36品目 ピザ&パフェ定食
(お前は噂の…………)
「サシミモリ……」
パルフェクト達は彼の気迫に思わず後退りする。
ゆっくりと歩むバーナードは足を止めておもむろにチケットを取り出す。
「悪いな。お前らは運営から権利剥奪のお達しが来た。」
そしてブレスにチケットを差し込む。
「アンタ達の事は良く知らねぇが、変えてもらう。オーダー。」
低い声で呟きサシミモリへと変化を遂げる。
(ここはオレに変われ!パルフェクト!)
「分かりました!」
パルフェクトはパルフェクトステッキの刃を展開し人格の主導権を完人に委ねた。
「ピッザァー、出し惜しみは無しだ……足元を掬われた瞬間、待っているのは敗北のみ!」
剣を構えながらピッザァーに忠告する。
「分かってますよ……オレだって、伊達に修羅場潜ってないっスから!」
ピッザァーも目の前の相手を見据え意識を研ぎ澄ませる。
「おべんちゃらはそこまでだ!」
サシミモリは2人に駆け寄る。
「オレが相手だ!」
まずパルフェクトが真正面からサシミモリに近づき刃を突き刺す。
「甘いっ!」
サシミモリは体をわずかに逸らし体を回転させ攻撃をいなす。
そして背中がパルフェクトの目の前を向いた瞬間、上半身に瞬時に体重を乗せ肘を押し出す。
だが
「甘い、か。褒め言葉をありがとう。」
「?」
「スプラッシュホイップ………」
パルフェクトは焦る事なく剣先からクリームを真上に飛び上がる。
そして空中で体を半回転させつま先がサシミモリの脳天を捉えた瞬間スキルチケット『大盛』をパルフェクトステッキに差し込み発動させる。
「おっと!」
サシミモリはなんとか攻撃を避けるが避けた先には
「ヘルコルニチョーネ!大盛!」
同じく大盛チケットを使って技の威力を上げたピッザァーの攻撃が襲いかかる。
「荒波越え!」
サシミモリは自身の足元に荒波を発生させ体を浮かせ攻撃避けるが瞬間
「…………………エッジ!」
パルフェクトが地面に放ったクリームがソードモードのステッキの刀身にまとわりつき生クリーム状の巨大な刃が出来上がる。
「こしゃくな!」
サシミモリは手から炎を出しクリームの刀身を炙る。
高音の炎によってクリームは溶け刃は無効化されてしまうかと思われたが
「トッピング!」
トッピングチケット『香り引き立つブラック』をステッキに差し込む。
そして現れた2丁拳銃をステッキから持ち替える。
「ウィンナーコーヒーというものを知っているかな?」
クリームの刀身にコーヒーの弾を乱射する。
「本来は淹れたコーヒーの上にクリームを乗せ、混ざり合う事で変化する風味や香りを楽しむものだが……悠長な事は言ってられまい!」
コーヒーとクリームの混ざった刀身が出来上がる。
「シュバルツホイップ・エッジ!」
「んぐぅぅっ……!!」
(思った以上の実力だ………)
サシミモリはそれをなんとか受け止める。
「うおああ!!」
そして味で弾き返す。
「豊漁凱旋!」
彼が技名を唱えた架空から海水が出現し瞬間様々な種類の魚が所狭しと同時に出現する。
「行けえ!!」
魚達はミサイルのようにパルフェクト達を追い回す。
「トッピング!」
ピッザァーは『ストロングコーラ』のチケットを差し込む。
「これでも喰らえー!」
そして大砲でコーラの光線放った。
魚達は構わずコーラの中を泳ぎ続けるが次第に勢いを失い全てがピッザァーのもとに届く事なく力尽きてしまう。
「やっぱコーラの中は泳げないよなぁ。」
(完人さんは私が守る!)
「ちょっと待てパルフェクト!?」
パルフェクトは勝手にステッキの刃をしまう。
「トッピング魔法!クラッカーフラッシュ!」
魚達の鱗にクラッカーが突き刺さるり動きが鈍る。
「そしてニュートッピング魔法!ふわふわトラップ!」
『わたあめ』とトッピングチケットを差し込みステッキを振るともくもくとわたあめが出現し魚達を全て包み込んでしまった。
(助かったが……あまりキミを傷つけなくないんだ
。なるべくオレにやらせてくれ。)
「きっ傷つけたくない!?え?今の言葉はどういう解釈のどういう文脈の…」
また騒ぎ出したパルフェクトを押し込め再び完人が主人格となった。
「今度はこっちから!モッツァレラバインド!」
拘束技を繰り出すが
「燃やしてやる!」
また炎でチーズを溶かすが
「引っかかったな!」
溶けたチーズの上にピッザァーは飛び込み体中にチーズを馴染ませる。
そしてチーズまみれの状態でサシミモリに飛びかかろうとする。
「ふっ、こんなもん……」
サシミモリは難なく避けたが体に違和感を感じる。
「な?」
彼の体にはチーズがまとわりついていた。
「なるほど、溶けたチーズを体に塗り、その状態で活発に動く。すると粘着性と流動性をもったチーズが予測不可能な起動で飛び散り相手が避けたつもりでもくっつく事により相手を捉えていると。」
パルフェクト(完人)の推察にピッザァーは何度も頷く。
「こんなん剥がせば…」
「オーバーヒートハバネート!」
チーズを伝いハバネロソースの刺激的な光線がサシミモリの体に突き刺さる。
「なんでだ……」
サシミモリは体制を立て直そうとするが
「もらったぁ!!」
背後から迫っていたパルフェクト(完人)に斬られてしまう。
「本日2回目モッツァレラバインド!」
そして今度のチーズは避けることが出来ず拘束されてしまう。
「フッ!」
パルフェクト(完人)は即座に足を引っ掛け体制を崩した。
「ピッザァー!」
「ヘルコルニチョーネ!」
そしてピザ耳の形の棍棒で叩かれて吹き飛ばされてしまう。
「なんだこれはぁ?」
戦いの動向をこっそりとモニタリングしていた才牙は2人の連携に舌を巻く。
「ちくしょう!」
サシミモリはなんとかチーズの拘束を振り解くがダメージの蓄積によりその場で膝をついてしまう。
「お前ら……何かが違う…」
サシミモリは戦いの中で2人に違和感を感じていた。
「たった2人に、ここまで手間取るだとぉ……?」
才牙も自身の誤算に頭を抱える。
「教えてやろうか。オレ達は2人ではあるが、力の量は2人分では済んでいないんだ。」
「そう!飲食店で単品注文よりセット注文がオトクなのと同じで、オレ達は協力してより強くなってる!ねっ?完人さん?」
「独特な例えだが……まぁそういう事だ。」
2人の言葉にサシミモリはやっと違和感の正体に気づく。
(確かに………今まで戦ってからフードファイター達はみな1人の戦法ばかり行なっていた。自分のやりたいように勝手なタイミングで技を打っていたから、楽に対処できた………)
サシミモリもといバーナードは卓越した戦闘スキルを持っていた。
よって冷静に彼らの言葉の文脈の分析が出来てしまっていた。
(が、コイツらは相手の攻撃のタイミングで準備をし攻撃が途切れないように相手の動きを読んで判断して動いている。自身の持っている手数の量や特性を把握しとにかく相手の体力を削りとろうとしやがる………)
パルフェクトとピッザァーが連携を行っている事を理解した途端彼は拳をわなわなと振るわせる。
「ふざけるな!そんなちっぽけなものは強大な力の前では無駄なんだよ!!」
彼は頭に浮かぶ協力や信頼といった言葉に怒りをぶつける。
「1人だろうが、2人だろうが関係ない!オレの……オレの力を見せてやる!!」
サシミモリのスーツの中のバーナードの動向は大きく開きから口を引きつって動かなくなっていた。
そして興奮する筋肉を力任せにふるい2人に襲いかかるのであった。




