38品目 大きな一口
「トッピング!」
メンドはチャースラッシャーを構える。
「焦がしチャーシュー、かましてやるぜぇ!」
メンドは勢い良くサシミモリ目掛け円盤を放り投げる。
火の粉を周囲に散らしながら焦げ目のついたチャースラッシャーはサシミモリの足元へと飛んでいく。
「イクラ城壁!」
対するサシミモリはイクラを壁のように出現させ攻撃に備える。
チャースラッシャーがいくらに当たるたびにプチプチとイクラの壁が弾け衝撃を分散しやがてチャースラッシャーは勢いを失いサシミモリの元へ届く事は無かった。
「これでも喰らえ!」
そしてサシミモリはイクラを手のひらいっぱいに掴むと炎を出しイクラを手の中で温め始める。
そして温めたものをメンドへ向かって投げつけた。
「避けきれねぇ……!」
大量のイクラは空中で分散しメンドの移動範囲全体に散っていった。
「こうなったら防ぐまで!」
スピードの落ちたメンドはその場で足を踏み込み敢えて防御に徹することにした。
そして地面に落ちたイクラは落下した瞬間弾け、中から熱い液体が周囲を埋め尽くしていく。
「なんだよ?こんなモン効くかよ!」
コガシショウユフォームとなったメンドにとって熱を帯びた攻撃は大した効果が無かった。
液体を気にせず前へと進んでいく。
「チッ、やはり水で押し流すべきか!」
サシミモリの拳に水の波動が浮かび上がる。
「良い加減にしろよ!」
対するメンドの拳も熱く燃え上がり始めていた。
「はぁぁっ!!」
「ショウラァ!!」
2人の相反する拳がぶつかり合う寸前
「もう終わりだ。」
「「!?」」
何者かが双方の拳を受け止めた。
周囲には衝撃による爆発が起き煙が立ち込める。
「お前らは随分と強くなったんだなぁ………」
煙が晴れた中心にはメンドとサシミモリを仕切るような位置で才牙が立っていた。
「お前は、掛をどこにやったんだよ!」
メンドが叫んだ瞬間
「黙れ。」
才牙は軽くメンドの拳から手を離し押し出した。
「ぐあああっ!!」
メンドは目にも止まらぬ速さで吹き飛ばされる。
「ってえ………ミソフォームじゃねえと危なかったぜ。」
メンドは寸前にミソフォームに切り替えたおかげで何とか事なきを得た。
「サシミモリ、戻るぞ。イベントも今日で折り返しだ。そろそろ仕上げに入る。」
「………………分かった。」
才牙の目を見てサシミモリは察する。
彼は有無を言わせる気がない事を。
そして変身解除し、素直に立ち去っていった。
「あの野郎……一発食わしてやらねぇと気が済まねぇ………!」
(メンド落ち着いて!)
裕太の問いかけにも耳を貸さずメンドはチケットを用意する。
「トッピング!」
野菜盛りとチャーシューのトッピングチケットを同時に装填する。
「ウォララアッ!!」
渾身の力で野菜の乗ったチャースラッシャーを投げつける。
メンドの剛腕による豪速球は瞬く間に2人の背中を捉える。
「まずい…」
バーナードが対処しようと振り向くがそれよりも早く才牙は後ろを向いていた。
そして
「ばぁあああ!!!」
彼は大口を開ける。
その瞬間彼の口の皮膚と口内の粘膜はみるみると伸びていきそれに応じて何本もの牙のような歯が口内に出現する。
そして人の背丈半分程の大きさのある巨大なチャースラッシャーを包み込むはどの大きさに届いた瞬間口を何本も生えた歯が獲物を逃さんとチャースラッシャーを歯で抑え口元に運んでいく。
「っく!」
そして口を閉じていくにつれ皮膚と粘膜は収縮していきそれに応じ歯も彼の体内にしまわれていく。
「本当に地球人なのか………?」
あまりの光景にバーナードも我を忘れて唖然とする。
「はぁ………?」
(え……えぇ?)
メンドと裕太もまともな声が出なかった。
そして才牙は周りの反応も気にも留めずチャーシューと野菜を咀嚼したのち大きな音をたてながら飲み込んだ。
「………ふぅ。強いフードファイターは味も比例して美味くなるのか。良いことを知った。フフフ…………」
才牙はメンドを見てにやりと微笑う。
「こうなるとサシミモリの舟盛りも気になるなぁ………今度一息ついたら喰わせてくれよ?」
才牙バーナードに肩に手を置きながら語り再び振り向いて事務所へ向かって悠々と歩みを進め始める。
バーナードは察する。
自分は彼の喰い物にされる事。
そして、それから抗う手段がないことを。




