46品目 決断、いただきます!
「クソッ!いい加減しつこいぞ!!」
メンドはどこまでも自分達を狙う姉妹達に鬱陶しさを感じていた。
「黙れぇぇ!!」
シルラは叫びながら念力でメンドを宙に浮かす。
「振り解けねぇ……アディショナル!」
メンドはコガシショウユフォームからゲキカラフォームにチェンジする。
「激辛粉塵!」
そしてメンドは辛味成分の含まれた粉を周囲に撒き散らす。
「ゲホッ、ゲホッ……!」
シルラは粉を吸い込んでしまい咳き込み出す。
その隙にメンドは念力から抜け出した。
「今度はこっちの番だ!」
そしてそのままシルラへと駆け寄り
「激辛激震激打!」
必殺のパンチを鳩尾に叩き込む。
「ぐうぅ!!」
重い一撃に強烈な辛味成分が載った相乗効果は服を突き破りシルラの皮膚を焼いていく。
そしてそのまま気絶してしまう。
「シルラーー!」
パルフェクト達と応戦していたハルムは即座にシルラの方へ駆け寄る。
「お前、そいつの姉か?」
メンドは気を失ったシルラの顔色を確認するハルムに声をかける。
「…………そうだけど?」
「これ以上は無駄だ!耳の穴かっぽじって言いつけとけ。あのビルでの戦いの攻撃はオレじゃねえってな。」
メンドは特に怒ることもなく淡々と告げる。
「確かにこの戦いは不毛……オレもハルムも無駄に傷ついていくだけで得しない。それにしてもアンタ優しいね。敵にかける言葉じゃないよ普通。」
ハルムはメンドの心理が分からなかった。
「………誰かさんの甘さがオレの隠し味になったのかもな?」
「はぁ?」
メンドの例えの意味がわからずハルムは首を傾げる。
「つーまーり!激辛ラーメンだからってラーメンとしてのコクやキレがない辛味だけの一杯だったら売れねえっていうのと同じことだよ!ここまで説明させんな!野暮だろうが。」
「うーん…………」
メンドの言葉を意味が分からなすぎてシルラは本気で考え込み出した。
「メンドさん、何を話し込んでるんですか?」
近くに駆け寄ったパルフェクトが尋ねる。
「…………特に味のしねぇやりとりだよ。」
メンドは頭をかきながら答える。
(メンドはラーメンだからか会話の比喩もラーメンと関連付けたがるからさ…………まぁ要するにメンドはシルムとハルラを倒す必要は無いって思ってるんだよね?)
裕太が翻訳する。
(まぁ気持ちは分かるよ。ただ一方的に因縁つけられてるだけだし、メンドは別にこの2人とは戦いたがって無いし。)
「そういうこった。」
「メンドさん、裕太さんとはすごい素直に通じ合ってるんですね………」
パルフェクトは何度も頷きながら呟く。
「てか、お前もパフェもフードファイターなんだろ?会話の中に、パフェの例えみてぇのはいらねぇのかよ?」
「いや、無いですけど?」
「ハァ?口が勝手にうごかねぇのかよ!?」
「ちょっと意味分かんないです……」
メンドはパルフェクトの同意を何一つ得られず驚愕する。
「人格を持つチケット同士だからって………ウマが合うとは限んないんだなぁ………」
側からそれを見ていたピッザァーは腕を組みながら頷いていた。
そんな中
「みんな聞いてくれ!」
「所長さん?」
メンド達の元に掛が慌てて駆け込んできた。
「コールホール達の尋問の結果だが……」
掛は内容を3人に共有する。
「なるほど………全ての話が合致するな。ウソは言っていないのだろうな。あの2人は。」
変身解除した完人はシルラ達に視線を移す。
裕太と英二ど同様に2人を見つめる。
「つまり、人間から作ってからゴースト枠のフードファイターは液体を持つとアツかったって事なんですよね?怖いー!!」
両手を頬に当てながら英二は震える。
「じゃあ、これからその拉致された人達を助けるって事ですか?」
「もちろん!」
裕太の問いに即座に答える。
「ただ……肝心の場所がな………尋問ではそこが聞き出せなかったらしい。」
「ならば、あの2人に直接案内してもらえば良いのでは無いのか?」
完人の提案に掛達は目を丸くする。
「聞くよりもそちらの方が確実性が増す。そして彼らと先程初めて対峙したが、正直言って戦いを経て強くなったオレと英二の方が純粋な戦力は上だ。そのうえフローズンの5人もいれば仮に不審な動きをしてもすぐに取り押さえられる。彼に対する罰にもなるだろう。」
「すご〜い!色々なところにまで判断が行き届いてる!さっすが完人さんですねぇ〜!」
パルフェクトの完人推しは健在であった。
「なるほど…?割といい案かもしれないな…………よし!それで行こう!オレは協力してくれるフードファイターを募る!何時から作戦を始める?」
完人はやや考え言葉を紡いでいく。
「タイムリミットが22時なのだろう?どれだけかかるか分からん。せめて5時間前には全ての準備を終えたいつでも決行出来るようするべきではないか?」
「じゃあ今は午前12時だから……あと6時間。頑張る!」
掛は再び邸宅の屋内へと戻っていった。
「すいません。完人さん、英二さん。」
「うん?」
裕太は2人に呼びかける。
「オレ、どうしてもやらなきゃならない事があって。その作戦、行けるどうか分かんないです。すいません!」
裕太は真っ直ぐと頭を下げる。
「別にいいよ。そもそもオレ達は運営と繋がりあるからこうやってるだけだし。」
「あぁ、心配するな。行ってこい。」
2人は何を言うでもなくあっさりと了承した。
「ありがとうございます!」
裕太はすぐさま菓子折邸をあとにした。
「もしもし?デリッシュ?」
「どうしたの裕太?」
裕太は丘を足早に下りながらデリッシュに電話をかける。
「今バイト中?」
「いや、今は特に何もしてないけど。………何かあったの?」
デリッシュは声をひそめる。
「その………またオレ奢るからさ!どっか行きたいところとか無い?」
「……え?」
デリッシュにとって予想外の答えだった。
「2人で話したい。その………絶対に伝えたいものがあって!」
「え………?伝えたい……2人きりで?」
デリッシュは今までに無い思いを感じ始めていた。
「うん!だから……えーと、今どこにいる?」
「………いつも行ってるスーパー。」
「そっか!分かったすぐ向かう。あのデリッシュ?」
「……なに?」
デリッシュは裕太の一言が来るたびに何故か胸が疼いていた。
「たとえデリッシュがオレのことを嫌いになっても、オレはずっとデリッシュを守るから。そう誓ったから。嫌いなったとしても……これだけは裏切らないって信じてくれるかな?」
極々真剣な声で裕太は問いかける。
「わ、分かった。」
気圧されたデリッシュはなんとか返すが精一杯であった。
「ありがと!じゃああのスーパーね?じゃ!」
裕太はそそくさと電話をきる。
「…………っ!!」
次の瞬間デリッシュは携帯を握り込み胸の奥で抱きしめる。
「そんな………そんな訳……!」
デリッシュは手鏡でふと自分の顔を見る。
「早くしなきゃ!」
裕太が来る前に少しでも整えねば。
デリッシュは直感でそう感じた瞬間、トイレに駆け込んだ。




