに手をつけた時点でこうなるこたぁ予測してた!あばよ!」
そう言い残しグトンは逃走する。
「グトンさんそんな………ぎゃあああ!!」
断末魔を胃袋で消化した才牙はアジトを抜け出す。
「こんな組織などどうでも良い。そんな事より食事だ!」
才牙は街に挟む匂いを嗅ぎ取り疾駆する。
その頃
「ハァ……ハァ……」
心のつっかえをとらんばかりにバーナードは全力疾走していた。
彼は裕太が倒れたあと場の空気に耐えられず逃げてしまった。
だが彼の脳裏からは彼のデリッシュの目から止まることなく溢れ出る涙がかき消える事はなかった。
そしてふと立ち止まりベンチに腰掛ける。
「ホントに何がしたいんだオレは………」
バーナードには泣く気力も笑う気力も残っていなかった。
菓子折邸──
「……ここは?舞味さんの実家?」
裕太は自分がいつも寝ている物の何倍も大きく質感も良いベッドの上で目を覚ますが、そんな事を感じられる精神状態では無かった。
「あ………」
裕太の目の前には目の座ったデリッシュが馬乗りになっていたのだ。
彼女は表情を変えぬままそのまま両手で裕太の顔を恐ろしいほど繊細に包み込む。
「あ……あぁ………」
裕太は上に乗るデリッシュの肌温を感じ取っていた。
彼女の妙に高い体温に裕太は悪寒を感じていた。
「デリ」
「ううあっ!!」
裕太は声をかけようとした瞬間叫ぶデリッシュにベッドから投げ飛ばされる。
「いてて………」
裕太はなんとか立ち上がるがそれまでだった。
「うぅ…っ…ううぅっ……!」
いままで無表情だったデリッシュの顔に感情が戻る。
「はぁ…………」
それにつれて裕太の足取りは重くなっていく。
「………ああああっーーー!!!」
デリッシュは裕太の頬を力一杯殴る。
「…………裕太君調子は」
掛がドアを開けた瞬間殴られた衝撃で後ろに倒れる裕太が掛にのしかかる。
「おおっと…!こりゃまいったな…………」
苦虫を噛み潰したような表情でなんとか掛は裕太を支える。
「っ………うぅっ……うう……っ…!」
そしてそのままデリッシュはへたり込み泣き始めてしまった。
「無理矢理運び込んだ時から思っていたがやはり拗れていたか………裕太君起きてる?会話大丈夫?」
「えぇ、今は。」
裕太は鼻血を流しながら答える。
「オレが悪いんです。オレが、ウジウジと悩んでるせいで……苦しめちゃったから……メンドの言う通りだった……」
裕太は自責の念にかられる。
「いや、現役DKならじゅーとぶん過ぎる程によーやっとる。………バカな大人の勝手な独り言だと思って構わない。その…あの……これは多分さぁ…誰が悪いとかじゃないんだよ。運命としか言いようが無い。塩っ辛いのも甘ったるいのも含めて人生だからさ。泣いても良い。立ち止まったっていい。」
「………じゃあオレわがまま言って良いですか?」
「構わない!」
掛は強く応じる。
「もうオレ疲れました。もう戦えないです。F.F.Fの事がもうイヤです………メンドには殴られるかもしれないけどもう嫌だ!オレ無理です!楽しく無いですよこんなん!」
裕太はブレスを地面に投げ捨てる。
「………もう構わないでください。」
「分かった。」
掛は静かにドアを閉める。
「メンド、お前の相棒はもうダメだ……」
そして啜り泣くのだった。




