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22品目 暴走

「よっと!」

コールホールはペロリアの背後から挨拶がわりの飛び蹴りを放った。

ペロリアは突然の攻撃を認識できずよろける。


「きゃっ!何者……はっ!アンタあの時の!」

体制を立て直し振り向いたペロリアはコールホールを一目見るなり声色を変える。


「覚えてるのか。まぁ、やった方よりられた方がよく覚えてるって言うしな。」

コールホールは腕を組み片足に重心を乗せた立ち方でペロリアを見つめる。


「コールホール……初めて戦った時から、アンタのその態度大っ嫌い!」

ペロリアは声を張り上げ立ち上がり、コールホールを睨みつける。


「嫌いで結構。正直願いさえ叶えば人からの評価なんてどうでもいいからさ。」

「ぐっ………!」

2人の間に険悪な雰囲気が立ち込め周囲の空気が硬くなる。


「えっと……お知り合いで?」

完全に蚊帳の外のピッザァーは気の抜けた声で尋ねる。


「いや、倒した相手だから。2人で協力してやっちゃいましょうやピッザァーさん。」

「オレの名前知ってんの?どこかでお会いしましたっけ?」

ピッザァーは突如名前を告げられ困惑する。


「あぁ、電話口でしか知らないのか。オレ、コールホールですよ。」

「あっキミがコールホールなんだ。思った以上に見た目のケーキ感凄いね……」

コールホールは身体中にホールケーキを思わせる彩飾が施されていた。


「近くで見ればアイスだって分かるよ。まぁそんな事はどうでも良い。ひとまずアイツを仕留めよう。」

「そうだね」

コールホールはペロリアを再び見つめる。


(アイツは武器のワンドが無いと何も出来なくなる。だからひたすら距離をとって……)

「フローズンコール!」

コールホールは間合いを取って冷凍光線をペロリアの腕目掛けて撃ちだす。


「邪魔よ!」

ペロリアは光線をワンド一振りでかき消した。


「なんだって?アイツにそんな力が……ハッ!」

コールホールはペロリアの力に驚くがなんとか思考を働かせ歯軋りをする。

ペロリアの振りかぶりで冷気が飛散したに事により周囲に霧が発生してペロリアの姿が消えていたのだ


「アイツ、強いんだよ!違法アイテムのせいで…ぐほぉ!!」

ピッザァーはペロリアに伝言しようとした瞬間その場に倒れ尽くす。


「違法アイテうぐっ!」

コールホールもみぞおちにワンドの一撃を受けて変身解除してしまう。

そして痛みと共に彼の体に次第に熱さが込み上げてきた。

「アッツ!!」

コールホールは思わずみぞおちを抑えるが痛みと熱さで膝をついてしまう。


「フン、しばらく会わないからって舐めるからこういう事になるのよ。雑魚が!」

ペロリアは霧に身を隠し語りかける。

そしてワンドで顎を殴りその場から立ち去った。


「うぅ……なんてこった。」

一撃が応えたコールホールは変身解除してしまった。

「アイツのほうが順位上かよクソッ!」

悔しさのあまり床を叩く。

「大丈夫?一旦オレ達も撤退しよう!」

英二は変身解除し凍真の肩を掴んで歩き出す。


「そういえばキミさっきの攻撃熱がってたよね?熱がってたよね?」

英二は凍真の背中をさすりながら尋ねる。


「そうだね。なんか変なスキルチケットでも手に入れたのか?」

「やっぱりキミもなのか………」

凍真から話を聞いた英二はそのまま考え込み出す。


「キミも?」

「あぁ、実はね……」

英二は凍真に違法アイテムである液体の事を説明する。


「あの噂になってる奴、マジだったんだ。」

(あの所長……イベントの準備してる暇あるなら説明しとけよ……)

話を聞いた凍真は心の中で掛に対し毒づく。


「ハクシュ!ふぁ〜〜まだ治らないかぁ……」

その頃掛は鼻を啜っていた。


「そうなんだよ。んで、オレの仲間の完人さんとかは液体に触れても全然平気なのにオレとキミは熱いと……そういや名前言って無かったな。オレは生地原英二。」


「氷元凍真。で、オレ達2人とその他で何か違いがあるんじゃないの?」

「オレと凍真の共通点か………」

英二はなんとか共通点を捻り出そうと凍真の姿をまじまじと見つめる。


「ていうかずっとタメ口だけど大丈夫ですか?見た感じ年齢は同じっぽいですけど。」

「オレはタメ口でも全然良いけど?年齢は21歳かな?まぁ死んでるからもうこの先ずっと年取らないんだけどさ。」

「歳を取らない?オレも同じ21歳でもう死んでる。」

「えぇーーーっ!!!」

凍真の発言に英二は驚愕の叫びを上げる。


「は?………まさか!」

凍真も口を抑えて英二の顔を見る。


「「ゴースト枠って事!?」」

2人の声が重なり合う。


「て事は、コレ出来るの?」

英二がそう言った瞬間彼の体が足元から薄くなり次第に消えていった。


「あぁ、たまにそ使って休んでる。」

淡々と語る凍真の体も消えていき最終的にその場にいた2人は綺麗さっぱり景色から姿を消す。


「そうなんだ!ゴースト枠だなんて全く気づかなかった……」

「まぁ、自分でもわかる見た目や、体の感覚は生きてる人間と全く同じだしね。」

2人は同じタイミングで姿を戻す。


「てか、ゴースト枠ってオレ意外にいたんだ…」

「というかゴースト枠オレ以外にいたのかよ…」

2人はまたもや同じタイミングで発言してしまう。


それからしばらく沈黙がその場を包み込む。

「………フフ、なんで同じ……」

「そっちのセリフだよ……ハハハ……」

2回も言葉が重なってしまった事により2人は思わず笑ってしまった。


そんな中凍真の携帯に着信が入る。

「もしもし。」

「コールっちどうだった?倒せた?」

欠下からの確認の連続であった。


「いや、取り逃した。見ないうちに随分と強くなってて。」

「コールっちがそういうなら相当だね………大丈夫そう?」

欠下は顎に手を当てる。


「当然。マスターランクまで諦めるつもりはないからね。」

「さっすが〜!意識高いぃ!!」

「褒めてんのかよ……」

相変わらずのテンションに凍真が戸惑っていると英二が

「ちょっと変わっても良いかな?」

と言いたが手でジェスチャーをする。


「はい。」

凍真は英二に携帯を手渡す。


「もしもし。ちょっと電話変わるけどいいかな?オレピッザァー。そのペロリアの事なんだけどさ……」

(いきなりフードファイター名で自己紹介。アイツらの扱いを分かってる………器用だな。)

欠下のテンションに合わせて通話を始める英二を見て凍真は感心する。


「という事でペロリアはオレとその……コールっちで必ず倒すからよろしく!」

「あざっス先輩!」

英二は元気いい返事を聞いて勢いよく電話を切り凍真と顔を見合わせる。


「アプリで見たけどあんまり遠くには行ってないな。てかまだ店内にいるわ……」

凍真と英二は横並びで歩きながらF.F.Fアプリを起動していた。


「ほとんど使う事のい『場所指定マッチ』がこんな事で役に立つとは……」

英二達は相手のいる範囲を指定してフードファイターとマッチングする『場所指定マッチ』機能を使用しペロリアの追跡を行っていた。


「本当に全く動かない。誰かと話してるのか?」

画面上に映し出されるペロリアの位置情報は店内にあるものの微動だしなかった。

「確かに。」

2人は静まり返る店内を反応めがけてひたすら歩く


「てか話変わるけど英二はこの戦いでなんの願いを叶えるつもり?」

「へ?願い?」

英二は凍真の唐突な問いに思わず立ち止まってしまう。


「順位一位のフードファイターと運営のお気に入りのフードファイターには当人にとって旨みのある報酬があたる。つまり願いが叶うでしょ?英二の願いは?」

「願い……かぁ。」

英二はその場でしばらく考える。


「元々は生き返りたいと思ってたんだけどさ、なんか……最近はそんなにいいかなって思い始めてきた。」

「え?」

英二の回答が凍真は理解できなかった。


「なんで?願いのために戦ってるんじゃないの?」

「そりゃ最初はそう思ってた。でもやってく内にF.F.Fムズイな〜って思い始めてて………なんとなく幽霊でいる事にも慣れちゃったしムズイとは言ったけど楽しいしさ、現状維持でやってこうかなって。」

英二は能天気な作り笑いをしながら語る。


「……ケッ、アンタもかよ。」

ぶっきらぼうに凍真は低い声で吐き捨てた。

「え?どういう事?」

英二は意味が分からず戸惑うが凍真の自分を見つめる視線がとても暗く棘のある物である事には気づく。


(え?どういう事?意味がわからない……)

英二は停止する思考をなんとか働かせようとするが凍真の冷たい視線がそれを阻害する。

口の中が渇き、鳥肌が立つ。

英二はまるで時が止まったかの様に1秒1秒が長く感じた。


「な、何に気に触ったか分かんないけど……謝るよ、ゴメン。」

英二は目が泳ぎながらも頭を下げる。


「いや?別にF.F.Fをどう楽しむかは人次第だけどさ、ホントに願いを叶えなくてもいいの?」

「へ?」

凍真の声の真剣さに英二は体が硬直し喉が渇ききってしまった。


「ええっと……その……」

「オレは絶対に叶えたい願いがあるから戦ってる。」

英二の内心を知ってから知らずか唐突に凍真が口を開く。


「家族への復讐だ。」

英二はそのまま自身の願いを独白する。

淡々と告げられた言葉には声色からは汲み取れない程の感情がこもっており彼の立つ場だけ空気の流れが変わっていた。


「家族への復讐……」

英二はただ言われた言葉をおうむ返しするしか余裕がなくまた沈黙に襲われる。


「あっ今ペロリアが動いた……店の外に出ようとしてる。行こう!」

凍真は携帯を見ながら駆け出していく。


「待って!」

英二は謎の焦燥感に襲われながら後を追う。


「分かったか?アイツらはいわば最大の敵だ。」

その頃バーナードはペロリアこと飴宮結衣にとある説明をしていた。

そして一本の人差し指サイズの瓶を取り出しそれを手渡す。


「コレを飲めば………うっ!」

結衣はそれを受け取った瞬間その場にへたり込んでしまう。

そしてその瓶が握り込まれた右手から全身へ激しい悪寒と動悸に襲われる。


息も絶え、大量で額を濡らす結衣をバーナードは蔑んだような自然で見つめる。

「へへ、地球人じゃ持つだけでも精一杯ってとこか。こんな事で飲んじまったらどうなるんだろうな。」

「え!?」

思わず結衣から視線を逸らす。



「まぁお前は既にオレ達の指示で街を破壊した。今更戻れねえな。」

「そんな………ただマスターランクまで行きたかっただけなのに………!」

結衣はたと我に帰り涙を流し始める。


「これじゃ飲めねぇな…やれやれ。」

バーナードは嗚咽を漏らす結衣を見てため息を吐く。


そして次の瞬間

「オラ貸せっ!」

「ひゃい!」

バーナードは瓶を結衣の手から取り上げると彼女を無理矢理羽交締めにする。


「もう戻れねぇっつたろ?腹括れや!」

バーナードは棘のある声で耳元で囁きながら瓶の中身を結衣の口内に押し込んだ。

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