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44品目 敵に塩を送る結果

「フッフッフ………」

「こ、こんな所で」

1人。


「次はお前だ!」

「くっクソォ!!」

また1人。


「そろそろ魚料理が欲しくなって来たなぁ………」

「きゃああああ!!」

またまた1人とフードファイターの力は才牙の胃袋により消化されていった。


「ハァ……ハァ……」

陰から捕食の様子を見ていたバーナードは震えながら全身に鳥肌を立て脂汗を流しながらサシミモリのチケットを力強く握りしめていた。

様々な感情の渦が彼の体の震えをより悪化させていく。


「ふぅ…………うん?」

彼の手に巻かれたブレスがとても眩い光を放ち、その光はやがて黒ずみ泥のような形は姿を変えブレスから離れていく。


「来たか!」

才牙はその泥の塊を掴みとる。

次の瞬間彼の右手には泥の中から1枚の黒いチケットが握られていた。


「遂に手に入れたぞ………オレが……オレが……オレこそが食物連鎖の頂点だぁぁああ!!」

才牙はそのチケットを見るなりけたたましい程の胸声を響かせる。


「おぉ?」

彼は足音に気付き首を右に回す。

そこにはコールホール達5人の姿があった。


「今の声、ヤバすぎでしょ?」

「マジでアレと戦うの………」

フローズンのひそひそと才牙の様子について耳打ちし合う。


「デザートが自らやって来たか…………」

才牙はよだれを啜りながら黒いチケットにブレスを差し込んだ。

驚天動地の如き巨悪が、誕生した瞬間であった。



時は3日前に遡る。


「ここは…………」

裕太は完人達に釣られるがままに市の南西部にある丘を登っていた。


「舞味の実家だ。」

「実家?舞味って………」

「F.F.Fの開発担当の人。メンドのチケットとかを作って、デリッシュちゃんに渡した人だよ。みんな今、その舞味姐さんの所に集まってるんだ。」

完人の説明に英二が補足を加えながら一行は丘の頂上に辿り着く。


「へぇ〜この市にこんな所があったなんて知らなかったです。」

「随分とデケぇ家だな。」

「うん……お金持ちって感じの家だ…………」

裕太とメンドは街を見渡せるほどに高い丘にどっしりと構える菓子折邸の外装に圧倒される。


「その………変身出来るってどういう事なんですか?」

「まぁ、中に入って説明でも遅くない。行こう。」

完人は裕太を手招きながら門を開ける。


門の先には様々な植物が植えられていた。

(凄い花だらけ………)

照りつける日光を余すことなく浴びんとばかりに長く育ったヒマワリ。

支柱に際限なく蔓を伸ばし悠々と花弁を開くヒルガオ。

池の水面を自分たちの色で彩るハス・スイレン。


少し離れた位置のプランターには所狭しと植えられた花壇にはマリーゴールド、サルビア、ペチュニアが虫達の注目を一点に集め、隣にはサボテンなどの多肉植物が猛暑をものともせず鎮座していた。


耕作された畝もあり、トマトやキュウリ、スイカなど旬の作物の露地栽培も行われていた。


「うん?」

そんな情景に不釣り合いな代償様々な機械が一箇所に留められているのを裕太は発見する。


「アレはF.F.Fを復旧させるためにかき集めた機材だ。直にセッティングが行われる事だろう。すぐに片付く。」

「ちょっと状況がまだ飲み込めてないんですけど………」

裕太は頭にはてなを浴びあがらせながら菓子折邸を上がる。


「おっ?裕太君よく来たねぇ〜!デリッシュとのデート以来かな?」

「掛さん……って!デートじゃないですってアレは!」

「ふふっ、まぁすぐお茶を淹れるよ。あがんなあがんな。」

掛はまるで自分が屋敷の持ち主かのような振る舞いで裕太を部屋に案内する。


肌触りの良い絨毯がどこまでも敷かれた廊下を歩き一向は談話室に入る。


そして裕太にこれまでの経緯を全て説明した。


「なんだよソレ!オレ様抜きでそんな面白い事やってたのかぁ?」

「いや初っ端の感想ソレ!?」

メンドのブレなさに裕太は驚く。


「お前のところのフードファイターは相変わらずなんだな。」

そう呟きながら完人はカステラを一袋分を1人だけで嗜んでいた。


「うむ……ここまで卵黄の味の濃いカステラの中々ないな………」

そして勝手にカステラの感想を延々と語り始める。


「完人さんブレなさ過ぎ!さすがです!」

パルフェクトも変わらず完人に首っ丈の様子であった。


「良いんだよ。こんな緊急事態でも平常心を保ってるってコト!ありがたい限りだ!」

掛は笑いながら言うと

「じゃあいつまでもイジけてる私はダメって事なんだ!」

突如部屋の隅から舞味の声が響き渡る。


「え?いたんですか?」

裕太は部屋の隅に体育座りの舞味がいた事に始めて気づく。


「今姐さんヘラってるからさ………そっとしてあげて……」

英二が補足説明した瞬間

「そうよ!どうせ私は立ち直れない無能ですよ!」

舞味は再び大声をだす。


「恐怖で才牙の手助けをした無能ですよ!私は!私は……!」

最初は声を荒げていた舞味だったが突然黙り込み顔を俯きながら啜り泣き始めてしまった。


「えっと…………」

「まぁハッキリしてるのは才牙によって色んな人間が傷ついてるという事だ。」

「だからF.F.Fを復旧させてフードファイターの力でアイツをぶっ飛ばすってこったろ?ならさっさとやろうぜ!麺が伸びちまう!」

メンドの言葉に掛は強く頷く。


「あぁその通りだ。才牙を止める。そしてオレ達のF.F.Fを取り戻そう!」

そしてその日、英二達が助けた職員と掛の手によって急ピッチで作業が進められた。


翌日──

「じゃあ………行きますよ!」

裕太はフィデイッシュブレスに携帯をかざす。

その様子を職員達は固唾を飲んで見守る。


「アプリ起動しました!」

「やったぁー!!」

「頑張った甲斐があった………」

問題なくF.F.Fアプリの復旧作業が完了し職員達は歓喜に包まれる。

「みんなありがとう!よっし!」

掛も渾身のガッツポーズをした。


そして同時刻。

しんと静まり返る事務所の中でもガッツポーズを決める者がいた。


「……掛、お前の考える事は手に取るように分かる。」

この日にF.F.Fが復旧する事を予測していた才牙は事務所を飛び出し行動に出た。


「塩っけのある料理からだ!フハハハ!!」

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