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1品目 あっさり倒してやるぜ!


惑星ショーク──


「奴らに勝つにはどうしたらいい!」

「彼らの持ち得ない、力が無くては!」

「でもなんですか!私たちにあって、彼らに無い力とは!」


「それは……それは……それは……」


──頂枡市(ちょうすし)尾井司高校(おいしこうこう)

昼休憩の時間

「学校の守り神?何それ?」

教室の椅子にしがみつきながら、麺矢裕太(めんやゆうた)はクラスメイトの話に耳を傾ける


「いやいや、マジでいるらしいんだよ。この尾井司(おいし)高校の自動販売機には、守り神がいるらしくて、悪い物からこの学校を守ってるらしいんだってよ!」

クラスメイトの1人が()()()()()()()()()()力説する。


「悪い物って主語デカ過ぎだろ!」

「それっていつからの話?」

「らしいばっかじゃん。ソースだせよ。」

話を聞いていた裕太達周りの生徒は呆れながら尋ねる。


「部活の先輩。」

「え?」

「男バレの大盛先輩が言ってた。」

それを聞いて裕太は失笑する。


「いや……あの人って普段から冗談ばっか言うじゃん。本気で信じてんの?」


「いいや?なんかその話してる時はなんかすっごい険しい顔でさ、マジトーンだったの!」

「えぇ………ほんとに?」

裕太は空気を読んで同意するが全く信じていなかった。


その日の下校時、裕太は自販機置き場に向かった昼休憩の

話をふと思い出す。

「………そういえば守り神がどうとか言ってたな。」

 守り神の自販機。

 思い出した瞬間から裕太の頭の中にその言葉がこびりつきだした。


「来ちゃったよ……」

裕太は何かあるわけでもなく自販機の前に立つ。


 目の前にはいつも通り、どこにでも立っている普通の自動販売機があるのみだった。

(守り神が………いるつったってねぇ。やっぱ普通じゃん。)

 裕太は立ち去ろうとした瞬間


 「………ここか。」

「え?」

裕太は背後から声がしたのを感じる。


「え……!」

 裕太は背後を見るが背後には誰もおらずその場には裕太1人だけだった。


「…………気のせい?」

そして裕太は自販機に向き直る。


「…………なんか買おっかな。」

裕太は特に喉は乾いていなかったが缶コーラを買い駐輪場に戻った。


「なるほど………この星には人々に加護を与えその代わり金を徴収する守り神がいるのは本当だったと。」

裕太の背中を見ながらフードに身を包んだ1人の女性が呟く。


 (引き続き、守り神の調査を行おう…………)

フードの女は自販機を一瞥する。


 (そしてあの男についても。)

次に裕太に視線を覗かせながらフードの女は自販機売り場を去っていった。


「あぁ月曜だから体動かねえわ〜」

「ほんとマジヤベェわ。てか今日帰りコンビニ行く?」

「うん!てか最近」

これから体育館に向かって歩いていく部活の練習着姿の生徒達とフードの女はすれ違う。


「発売のイチゴメロンパン結構美味かったわ。」

「へぇ〜買ってみようかなぁ……」

生徒2人は女に反応を示さず素通りしていった。

(やはりあの男にはこのフードのステルス機能が効いていなかった……)

 フードの女には自信の方に振り返った裕太の姿が色濃く残ってるいた。

 

「よっと。」

裕太は自転車を止めコンビニの自動ドアまで足を運ぼうどしたその時


「オイ!お前ら!コイツがどうなっても良いのかよ?」

「ひぃっ!!」

店員の1人を羽交締めにしながらナイフを突き立て、男が店内で騒いでいた。


(ちょっと待ってよ………このタイミングで!?)

あまりの状況に裕太は自動ドアの間で立ち尽くす事しか出来なかった。


「もう、警察呼びましたから!これ以上は無駄な足掻きですよ。」

別の店員は男に告げながら携帯の画面を突きつける。


それと同時に

「あっパトカーだ。」

固まっていた裕太はサイレンの音で正気に戻りその場から離れる。


 裕太が振り向いた先にはけたたましいサイレン音を鳴らしながらパトカーがコンビニの前まで来ていた。


「そんなんでオレがビビると思ってんのか!?オレにはなぁ()()()()()の力があるんだよ……」

犯人の男はナイフを投げ捨て店員を突き飛ばし懐から何かを取り出そうする瞬間


「騒がしい!」

机を強く叩く音と共に店内のイートインスペースの方から何者かの大声がする。


「なんだ今の声?犯人か?」

「違うと思います………イートインスペースから出てきましたよ!」

その声は店の外にいた警官や裕太の元にも響いていた。


「全く………オレの儀式の時間を邪魔しやがって。まさに不俱戴天。」

男は堂々と店内を練り歩き犯人の前に立ちはだかる。

黒いロングコートを羽織り首が隠れるほどに長い黒髪をさらりと流しながら大きな目で男は暴漢を睨みつける。


「ふざけてんのかゴラァ……!」

暴漢は怒りに任せ男に向かって拳を振るう。


 放たれた拳は男の頬に命中した。

「なっ…………いてええっ!」

突然暴漢は途端に手を押さえその場にうずくまる。

男の頬は鋼鉄の様に固く暴漢の拳は赤く腫れ上がっていたのだ。


「当然だ。ただ喚き散らし己の半端な力を固辞する輩と毎日午後4時に甘味を口にするおやつという儀式を1日足りとも怠らなかった敬虔なオレとでは、人間の出来が違う。ふっ!」

「おい!離せぇ!」

男は暴漢の腕を掴み上げそのまま持ち上げる。


「新発売のイチゴメロンパン、中々美味だった。」

店員にそう言い残し警官の前まで暴漢を運んでいった。


「ご協力感謝致します。早速ですが、お名前は……」

壁沢完人(へきざわかんと)。儀式の邪魔をするのであれば誰であろうと容赦はせん。」

 完人は警官をじっと睨みつける。

 その目力に警官は思わずたじろぎ何もできなかった。


 「ふむ……やはり前回の物より香りが強くなっているな……」

イチゴメロンパンをかじり感想を述べながら完人はコンビニを去って行った。


(なんなんだ………この人?)

裕太は完人に奇異の視線を向ける。


「やはり食べ物の力は凄まじい……この星に来て良かったわ。」

フードの女も一部始終を見届けていた。


「ただ、あの持ち上げられてた男が言っていたとっておき………まさかね。」

フードの女は抵抗するもパトカーに運ばれる男を見て険しい表情を浮かべる。


「こらっ暴れない!」

「話は署で聞くから!」

いまだ暴れるのをやめない暴漢を乗せてパトカーは警察署へ向かっていた。


「クソが!そう言ってられんのも今の内だ!」

暴漢は突如左袖を捲ると、そこには腕輪が嵌められていた。

「オーダー!」

そう叫びながら暴漢は一枚の札を懐から取り出す。


「勝手を真似をするんじゃない!」

警官に腕を掴まれるが暴漢はなんとか腕輪のスリットに札を差し込む。


「ヘヘヘ!!捕まってたまるかってんだ!」

するとその瞬間、車内は暗いもやに包まれる。


「うわああっ!!」

「何なんだ!」

視界が遮られパニックになった運転手は電柱にパトカーを激突させる。


「アレは!?やはりそういう事なのね!」

フード女は何かを察知し歯を噛み締める。


「オラァ!!」

暴漢は強化された腕力でパトカーの天井を破って脱出する。


「あっちに逃げるか!」

暴漢は尾井司高校の方角に飛び跳ねながら逃走を図る。


 「オラオラァ!!」

暴漢が侵入したのは自販機置き場の周辺だった。


「何だあれ!?」

「イカの…………バケモノ?」

生徒達は一斉に暴漢に注目する。


「惜しいな。イカ墨パスタだよ!」

暴漢の体は黒色のパスタとイカのゲソに包まれた異形の姿になっていた。

「イカ墨パスタのフードファイター、スクィンクだ!」


「良いから逃げるぞ!!」

「おっおう!」

生徒達は一目散に暴漢から逃げる。


「チッ、通報される前にアイツらを!」

スクィンクが生徒を襲うと走り出した瞬間


「くわああっ!」

スクィンクは床に落ちていたペットボトルにつまずき転ぶ。


「なんで,ペットボトルが…………」

よろけながらスクィンクは起き上がり自販機に寄りかかると

「学校の平穏を乱しおって!」

「ごはぁ!」

何かの存在に殴られてスクィンクは空に吹き飛ばされる。


「ゲッ!?何あれ……!?」

「いでででで………」

裕太の目の前には空から落ちたスクィンクがいた。


逃げようと自転車の向きを変えたその時

「そこの貴方?」

裕太の目の前に女が姿を現す。


「うわああ!!誰………ん?でも声はどっかで………」

「やはり守り神を視察していた時に反応した地球人だったのね。ごめんなさい、さっきから後を付けてたの。」

女はフードを脱ぎだす。

 中から赤い髪の毛と緑色の目が露わになりやや幼さは残るものの整った顔立ちの女性が裕太の前に現れる。


 (もしかしてオレより年下?でもすごい派手な髪の毛………)

「どうかした?」

「いやなんでも!」

 裕太は必死に頭を横に振る。

 (でも……キレイだな………)

 裕太は驚きつつも目の前の女性の美貌に見惚れる。


「私はデリッシュ。惑星ショークの女王と言っても………まぁ今はもはや肩書きですら無いのだけど。」

どこか遠い目をしながら自己紹介をする。

「は?」

 デリッシュも名乗った自己紹介内容に女性の裕太は目が点になり先ほどまでの感情は消え去る。

(惑星?女王?何言ってんのこの人?やっぱ髪の色もアレだしヤバい人なんだ……そもそも後つけてたらしいしヤバい人なんだ!)

 

「ちょっと何が何だか………」

「貴方の名前は?」

「すいません!オレ用があるんで〜!」

裕太は即座に逃げようとするが


「待って!普通に私たちの声が聞ける貴方に渡したいものがあるの!」

デリッシュは自転車のハンドルを掴み語りかける。


 「ちょ!?」

 (ヤバいこの不審者アクティブだ!)

裕太は無理矢理ペダルを漕ぐがデリッシュに抑えられているせいで全く進まなかった。

「フードファイターの資格が貴方にあるかもしれないの!」

デリッシュは真剣な眼差しで訴える。


 「フードファイター?オレ食べる量普通だしぃ!やっぱおかしい人だ〜!」

「お願い話だけでも〜!」

2人は押し問答をしていると


「オラ!」

「キャアアッ!!」

デリッシュはスクィンクが放つ墨の弾を受け倒れる。


「オレみたいな危ねえモンがいる中よく悠長に会話できるなぁ〜?お前らオレを見たんだろ?逃がさねぇよ………」

スクィンクはじりじりと歩み寄る。

 「こうなったら!」

倒れたデリッシュは懐からスクィンクの物と同じ腕輪を出す。


「今度こそ………オーダー!…………やはり反応しない………!」

札を腕輪に差し込むが何も起こらなかった。


「あっあぁ…………」

裕太は逃げようとするが


「サツに突き出そうなんてそうはいかねぇ!」

「ぐああっ!」

裕太も墨の弾で自転車を突き飛ばされる。


「うぐっ………!なりふり構ってられない!」

デリッシュは力を振り絞り裕太の元に駆け寄る。


「ちょっといい!腕貸して!」

「えっええ?何!さっきから何が何だか、」

デリッシュは裕太の左腕を掴み上げ腕輪を取り付ける。


「これはフードファイターになる為のフィディッシュブレスでこっちはチケット!今から変身させるから戦って!」

そう言いながら裕太の腕のフィディッシュブレスにチケットを差し込む。


「いやそう言う事じゃなくて聞きたいうっ………!」

チケットが差し込まれた瞬間、裕太は目を見開く。


「うっ……ああっ………!!ぐぅああぁ!!!」

なんとか立ち上がるも胸を押さえながら呻き声をあげ苦悶の表情を浮かべる。


(今までにない反応………一体どういう?)

 (なんだコイツぅ?フードファイターになるだけでなーい苦しんでんだか。)

裕太の様子をデリッシュとスクィンクは驚きながらも観察する。


「なんなんだよさっきから!やらねぇならこっちから行くぜ!」

暴漢が裕太をゲソで掴み地面に叩きつけた。


 「そんな…」

デリッシュはその場に膝から崩れ落ちた。


 「私のせいで……」

彼女の脳裏には目の前で次々と虐殺されていった家族の断末魔や表情が浮かび上がる。

 

「うん?何もいねぇ……?」

裕太を掴んだはずのゲソには何も巻き付いていなかった。

スクィンクは首を傾げる。


 「一体どう…………」

「メンヤァッ!!」

「うごっ!」

スクィンクが戸惑う中突然背後から背中を蹴られる。


「ふぅ〜。割とあっさりイケそうだなぁ〜。」

宙返りをしながら1人の戦士が降り立つ。


 「その声は………?」

デリッシュが尋ねる。

「オレ様はメンド!醤油ラーメンのメンド様だ!」

メンドと名乗るフードファイターは親指で自信を指して堂々と言う。


 (ラーメン?確かあのチケットもラーメンで……変身成功?でも……声も性格もまるで違う。)

 デリッシュはメンドを名乗る戦士と裕太の印象がまるで結び付かない事に戸惑いを覚える。

 

 「何しやがる!」

スクィンクは背中を抑えながら叫ぶ。

 

「あぁ?何って………テメェをガラにするんだよ。替え玉無しでなぁ!」

メンドはスクィンクを指刺しながら啖呵を切る。


「舐めた口ききやがってぇ……このヤロッ!」

スクィンクは激昂し襲い掛かろうとしたが腹にメンドの足が突き刺さっていた。


「あっあぁ………うぅ。」

スクィンクは変身解除し暴漢の姿になって倒れる。


「言ったろ?替え玉無しって。」

メンドは一撃でスクィンクを撃破した

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