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13品目 学校でのフードファイト

尾井司高校空き教室──

午後の昼休み。


人気のない教室内でメンドと裕太は話し合っていた。


「期間限定新メニューを見て欲しいだぁ?」

「うん。コレなんだけど……」

チケット状態のメンドが裕太から突如頼み込まれる。


「ほほぅ『烏川激辛醤油』っていうのか?」

メンドは新メニューの名前と写真の載った紙を見せられる。


「うん。元々は夏頃に出す予定だったんだけど店長が最近暑いし前倒しするって言ってさ。」

裕太は窓から刺す日差しを一瞥する。

太陽は高く昇り、曇り無き青空には強い紫外線が止む事なく降り注いでいた。


「いやぁホント暑い………ブレス隠す為に長袖着てるけど、もう限界だわ………」

「なるほどな。確かにラーメンにとってもこの気温は痛いぜ。てか、夏に辛い物出すなんて普通だろ?麺屋烏川って比較的新しい店なのか?」


「そうだね……去年出来たばっかだからさ……」

「そうだったのかよ……道理でラーメン屋の店主の癖に色々と聞いてくるんだと思ったぜ。」

メンドは色々な考えが腑に落ちる。


「まぁいいぜ。実物を見て判断してやる。」

「ありがとう!うん?ブレスが……」

突然裕太のフィディッシュブレスが反応しだした。

裕太は長袖を捲り中に隠してあるブレスに携帯をかざす。


「えっ……!えっそんな、マジで…………?」

裕太は画面を見て声を漏らす。


「なんだよいきなり?」

「いや……その………この学校にフードファイターがオレ含めて4人いてさ……」

「なんだって!?」

裕太の告白にメンドも動揺を隠せなかった。


「どうしようか………」

「全員ぶっ倒すに決まってんだろうが!」

メンドは間髪入れず即答する。

「相っ変わらず血の気多いな………いやでも時間的に無理だわ。」

裕太が言ったそばから校舎内にチャイムの音が響き渡った。


「多分、流石に授業は出ると思うからさ。放課後に戦ってもいいかな?」

裕太は手を合わせて頼み込む。


「ダメだダメだ!そもそも放課後は新メニュー見る予定なんだろうが!」

「いやそうだけど……少ない時間で4人倒す力試しみたいなの興味無い?」

裕太はわざと舌を出しながら言う。


「お前………ホントに良い性格してやがるな!そんなん聞いたら燃えてきちまったじゃねえか!よーし放課後に見つけて一気に倒してやる!」

メンドは高揚する。


そして同時刻。

「今日集まってもらったのは他でも無い。コーンガリとロッドドッグが使っていたとされる液体の話よ。」

日傘を差し、アームカバーにサングラスに帽子で日差しを完全に遮断している状態の舞味は2人を呼び出していた。


「ロッドドッグってオレが取り逃した……やっぱアイツもなんですか!」

「…………ふむ。続けてくれ。」

英二と完人は舞味の返答を仰ぐ。


「始まりは英二感が確か報告してくれた時からね。」

「はい。あの時………」

瑛人は手に触れると暑い緑色の液体についての説明をした。


「んで、その事を運営への意見所に出したら、舞味姐さんから即返信来て、そのまま完人さんの所までいてもらってって感じです。」

「そういう事だったのか。その液体の情報は分かったのか?」


「いや全然。だから貴方達3人に調べてもらおうってワケ。」

「えと…………3人って………ワタシも入ってるんですか?」

パルフェクトがチケット状態でひょっこりと完人の胸ポケットから姿を現す。


「うん。そゆこと。あっあと嘘ついた。一応調べた結果その液体に関わってるかもしれないフードファイターを絞り出しはしたんよ。英二君のスマホに送るね。」

「あっ今来た。」

瑛人は送られた画像データを開き、完人、パルフェクトと共に確認する。


「うん。待てよ?」

一覧を見て完人が眉間に皺を寄せる。

「この串田焼也(くしだしょうや)という人物。尾井司高校の生徒なのか!」


「そうだね………あっ……完人君の言わんとしてる事わかったよ。」

舞味も完人の真意に気づく。


「どうしたんですか?」

何も知らない英二が尋ねる。


「その………この高校には知り合いのフードファイターがいるんだ。」

完人は裕太とメンドの事を説明し始める。


「ここか。」

完人と英二は尾井司高校の正門前に立っていた。


「ホントに正門前から堂々と入るつもりなんですか?忍び込むしか無いでしょオレ達部外者だし。」

英二君は完人の提案が心配で仕方なかった。


「問題ない。寧ろコソコソとやるから怪しまれるのだ。今の時間は大体6時間目の後半辺りだろう。このタイミングを逃せば放課後になって生徒達の動きが活発になる。教師も生徒も教室に篭ってる今がチャンスなんだ。」

完人は真っ直ぐ正門を見据えながら言う。


「では行くぞ。」

「いやいやいや………!」

完人は瑛人を差し置いて正面玄関に向かう。


そして数十秒後。

「忍び込むぞ。」

そそくさと戻ってきた完人が英二に告げる。


「あなたの掌ホットケーキですか!?くるりとひっくり返りましたよ!?」

「ホットケーキ……そういえばしばらく食べていないな………今日のおやつにでもするか。」

「呑気過ぎるわ!」

「こんな時でもブレない完人さんもたまんなぁ〜い!!」


同時刻。

尾井司高校の3階。

そこには2年生の教室が建ち並ぶ。


授業中の校舎はただただ静かでチョークがカツカツと黒板を走る音さえ響き渡っていた。


(壁沢さん何やってんだ………?)

窓際の席に座る裕太は正門前でドタバタとする完人達が見えていた。


「すいません先生、トイレ行ってきていいですか?」

「どうぞ。」

不意に同じく窓際の席の生徒が便意を理由に退室する。


「オイ裕太、お前もトイレっつって行けよ。外にいるアイツらを確かめるぞ。」

小声でメンドが呼びかける。


「いや間髪入れずに行くとか無理でしょ。」

裕太は手を横に振る。

「はぁ?そういうもんなのか?」

「そういうモンなのか?」


(うん……なんだ?)

教師は下を向きながらコソコソと何かをする裕太を不審に思う。

「麺矢くーん?授業聞いてますかー?」

「はっはい!えぇと…………」

裕太は慌てて教科書を見る。


「えぇ!?あっ…………!デカい声出しすぎた……………」

そして男子トイレでは1人の生徒が思わず声を出す。


「運営にバレてるって………昨日買ったばっかなのに………おかしいだろ!」

男子生徒──串田焼也(くしだしょうや)は個室トイレ内で声を荒げたい気持ちを必死に抑えスマホに向かって語りかける。


「仕方ねぇだろ。そういう商売なんだよ。イヤなら他を当たれば良いぜ。」

冷酷な声は非情に告げる。


「他にすがるところが無いからこう慌ててるんだろが!どうすれば良い!?」

「うーん………」

通話口の声はしばらく思考を張り巡らせ始める。


「早くしろ………ほら!早くしろ……!」

「アイツらがこっちの事を分かってるって事はこっちも相手の事は分かってるんだよ。」

不意に通話口の声が語り出す。


「実は運営の奴らが2人のフードファイターをお前の学校に向かわせてるんだが、そいつらはお前を狙ってる。返り討ちにしてやれよ。強くなる為に大枚はたいて買ったんだろう?」

「そっそういう事か………!」

追い詰められていた焼也は無謀な賭けである乱暴な提案に納得してしまった。


「そして、お前の学校ってお前含めて4人フードファイターいるの知ってるか?」

「えぇ……知ってるよ。昼休みに一網打尽にしようとしたけど、時間がなくてね。」

「そいつら+αで2人もやっちまえよ。どうだ?」

焼也は無言で頷き個室トイレを抜け出した。


放課後──

「さぁてと、さっさと4人ぶっ倒して新メニュー見てやるとするかぁ!」

「分かった。」

裕太は携帯をかざしランクマッチの募集を開始すると


「アレ………?」

裕太は首を傾げる。

「どうしたんだよ?」


「3人いた反応が………2つ減ってる。」

「なんだって!」

メンドは仰天する。


「まさか、もう倒された?」

「うかうかしてられねぇ!一気にやるぞ!」

「オーダー!」

裕太はメンドに変身する。


(アイツは2階の体育館横の教室にいる!)

裕太は画面に映る場所をメンドに伝える。

「さっさと行くぜぇ!」

メンドは早速場所に向かった。


「ハッハッハ!ちょろいちょろい!」

焼也は2枚のチケットを見て笑う。


「やっぱあのソースは最高だ!ハッハッハ!さてと、もう1人も狩りに行くかぁ〜………アレ?」

高笑いでひとしきり喜びを噛み締めた焼也は画面を見て眉をひそめる。


「一階の教室に見た事ない反応が……?」


「ハァ………ハァ………なぜお前だけ反応されず入れた」

「オレ幽霊だからその気になれば姿を消せるみたいなんです。」

焼也が見た反応は完人達のものだった。


「不味い!そろそろ来るぞ!」

「ええっと………どうします!?」

完人達は足音をを察知してなんとか姿を隠そうとする。


「本当に不審者が?」

「はい。さっきも正門から入ろうとしてた人でこの教室に!」

数人の教師が教室の扉を開いた瞬間


「誰もいない………………」

教師2人は教室内をくまなく見回すが人の陰は見当たらなかった。


「見間違いなんじゃないですか?」

「えぇ……?」

教師の1人は釈然としない様子で教室を出ていった。


「いきましたよ。完人さん。」

姿を消していた瑛人は虚空に向かった呼びかける。


「ふぅ…………危なかったですね。」

そして突然、パルフェクトが姿を現しだす。


「一定時間姿を消せるスキルチケット『からっぽ』。手に入れてたんスね。最初から言ってくれれば良かったのに。」

「完人さんはアナログ人間なのでそういうの気づかないんですよ。でもそんなつたない所も可愛くて良いですよね?」

パルフェクトが笑顔で語り出す。


(でもどうする。ちなみにチケットはあの一枚きりだぞ。)

「ならオレが探しますんで、パルフェクトと完人さんはどっかで待っててください。オレがそこまで誘導するんで。」

(確かにその通りにした方が良さそうだ。)


───



(メンド、トイレに隠れて!)

(あっそこの机の下!)

(天井が高いから貼り付ければオッケー!)

(そっちは駄目!こっちの廊下から!)

「隠れてばっかで全然進めねーじゃねぇか!!」

その頃メンドは校舎を歩く生徒や教師達の視線から逃れる為に身を隠しながらの移動のため、目的の相手に辿り着けずじまいだった、


「もう変身解除した方がいいんじゃねぇか?」

(そうかもね。)

メンドはチケットをブレスから引き抜き裕太の姿に戻る。


「クソっ!やっと止まった!チョロチョロ動きすぎなんだよ!」

その頃裕太を探し出そうと焼也も手を焼いていた。


「見つけた!」

そしてえが焼也を見つける。

「お前は!」

「ゴースト枠のフードファイターだよ。オーダー!」

「クソッ……オーダー!」


「なんか、2つの反応が一階いや……校舎裏で戦ってる!」

裕太は現場に向かうと


「アッツイ!!ダメだやめアッチイィィィッ!!なわでこんな熱いのぉオオオオ!!」

「熱いかどうかは知らないが、ここで終わらせる!」

裕太達の知らないフードファイターが戦闘を繰り広げていた。


「知らないフードファイターが戦ってる!どっちが壁沢さんの……」

「考える前に動くぞ!」

「うーん………分かった!オーダー!」

裕太はメンドに変身する。


「ショウウラァッ!!」

メンドは早速2人の間に割って入り込む。


「お前をガラにしてやる!」

「そうかお前が………オレは焼き鳥のフードファイター、ファイヤーバード!来い!」

メンドは焼き鳥のフードファイターと戦い始める。


「フライングバーン!」

ファイヤーバードは串焼きを模した2本の剣から火炎の斬撃を放つ。


「アディショナル!」

メンドはシオフォームにチェンジする。


「そんなの塩の流れからすりゃチョチョイのチョイだぜ!」

シオフォームは次々と攻撃を避けていく。


「ならば、トッピング!」

ファイヤーバードがトッピングチケットを使用する。


「ネギマハンマー!」

巨大なネギの形のエネルギー体がメンドに降り注ぐ。


「ぐぅ……デカすぎだろ…!」

メンドはそれをなんとか両腕で受け止めるが

「フライングダイナマイト!」

その隙にファイヤーバードの必殺技によって吹き飛ばされてしまう。


「クソッ……攻撃が重い!」

メンドはダメージの蓄積により膝をつく。

「アイツはF.F.Fの運営が認めていない違法アイテムを使ってるんだ。おそらくそのアイテムのせいであの剣の攻撃力が増している!」

ピッザァーは助言を与える。


「オメェ詳しいな……どこの回し物だ。」

「F.F.Fの運営。」

「「運営!?」」

ピッザァーの言葉にメンドと裕太は狼狽える。


「あのふざけた野郎かよ!」

(あの人かぁ………)

「えっあなたも運営と繋がりが?」

ピッザァーが逆に驚いていると


「ピッザァーさーん!」

(何をグダグダとやっている!なっメンド?)

完人とパルフェクトも校舎裏にやって来る。


「オイなんで裕太の事知ってんだよ?」

「完人さん知り合いなんですか?」

(お前達話は後だ!彼奴を倒してアイテムの事を吐かせるぞ!)

(吐かせる?なんの話?てかこの声って壁沢さんじゃ……?)

メンド、ピッザァー、パルフェクト達は口々に言い合う。


「お前らなんなんだよ……!いいからやられろよー!!!」

ファイヤーバードは火の斬撃を飛ばす。


「クラッカープロテクト!」

パルフェクトが斬撃を受け止める。


「完人さんに、いい所見せなきゃ!」

「お前硬いんだな〜助かったぜ!」

「3人いるから、一気にやってしまいましょうよ!」

3人のフードファイターはそれぞれの構えを取る。


「アディショナル!」

メンドはショウユフォームにチェンジしてその場で飛び上がる。


「待て!」

ファイヤーバードが上を向く隙に


「スプラッシュホイップ!」

「オーバヒートババネート!」

2人が遠距離から必殺技を放つ。


「ぐああああっ!!」

ファイヤーバードは剣で塞ごうとするが必殺技2つ分の威力には勝てず真正面から喰らってしまう。


「アサルトショウユ!」

そして天高く舞い上がるメンドが飛び蹴りでファイヤーバードを踏み潰しファイヤーバードを撃破した。


「へへっ……決まったぜ。」

(メンド、そろそろ行かないと!)

「マジか!あの2人の奴ら気になるが、仕方ねぇ!」

メンドはそそくさとその場を去っていった。


(あぁメンド待て!)

完人はメンドを引き止めようとするが時既に遅く彼は一瞬で行ってしまった。


(くっ………紹介するつもりが………)

「完人さん?あのフードファイターって?」

(まぁまた後日説明する。まずはアイツから話を聞き出すぞ。)


「うっうぅ………」

その頃変身解除した焼也は隙をついて地面を這いずりながら逃げようとしていた。


「待て!」

だがすぐにピッザァーに取り押さえられる。


「あのアッツイ液体。どこで手に入れたの?」

「アツい……?」

「いやアツいでしょ!もう触れないレベルの熱さだよ!どうやって塗ったんだよ!?ねぇ?あんな熱い液体普通扱えないよ!」

英二は興奮しながら詰め寄る。


「はっ………はい?」

焼也は英二の質問内容に困惑し始める。


「オレ初めて触った時さぁ?マジで腰掛けるかとおもったもん。アレをさぁ、他のヤツらも武器に塗ってたぽいじゃん?おかしいよ!」

「えぇっと………………………」

焼也は突っ込もうとするが英二の言葉が止まらず黙り込むしかなかった。


「いやオレさ、熱さには敏感なの。うるさいの!なんたってオレ死ぬ時に人間サイズのピザ釜に入れられたからね。ほんっとに死ぬかと思った!てかして死んでたわ!」

「………………」

焼也は心の底から呆れた目で英二を見る。


「そんなオレが今はピザのフードファイターだなんて、因果なモンだよねぇ〜?」

「…………………………話終わりましたか?」

「うん。」

「なんの話だったんですか…………………?」

焼也は正気になって尋ねる。


「オレがピザに殺されたようなもんなのにピザの力で戦ってる話…………何故今その話を?」

英二も正気に戻る。


「全く………ひとまず舞味に連絡するぞ。」

完人はため息をつく。


麺屋烏川──

「じゃあ店長、早速例のブツを見せて貰おうか……」

(なんでちょっと声色変えてんの……?)

メンドは足を組みながら店の椅子に腰掛ける。


「えぇ旦那、例のブツは既に用意しておりまっせ……」

店長も声色を変える。

(なんで店長も合わせてんだよ!)


「「……………………フフッ。」」

そして2人は数秒間見つめ合ったのちに笑い出す。


(なんの時間だよ!)

「そっちから出せよ。例のブツをよぉ……」


「まぁまぁ焦らずに……そちらから……」

店長が手を差し出す。


「オレないんだよ………」

メンドは手を横に振る。


「そうでしたねぇ………」

店長は神妙ない顔で呟く。


(さっきから内容が無いよう!)

「「………………………フフッ。」」

(いいよその笑いは!!)


「店長、こんにちはー!」

そしてデリッシュが店内にやって来る。


「えっ…………」

デリッシュはしばらく店内を見回す。


「大体わかったわ………」

デリッシュも声をひそめる。

(乗っかるな!)


そしてメンド、店長、デリッシュの3人は互いを見つめ合う。

「「「………………フフッ。」」」

(その笑い擦んなくていいから!)

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