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30品目 コガシてかましてくぜ!

「これで全員集まったか?」

カフェテリアNAGAREのテラス席に集まった完人達七人は同時に頷く。


「お前達は、掛に連絡はとったか?」

「もちろん!でも………全然繋がらなかったです。全員かけたんですけど。」

そう語るサブソフトの表情はすっかり憔悴し切っていた。


「事務所も電話が繋がらなくなった。おそらくあの才牙とかいう男が運営と我々の繋がりを断とうとしている事は想像に難くない……」

完人は顔の前で手を組み目を細める。


「ど、どうするんすか?完人さん?」

英二達の視線が完人に集中する。


「……よし。」

完人は顔を上げると手を挙げる。

そして

「この期間限定の柑橘系の果汁とヨーグルトソースをふんだんに使用した『ホワイトオレンジかき氷』全7種を1つずつ頼む。」


「「「「「「ずこーーーーーーーーー!!!!」」」」」」

英二達は衝撃から机に突っ伏す。


「ま、まぁいつもの完人さんだ……今の状況からしてブレない完人さんはある意味安心できるかも?」

英二がそう呟く頃F.F.F運営事務所では


「あのバカ()と菓子折博士の娘はまだ見つからないのか?」

未だ姿を消す掛と舞味に徐々に苛立ちを感じ始めていた。

「未だ、見つかりません………」

「何回目だ?その報告は。」

才牙は体を微動だにさせず金色の瞳のみを真横に動かし職員を睨みつける。


「ひぃっ………!!」

職員は思わずのけ反りそのまま蛇に睨まれた蛙の如く動かなくなってしまった。


「これだけ隙だらけだと思わず喰ってしまいそうになるな?まぁ、何度も言うがオレは地球人は不味いから食わん。不味い物は嫌いだ……分かったらさっさと消えろ!」

才牙は職員を蹴飛ばす。


「だへぇ!」

蹴られた職員は吹き飛ばされ所長室の扉にぶつかった瞬間、扉と共に廊下に放り出される。


「大丈夫ですか!?今すぐ手当を!」

蝶番の外れた扉の上で痙攣する職員は予め用意された担架で即座に運ばれた。


「フン、この程度で傷つくとはな。」

担架の上の職員を嘲笑ったその時だった。


「!」

何かを気配を察知した才牙は所長室の窓のブラインドを覗く。

彼の視線の直線上には赤い物が浮かび上がっていた。


「なるほど、今は地球人からあの液体をか………にしても派手にやるじゃないか、フードファイターがバレるのも時間の問題、か。」

才牙はそう言いながら唇の端を上げたのだった。


「裕太………あれって……」

筆箱の中に収まっていたチケット状態のメンドは険しい声で呟く。

「うん。まただ。」

裕太も小声で返事する。


「にしても随分と挑戦的だな。高校の僅か数百メートル先の建物を燃やすなんてよ!」

「やっぱオレ達を誘き出すために?」

「……だろうな。どうする?」

メンドは現場に向かうかどうかを委ねる。


「………行くよ。確かめたいこともあるし。」

「それでこそ裕太だぜ!」

裕太の判断にメンドは思わず笑みが溢れる。


「先生すいませんトイレ行ってきていいですか?」

裕太は教室を出るや否や空き教室に駆け込む。


(死ぬなよ、命の恩人。)

全てを察した焼也は心の中で祈る。


「オーダー!」

裕太はメンドに変身しようとチケットを差し込む直前

「たしかここにあった筈……」

備品を取りに来た教員が空き教室の引き戸を開ける。


「え……」

裕太は引き戸の音に振り向くと目を丸くする教員の姿があった。

「はぁ?」

教員はラーメンの鎧に身を包む生徒の姿に呆然とする。


「え、えっとぉ…………」

(なんか誤魔化してメンド!)

最悪の状況に繰り出されるメンドはしばらく考えたのち

「………………麺屋烏川をよろしく!」

そう言い残し窓を開け飛び降りた。


「な、なんなんだ一体!?」

教員は即座に部屋を飛び出した。


「おいガキ共。ガキらしくじっとしてろ。」

バーナードは冷めた目で戦闘形態で念力を互いにかけ合い組み手をするハルムとシルラを眺めていた。


「オレは別に気にしてないんですけどね。シルラ、バーナードさんの攻撃をメンドがやったと本気で勘違いしてまして。」

「ぜったいアイツがやったもん!ぜーーったいにぜったいだから!」

シルラの念力を加え威力を増した突きをハルムは受け流しながら答えていると


「おいお前ら!」

体育館全体に響き渡る呼びかけに3人は目を向ける。


「お前らの罠にまんまとハマってやったぜ!」

視線の先にはメンドが体育館上の観覧席に腕を組み仁王立ちしていた。


(ねぇ、やっぱりデリッシュにそっくりだ!)

裕太はバーナードの顔を見て確信に至る。

「そうだな。間違いなくデリッシュの親族だ。」

(うん…………)

裕太はバーナードの赤い髪と緑色の目を見て確信に至った瞬間、言葉を失う。


(そんな………デリッシュ………)

デリッシュに近い肉親であろうバーナードが惑星ショークを滅ぼした一派にいると言う事実を飲み込めずにいた。

「…………」

メンドは3人を睨みつけると同時に沈黙を貫き裕太の心の嘆きに耳を傾ける。


「メンド……メンドォ!!」

シルラはわなわなと拳を振るわせ叫ぶ。

「シルラ落ち着いて。まともにやればオレ達の圧勝なんだからさ。ね?」

ハルムはシルラの拳を両手で包み込むように握り彼女の緊張を解こうする。


(ちょっと!目立つ登場過ぎない?大丈夫なの?)

「良いんだよ。なんちゅうか、オレ達にコソコソやるのは似合わねぇだろうが?」

(それメンドでしょ!!オレ巻き込まないでよ!)

「フードファイターメンド!一丁お待ち!」

慌てる裕太をよそにメンドは観覧席から飛び降りて体育館の床に着地する。


「お前、結局の所ナニモンだ?」

(グトンの言う事が正しいか証明してやる………)

バーナードは静かに尋ねる。


「惑星ショーク再興を願う若き女王デリッシュの為に戦う、一杯の救世主ってとこかな?」

(うわーメンド変なスイッチ入ってるてぇ………)

呆れる裕太を完全に無視しメンドは自信満々にポーズをとる。


「オレ様は全部話したぜ?お前も正々堂々、洗いざらい話せや!」

(もしかしてメンド、オレの気を紛らわそうとしてる?)

裕太はやや過剰気味にご機嫌なメンドに尋ねるが返答は無かった。


「…………そうだな。オレはバーナード、真名はボノケーノ。お前と一緒にいるデリッシュと同じく惑星ショークの王家出身だ。」

バーナードは心に湧き上がる怒りを最大限おさえ込み平静を装い語る。

「デリッシュはオレの実姉。因みに惑星ショークが滅ぶように仕向けたのはオレが情報を流したからだ。」


「なんでそんな事しやがった?」

「ただ……ただ……」

バーナードはその瞬間どもりだす。

彼の脳裏には笑顔の姉の姿が一面に広がる。


「先に生まれたというだけで、惑星ショークの玉座に座ろうとしたからだ!」

幸せ溢れる攻撃を押し殺すように頭を抱えながらバーナードは叫ぶ。


「ここまではっきり言わせるとはな………お前にここまでの屈辱を浴びせられるとは予想外だった………消し炭だああああああああ!!!!!」

その瞬間体育館全体が火の海に包まれる。


「3度目の正直だ。ここで……ここでお前らまとめてあっさり倒してやらぁ!!」

メンドは強く足を踏み込み敵の懐には飛び込んでいく。


同時に消え入るほどの声量で声を絞り出す。

「許せ、裕太、デリッシュ!」

メンドの視線はバーナードを捉えていた。


「アサルトショウユ!」

渾身の飛び蹴りがバーナードを襲う。

(もちろんさ、メンド!)

決意を固めた裕太もメンドと共に右足を突き出す。

2人の放った必殺の飛び蹴りは獲物の弱点を正確に貫かんとする矢の如く正確にバーナードの心臓に突き刺さる。


「そんな物が通じるか。」

メンドの攻撃が当たることは無かった。


「オレを舐めるな。母性を失った代償に得た力が、こんなふざけたゲームの動画ごときに………叶うと思うなぁーーー!!」

「ぐあああ!!」

バーナードの体から発する熱波がメンドを押し出す。


「はーちゃん怖いよ!!」

「ハルム、隠れて!」

ハルムは涙目のシルラに覆い被さりながら距離を取ろうとするが


「うあああっ!!」

「きゃあーーー!!」

2人まとめて熱波の衝撃で壁に叩きつけられる。


「死すら生温いと感じる程の業火を喰らえ!」

バーナードは床に倒れるメンドに白く輝く火球を執拗に投げつける。


「シルラ、ここはバーナードさんに任せよう。オレ達の出る幕じゃない。」

「うっうぅ……うん…」

ハルムは冷静に状況を判断する。

そして涙ながらかろうじて頷いたシルムを優しく抱きしめながら超能力で姿を消した。


「何が救世主だ?食べ物の戦士だと?ふざけるな………戦いを舐めるなぁ!!」

バーナードは血走る目を見開きながら火球をメンドに当てていく。


「やべぇ……熱いなんてモンじゃ、ねえぞ……」

(オレにも熱さが、伝わってくる………)

メンドはなんとか起き上がりバーナードに近づこうと足を動かすが彼の際限無き追撃により一歩踏み出すのも精一杯の状態だった。


「なんで死なねぇんだよ…………とっとと灰になれよぉ!」

「うぁ!!」

バーナードの火球によりメンドは再度吹き飛ばされる。


「へへへ………」

酷く炎上し原型を失った体育館の床からメンドは乾いた笑いを浮かべ立ち上がる。


「こんなに炎の中にいたら、焦がし醤油になっちまうぜ?ハハハ……」

「ーーーーーッ!!」

メンドはその瞬間沸点を超えた怒りの熱波を浴びる事となった。


「バーナードくぅん?大丈夫〜?派手にぶちかましちゃってるカンジィ〜?」

「………ハッ!」

脳内に語りかけるグトンの声でバーナードは目を覚ます。


「オレは………うっ!」

バーナードは燃えた事により朽ちた天井からさす日光に思わず目を遮る。

そして視線が映った先には変わらず燃える原型なき体育館の姿があった。


「どれだけ時間が経った!」

「2、3分チョイじゃね?いやぁあまりにもドカーン!ってなってるからこうやって来てんジャン?」

「……………」

「来てんジャン?無視してるジャン?」

バーナードにはグトンの言葉が耳に入っていなかった。


「なんで…………いるんだ………」

バーナードは目の前の光景が信じられなかった。


(ねぇメンド?オレ達、変な事言うけどさ?オレ達生きてるんだよね?)

「そりゃそうだろ。ついでに強くなったしな!」

バーナードは目の前の会話も信じられなかった。


「メンド………オレはお前を……見くびっていたとでも言うのか?」

彼の目の前には黒い姿のメンドが立っていた。


「コガシショウユフォームの力、見せてやろうか?」

コガシショウユフォームとなったメンドは拳を突き合わせると呆気に取られるバーナードとの距離を詰めていった。

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