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43品目 心の下ごしらえ

「はぁ……………」

サシミモリはチケットを引き抜き変身解除する。

「クソッ!」

バーナードは発散できない怒りに任せ椅子を蹴飛ばす。


椅子の倒れる音が誰もいなくなった部屋全体に大きく響く。


「何故だ………」

バーナードは忌々しくブレスを見る。


「ふぅん………」

事務所に戻った才牙はにやけながらバーナードを側から覗き込んでいた。


そして才牙は淡々と所長室に戻る。

(掛…………お前は変わらないな。この空っぽの事務所が物語っているぞ。)

思案しながら所長室の椅子に静かに座った。


(今、お前はあの時のオレの事をより悔やんでいるだろう…………ここの職員達の様に助けたかったと。)

彼はふと部屋を見る。

部屋の棚には掛専用の調味料が所狭しと並んでいた。

暴飲暴食を繰り返す才牙であったが、彼はその棚には指一本ふれていなかった。


(だがお前のその思考は浅い。オレは正直、お前とのやりとりはもうそれほど覚えていないんだ…………)

才牙はゆっくりと歩きながらその棚を開ける。


そして調味料を一つ一つ開栓して喉に流し込んだ。

そして最後に残った醤油の瓶のラベルを一瞥する。

「…………コレはお前のお気に入りだったな。」

そして一瞬俯き一気に飲み干した。


「っふぅ〜!」

才牙は一気に息を吐く。

「こうしてしまった以上オレは誰にも縛られん、少し早いが、ついにディナーの開始だぁ!!」

それから翌日。


「何だよ……緊急メンテナンスって。」

自主で裕太はF.F.Fアプリの通知に書かれた文面を復唱し眉をしかめる。


「しばらくF.F.Fの全ての機能が使用できません。復旧時期は未定ですって……」

「ぜってぇあの化け物所長がなんかやらかしたんだよ!裕太、こんなとこで止まってる場合じゃねぇ!事務所に向かうぞ!」

メンドは準備万端であった。


「いや、全ての機能が使えないんなら、変身も出来ないんじゃないの?行ってどうすんのさ……」


「あぁ確かにな……クソーーー!!どうすりゃ良いんだよ!だったら裕太、デリッシュにあの事話に行くぞ!」

「いやなんでそうなるの?話の前後繋がってないよ!?」

裕太が驚くとチケット状態のメンドは裕太の顔に張り付く。


「今できる中で状況を進めんだよ!!」

「いや……そんな……」

「ウジウジ言ってる場合じゃねぇだろが!!」

「だって言えない!」

裕太はメンドのチケットを床に叩きつける。


「イテテ……甘っちょろい事言ってんなし!」

「もう…………分かんないんだよ!!」

裕太はそのまま叫んだ。


「おぉ……っ!!」

メンドは裕太のがここまで感情を露わにした場面に遭遇した事がなく、思わずたじろぐ。


「デリッシュの幸せって…………何なんだよ……親を無くした頭の知らないオレには分かんないんだよ!」

「おま………お前、前に分かんないからこそデリッシュを助けたいつったろ!」

「その時は………まだ色々分かんなかったから………」

裕太がそっぽを向いた瞬間


「バカヤロー!」

「うごっ!?」

裕太の頬に凄まじい衝撃がのしかかる。

彼の視線の目の前には


(メンド………!?)

以前、舞味の研究室から出てきたメンドのフードファイターとしての姿がいた。


(………あれ?)

かと思いきや彼の視線には先ほどと変わらずチケットだけが写っていた。


裕太はその事を考える暇もなくそのまま床に倒れしばらく動けなかった。

「そんな事2度と言うんじゃねぇ!!デリッシュが1番悩んでんだよ、お前が悩んでどうすんだ!!」


「………うぅ……」

「あぁ?」

メンドが叫ぶ中裕太は口を動かしながら立ち上がろうとする。


「分からずやー!」

メンドの目の前には裕太の拳が向かってきていた。

彼の突きは何の鍛錬も受けていない一般人と何ら変わらない弱々しいものだったはずだが


「うおっ!」

メンドは真正面から喰らってしまった。

まるでフードファイターの攻撃を受けた時の様な感触にメンドは困惑する。


「そうだよ、デリッシュが1番可哀想なんだよ……だから言わなきゃなのに……言わなきゃ………なのに……」

裕太の声が次第に震えていく。


「あの笑顔を見ると…………分かんなくなるんだよぅ……」

彼の脳裏にはデリッシュの天真爛漫な笑顔が浮かんでいた。


「わ、悪い………お前がそこまで追い詰められてるとは思わなかった。ごめん。」

メンドは裕太の真意を知り謝罪する。


「いや踏ん切りがついた。オレ言うよ。」

「!?」

メンドにとって思いがけない言葉が飛び込んでくる。


「知ってしまった時はあの笑顔が曇ってしまうかもしれない……だからこそ…だからこそこれ以上曇らせない為に守るんだ。」

裕太は過去の自分の言葉を思い出す。


───


「なんかすごい申し訳なく感じてさ。親が死んでるのに何も思えない。特にやりたい事も思い浮かばない。そんなオレがデリッシュに信頼されてる。ならさ!せめてそれくらいの期待には応えないとすごい申し訳ないって思うんだよ。」


───


「そう、信頼されてるんだから期待に応えるんだ…………だからメンドごめん、あんな事言って!また……コレからも力を貸して欲しい!」

「っためりぇだ!」

メンドの勢いある返事に裕太は満面の笑みで返した。


そしてその直後

「アレ?」

裕太の家のインターホンが鳴った。


「え?完人さんと英二さん?」

裕太の家を訪ねたのはその2人だった。


「いまなんやかんやあって、戦えるフードファイターを集めてるんだ。」

「えぇ?」

英二の説明に裕太は首を傾げる。


「説明が大雑把過ぎたか………」

「よくわかんないですけど、オレ達って今変身出来ないですよね?」

すると完人が指を横に振る。


「そうでもないぞ。」

「マジで!」

裕太は玄関の前で驚いた。

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