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32品目 反撃の下ごしらえ

「ここは……」

バーナードが目を覚ますと目の前には長いつばの帽子を深々と被りロングチョッキを羽織る地球人の姿があった。


「………誰だ、ぐっ…!」

バーナードは起きあがろうとするも身動きが取れなかった。

彼の筋肉は疲労の蓄積により自身の体重を支えきれなくなっていたのだ。


「キミ、体重何キロだっけか?重かったよぉ……腰が……腰が………」

彼の発する声色からバーナードは全てを察しため息を吐く。


「貴様に運ばれる事になるとはな、グトン、ううっ……」

バーナードは屈辱感を感じるも仰向けの体勢から動けずじまいで怒りを虚空に霧散させる他なかった。


「ココはどこだ?」

「F.F.Fの運営事務所の屋上。こっわいこっわい才牙様の根城だよぉ………」

グトンは身震いしながら応える。


「知ってるかぁい?バーナードくん。今地球人は大騒ぎだよ、市立の体育館が原因不明の爆発事故だなんだってねぇ………その上メンドに洗いざらい話しちゃだったんだって?」

口を尖らせながらグトンは語りかける。


「うるさい、相変わらず人の頭を覗き込みやがって……」

「しゃあないだろ。チラチラとさぁ見えるだもん。じゃあ、心を一切読まずにキミの現在の心境をズバリ当てたいと思います。」

グトンはバーナードの周りをぐるぐると歩き回り帽子の束を指で叩きながら言う。


「ズバリ!メンドを倒したい!」

人差し指を立てながら言い張るグトンをバーナードは睨みつける。


「うーん………やっぱオレ人の心分かってない?」

「あぁ。全然分かってねぇ。……メンドを倒すためにオレは力を得る、こんなもんじゃ足りないんだぁ………」

身を捩らせるバーナードの額は筋が浮かび上がる。


「こんなの、半分正解じゃん…………」

グトンは思わず呟いてしまった。


頂枡市北部──

「スッゴイ騒ぎになっちゃってる………」

スーパー銭湯のテレビに釘付けになっていたのは事務所を追放された舞味だった。


湿った髪をタオルで巻いた状態で我慢に食い入る。

画面の先のアナウンサーは体育館の周辺をリポートしていた。


「うん?なんでしょうかコレは………」

現場のアナウンサーが不意に地面の何かを見つめる。

カメラもアナウンサーの視線の先を追う。


「これは、ラーメンの麺………ですかね?」

映像には細かくちぎれたラーメンの麺らしきものが確かに落ちていた。


「えっ………」

その瞬間舞味の体に鳥肌が立つ。


「コレは、どういうことなんでしょうか………食べ残しのような……ラーメンの麺の様なものが落ちています、周囲には……茶色い液体らしきものも?スープなんでしょうかねぇ……ええとまた、情報が入り次第お伝えしますので、現場からは以上となります。」

状況に困惑しながらもアナウンサーは中継を一旦締めた。


「ぷは〜何日ぶりだろうな?やっぱ風呂はいいよなぁ、風呂キャンとかマジありえよんな舞味」

「掛!」

舞味は掛に詰め寄る。

「な、なんですか……?」


「なるほど、それは不味いな………」

牛乳瓶を片手に掛は舞味の話に眉を寄せる。


「記憶消去装置をなんとか作動させればまだギリギリ何とかなるかもしれない……」

「え?でも事務所はもう…………」

「チッチッチッ。」

人差し指を振りながら掛は舞味の言葉を遮る。


「確かにアイツは所長を名乗って配信をやりやがったし、事務所の設備や人員も使い放題。表向きじゃ完全にアイツの天下だ。だが正式な手続きを踏まず、オレ達を無理矢理追い出して所長を名乗ってるに過ぎない。権限自体はまだオレにあるからな。」

「でもどうやってアイツに歯向かうっていうの………?」


「ほい」

「冷たっ!」

掛はもう一つのキンキンに冷えた牛乳瓶を舞味の腕に当てる。

「その時の為のつめた〜い懐刀じゃないか。」


「完人君達やフローズンの事?でも才牙が妨害するせいで彼らとは連絡が取れない……」

「いやいや、すぐに誘き出せるさ。ちょっと待ってろ!」

掛は番頭に向かい何かを注文する。


掛の手には一本のフルーツ牛乳が握られていた。

「コレをこう!」

「えぇ?」

掛は地面にそのフルーツ牛乳を叩きつけようとする。

舞味は全く意味が分からなかった。


だがその瞬間

「待てえええええい!!」

どこからともなく響いてきた声がしたと同時に空中のフルーツ牛乳が消える。


「おい、大丈夫か?たとえフルーツ牛乳であろうがスイーツを粗末に扱う物は許さん!出てこい!」

「やはり来ると思っていたよ。壁沢完人。」

「掛?まさかお前が………?」

掛の前に現れたのはフルーツ牛乳を固く握りしめる完人だった。


「完人、すぐに残り6人を呼んでくれ。F.F.Fを取り戻す準備だ。」






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