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ダイ5時代 抱える者の為 それぞれのユウ導 

オプローケの見舞いに行った翌日。レーガリン、ヘスペロー、ペティの3人は、オプローケの祖父の霊のことや今後のこと等を話し合う為、ズーケンから借りたルーズの名刺を頼りに、彼女が運営する館、思んず~るへと足を運んだ。主に歓迎された3人は接客室に案内され、既にいたバザルとキチパチと合流した。まずは、オプローケの祖父の霊についてお互い報告し合う。

「それじゃあのお祖父ちゃんの霊、成仏したんだねぇ」

「ええ。あなた達のおかげで、オプローケちゃんへの未練もなくなったみたいだし、感謝してたわよ。オプローケちゃんを励ましてたこと、お友達になってくれたことにね」

「レーガリン殿から連絡を受けた拙者達3人は、オプローケ殿の手術の日にレイコ殿の病室前まで赴き、オプローケ殿に未練を持っていた老人の霊をあの世に送った」

「えっ?どうやって?マニヨウジの結界のせいで手出し出来ないんじゃなかったの?」

「その結界なんやけど、霊の未練の念、負のエネルギーを吸収することによって出来とる故、負のエネルギーを持ち続ける限り、結界に囚われることになる。せやけど、オプローケはんの祖父様の未練が晴れたことで負のエネルギーは出なくなった。よって、祖父様は結界から解放され、そこをあちき達であの世に還したというわけですわ」

「なるほどねぇ…」

また、ルーズ達が聞いたオプローケの祖父の霊曰く、オプローケは心が弱っていたらしく、あのままでは手術が成功してもその後衰弱し、命は助からなかったそうだ。ズーケン達が祖父を喪ったショックと後悔に苛まれるオプローケを励まし、他者に心を開けずにいるオプローケと友人になったことで、彼の心は病と戦える程強くなり、ったそうだ。病は気から。バウソーが言っていたこともあながち間違いではなかったのだと、レーガリンは感心するのだった。

「つーか、んなことまで出来んのかよ…」

「未練が強いと難しいんだけどね。ま、未練さえなけりゃこっちのもんよ」

目の前で紅茶を一杯すするルーズが、霊をあの世に送る力を持っている。類まれ稀なる力を持った人物ではあるが、そのことへの実感が未だに沸かないペティはただ唖然とするのみだった。

「この調子で、残りの2人も救おう。事態は一刻を争う」

「あんさん達が頑張っとる間に、あちき達も残る2人の霊の内、ヨクリュー系の霊の未練の相手を見つけましたしな」

「そうなんだ…すごい…」

ヘスペロー達が見舞いに行っている間、バザルとパチキチもまた懸命に調査していたようだ。

「それで、それの霊と未練の相手は、今度はどんな人なの?」

「それがどうも、二人いるようですわ」

「二人?」

首を傾げるレーガリンに、パチキチは続ける。

「一人は、マニヨウジが結界を張る大元にしたレイコはんがいる病院、あんさん達がオプローケはんの見舞いに行った病院の患者であり、霊の女房や。もう一人は…霊とその患者の息子みたいですわ」

「おそらくだが、その患者はもう長くはない。だからなるべく、霊の妻である患者に会ってほしいのだろう」

「けど、詳しいことは本人に聞かないとね。今日にでも明日にでも、バザルかパチキチと一緒にオプローケちゃんの見舞いに行って、詳しく聞いてきてちょうだい。私は昨日に引き続いて、ギョリュー系の女性の遺族を捜しに行ってくるから。けど、ダイ海洋にいるみたいだから時間はかかると思うわ」

「やれやれ、忙しくなりそうだねぇ」

3人これも緊急事態が故

「事は急を要する。気持ちとしては、今すぐにでも病院に向かいたいのだが、良いか?」

「僕はいいけど…」

バザルから病院への出動要請を受け、レーガリンは右を向き、左右に並ぶヘスペローとペティの返事を聞こうとした時だった。

(ピィィィィン…ポォォォォォン…)

思んズール中に、呼び鈴が細く鳴り響く。その独特な響き方に、ペティは聞き覚えがあった。

「あら、誰かしら?」

一体この奇妙な呼び鈴の音は、どこで聞いたのだろうか。ペティが思い出している間、ルーズが立ち上がり、玄関まで赴く。

「あらやだ!ズーケンちゃん!来てくれたの~!」

「え?うそ」

満面の笑みを浮かべたルーズが出迎えたのは、レーガリン達3人にとって一番馴染みのある人物だった。急いで彼らも玄関に向かう。

「わ。確かにズーケンだ」

「みんな…どうも」

互いにどこか気まずそうだ。

「ごめん…なんか、仲間外れにしちゃったみたいで…そんなつもりじゃなかったんだけど…」

「いや…僕の方こそ、勝手にきちゃって…ごめん」

ルーズ達と初めて会った日の帰り道、ズーケンはレーガリンにルーズから貰った名刺を貸していた。ズーケンは帰宅後内心そのことが気になっており、前日にオプローケの見舞いがあったこともあり、もし彼らが思んず~るに訪れるなら、今日だと思ったのだ。一方ヘスペロー達は、今回ルーズ達の元を尋ねたのは、オプローケの祖父の霊等マニヨウジの再復活に関することを話し合う為であり、マニヨウジへのトラウマが特に強いズーケンには伏せていることもあり、敢えて声をかけなかったのだ。

「それはいいんだけど…ってかお前、一人で来たのか?その…」

「あ…うん…なんとか」

ペティが懸念しているのは、以前ズーケンが一歩踏み出した直後、過呼吸と全身の震えに見舞われたことだ。ここに来る途中、同じことが起きていたのではないかとペティが心配した通り、ズーケンは実際ここに向かう途中、何度もマニヨウジへのトラウマに見舞われた。一歩踏む度に、何度も忌わしい怨霊の歪んだ笑みが、罵声が、要塞が過り、身体中を震えが襲い掛かりそうになりながらも、一歩踏み出した足を止めたり、再び戻したり、トントンと足踏みしながら、息を吐いたりしながら、少しずつ歩みを進めた。結果レーガリン達の元に辿り着いたが、本来なら10分程度で着くところ15分以上かかってしまった。

「あのさ、ズーケンが具合悪そうだったから、そっとしておこうって皆で決めたんだよ。だからさ、仲間外れにしようとか、そんなんじゃないからね」

「う、うん…」

自身を呼ばなかったのは、公園や病院で見せたズーケン自身に起きた異変にあるのだろう。ズーケンはそう解釈しつつも、親友達が自分に何か隠しているようにも思えた。ただ、彼らが今回ズーケンを呼ばなかった理由として、ズーケンにマニヨウジに関することを知らせていなかったこと、それはズーケンのマニヨウジへのトラウマを刺激しない為でもあった。見方を変えれば、ズーケンを気遣ったこともあながち間違いでもないのだ。

「そうそう。これからまたオプローケのお見舞いに行くんだけどさ、ズーケンも来る?お見舞いならみんなで行った方がオプローケも喜ぶだろうしさ」

「あと、ユウティも…」

「あ、そうだった」

「お前なぁ…」

ズーケンがなんともいえないモヤモヤを抱える一方、レーガリンは話題を逸らす目的もあり、オプローケの見舞いに誘う。だが、祖父の霊のことばかり気を取られていた為か、その隣の患者であるユウティの存在を、ヘスペローにおそるおそるな声量で指摘されるまですっかり失念していたレーガリン。ペティが呆れながらツッコむと、その場に和やかな笑いが生まれた。

「ズーケンちゃん。よく来てくれたわね。会えて嬉しいわ~」

「ズーケン殿。会えて嬉しく思うぞ。しかし、事情は聞かせてもらった。もしお主がオプローケ殿の見舞いに行けば、バウソー殿と出くわす可能性もある。そうなればまた、あの時のようになるかもしれん」

「…!」

ズーケンの訪問は想定外であったが、ルーズと、いつの間にか出迎えに来たバザルは歓迎する一方、ズーケンがオプローケの見舞いに行くことには懸念を示した。

「そのことを心配して、レーガリンはん達はあちき達に相談しにきたんや。あちき達もこの前以来、ズーケンはんのことが気になっておった故、お引き受けしたわけですわ」

「…そうだったんですね」

嘘も方便。いつの間にかバザルと共に出迎えたパチキチも、先程のレーガリンの弁解をフォローする形で、ズーケンに釈明する。今回集まった本来の目的は、オプローケの祖父の霊のことや他の霊の未練をどう晴らすのかを話し合うことだったが、パチキチ含めたここにいる者全員がズーケンのことを気にかけ、彼の助けになりたい気持ちは本物であった。

「ズーケンはん。オプローケはんの見舞いに行ってやりたいと思っとるでしょうけど、無理はせん方がええかと」

「!」

「正直、公園でのズーケンはんを見る限り、ズーケンはんが負った心の傷は相当深い。バウソーはんに会った時にあの時と同じことが起こったなら、次に会った時もそうなる確率は高いでしょう。それに、一歩歩いただけであんなに震えてまうなら、ここに来るまでは勿論、出掛ける時とかも大変だったとちゃいます?」

「…」

パチキチの指摘通り、ズーケンは思んず~るに来るまでだけでなく、学校や病院、さらに家の中を移動するだけで怨霊が脳裏を過り、その度に足が止まったり身体が震えそうになっていたのだ。パチキチは公園での一件から、ズーケンが抱える心の深い傷と強いトラウマによって、日常生活にも支障が出ていることはなんとなく想像がついていた。

「ズーケン。誘っといてナンだけど、今日のところは留守番しててよ。君の気持ちはよく分かるけど、よく考えてみたら、オプローケの見舞いには僕達だけじゃなくてバウソーだって行くだろうし、バッタリ会っちゃったら君は大変だろうし、バウソーだって気まずいしさ」

「…」

誘い主であるレーガリンは少々気まずそうにしながら、俯き黙り込むズーケンの説得に入る。ズーケンはこの時、考えていた。気持ちとしてはオプローケの見舞いに行きたいが、自宅からここ思んず~るに来るまで、まともに歩けず着くまでに時間がかかった上、まず病院に向かう道中をまともに歩くことさえ難しく、迷惑をかけてしまうだろう。ズーケンは悩んだ末、答えを出す。

「…そうだね。ごめん、そうするよ。オプローケと、ユウティにもよろしく言ってね」

見舞いに行けば、オプローケは喜んでくれるかもしれない。しかし、もしバウソーと会ってしまえば、また先日と同じことが起きるだろう。そうなれば、皆に心配をかけるだけでなく、またバウソーを傷つけてしまう。それだけは避けたかったズーケンは、今回は友達を喜ばせることより悲しませことを選んだのだった。

「分かったよ。ズーケンがよろしく言ってたことはちゃんとオプローケ…とユウディにも伝えておくから、任せて」

俯いた顔を上げ、少々残念そうな表情を見せるズーケンに、レーガリンは親友の思いを伝えることを約束し、辛うじてユウティの存在を思い出した。

「では、ズーケンはんの代わりに、あちきが一緒に行きましょか。あちきも病院に用がある故、大人が一人ぐらいおった方が、多少は心強いでしょうからなぁ」

「だねぇ。よろしく頼むよ」

レーガリンがさっと了承したこともあり、しれっと見舞いにパチキチの同行が決行されたが、彼自身はオプローケの前に顔を出すつもりはなかった。あくまで彼の同行は、ヨクリュー霊の未練の相手の一人である妻から霊が抱える未練の手がかりを聞き出す為である。オプローケやユウティの体調を全く気にしていないわけでないが、見ず知らずの中年が見舞いに行ったところで困惑させるだけだと、パチキチは悟っていた。

「それじゃ、ヨクリュー霊の息子さんの方はバザルに任せましょ。で、私はズーケンちゃんと一緒にお茶でもしましょっか。ほら、お紅茶でもどう?」

「御意。こんなこともあろうかと、茶菓子を大量に持ってきておいた。食べてくれ」

「あ、ありがとうございます…」

いつの間にやら、ルーズの両手には緑茶のパックと紅茶のパック。バザルの両手には大量の茶菓子や駄菓子が入ったエコバッグ。苦笑いを浮かべるズーケンは、満面の笑みと引きつった作り笑いを浮かべる二人から、何が何でも自身をもてなそうという心意気と、見舞いには行かせまいという思惑を感じ取った。

ただ、二人共自身の為に茶やら茶菓子やらを用意してくれたことに変わりはない。どの道見舞いには欠席するズーケンは、折角の二人のご厚意に甘えることにした。




ズーケンを思んず~るに残したレーガリン一行は再び、オプローケが入院している病院に訪れた。ただ、今回は翼竜霊の未練の相手の一人、その妻の病室前に来ていた。いつもは僧侶の格好をしているパチキチだが、場所が場所なので以前健康診断に赴いた際の上下黒のスーツを身に纏っている。

「この病室におります。ではレーガリンはん、話した通りにお願いしますわ」

「ま、上手くいくといいんだけどねぇ」

病院へ向かう道中、パチキチとレーガリンは、初対面である翼竜霊の妻から詳しい事情を聞き出す方法を話し合っていた。その中で生まれた決定案がたった今実行されようとしている時、ヘスペローとペティは揃って不安そうに顔をしかめる。そんな彼らの表情も心情に構うことなく、レーガリンがドアを開ける。

「あれれぇ?オプローケはぁ?」

「どうやら病室を間違えたみたいですわ。他を当たりましょう」

いつもより声を張り、首を左右に振って病室を見渡すレーガリンは、いかにもわざとらしい感じだ。一方気パチキチは、ごく自然な喋り方でレーガリンに退室を促す。

「おばさん、オプローケ知らない?」

「えっ…?」

ここで、レーガリンが無邪気を装い、翼竜の女性に声をかける。女性は、ユウディモフォルドンの50代後半である。まさか話しかけられるとは思っていなかった彼女は、まるで不意を突かれたように目を丸くする。

「…ごめんなさい。私、その子のことは知らなくて…」

いきなり見知らぬ少年から声をかけられた女性は、始めは戸惑ったようだったが、その僅かながら浮かんでいる笑みから、話しかけられたこと自体には満更嫌でもなさそうだった。

「こらこらレーガリンはん。同じ病室ならともかく、他の部屋の患者のことはまず知らんでしょう」

「それもそっかぁ…ごめんなさい」

「ううん、いいのよ。お友達のお見舞いに来たの?」

芝居中の二人。パチキチに窘められたレーガリンが丁寧にお辞儀すると、今度は彼女の方から話しかけてきた。これこそが、パチキチの狙いであった。

患者は、入院生活という食事や外出等、いつもならいつでも出来ることもままならず、制限された不自由な生活を送っている。加えて、患者から家族や友人等に会うことは、彼らが見舞いに来るのを待つしかない。よって、患者の多くは人と触れ合い、話すことを求めている。さらに、自身のような大人より子供であるレーガリンの方が警戒心も薄く、声をかけやすいこと、さらに一芝居打つというこの案に乗ってくれそうなレーガリンが、今回の実行役に任命されたのだ。

「うん。おばさんは、お見舞いに誰か来ないの?」

「そうねぇ…たまに息子が来てくれるんだけど、仕事が忙しくて中々来られないみたいなのよ」

「左様でしたか。それは少々寂しいでしょう」

「あの子も忙しいからね。仕方ないのよ。むしろ、忙しい合間を縫って見舞いに来てくれることに感謝しなくちゃ」

仕事なら仕方がない。それは分かり切っていることだが、まるで自身に言い聞かせているように、溜息混じりに言う様から、やはり寂しさは拭いきれないようだった。

「個人としては、息子はんにはもっと会いに来てあげてほしいもんですわ。ただ、やはり仕事で忙しい分それも難しいでしょうし、あなたが一日でも早く退院して、息子はんに会いに行くしかありませんなぁ」

「そうね…でも私、余命宣告されてて、あと1年だって言われてるから、退院出来るかどうかも分からないのよ」

「え…」

「そうでしたか…」

彼女が明かした自身のタイムリミット。レーガリンに少なからずショックを与えるも一方、パチキチは以前病院に赴いた際、彼女の魂を既に把握しているからか、至って冷静だった。

「なら、猶更息子さんには出来る限り会いに来てほしいもんですわ。さて、これも何かの縁。息子さんについて、もう少し聞いてもよろしいでしょうか?」

「え、ええ…いいけど…」



レーガリンとパチキチの役者コンビが、ユウディモフォルドンの霊の妻から家庭内事情を聞き出している間、ヘスペローとユウディは、オプローケとユウティの見舞いに回った。

「二人共、元気だった?」

「うん。元気だよ。手術が終わってから気持ちもすごく軽くなったし、身体も前より元気になった気がするよ」

「僕も。手術があるけど、オプローケが上手くいったなら、大丈夫だって思えるよ」

「そっか。なら良かったわ」

手術を終えたオプローケと手術が控えるユウティ。両者共にそれを感じさせない程の笑顔を見せている。

「ズーケンとレーガリンは?」

「ズーケンは…ちょっと予定があって、今日のところは来られないんだ。ただレーガリンならもう少しすれば来ると思うぜ」

「そうなんだ…」

一人は怨霊へのトラウマが悪化した為、もう一人は見ず知らずの翼竜から家庭内事情を聞き出している為不在と言うわけにもいかない。ペティは、オプローケとユウディにはオブラートに包ませてもらった。

「ねぇ。バウソーと、何かあったの?この前バウソーが来た時からズーケンの様子が変だったけど…」

「あっ…」

ユウティからの疑問は、ヘスペロー達は聞かれるだろうと身構えていたが、いざ聞かれると言葉に詰まってしまう。

「ちょっとな。でも心配すんな。あいつらは、親友同士だからな。だろ?」

「あ、うん…そうだね」

ズーケンとバウソーには、いつまでも親友同士であってほしい。ペティとヘスペローは、彼らが以前のような関係に戻れるかどうか分からないが、そう願っていた。不安そうな顔を合わせる二人とは対照的に、ユウディとオプローケは、どこか安心したように穏やかに微笑む。

「そっか…今朝、バウソーも同じこと言ってたよ。俺とズーケンは親友なんだって」

「そうそう。もし俺に原因があるなら、それを直してズーケンに謝りたいって。ズーケンは俺の人生の恩人だから、あいつは何が何でも俺が守りたいし、ずっと親友でいたいって。やっぱり、二人は親友同士なんだね」

「…!!」

ずっと親友でいてほしい。それはヘスペローやペティ、ユウティやオプローケ、そしてバウソー自身も同じだった。バウソーもまた、苦しんでいる。朝早く来たのは、ズーケンと顔を合わせないようにする為だろう。何故ズーケンが自身に怯えるのかは分からないが、彼なりにズーケンを思いやった結果なのだ。皆、胸が締め付けられる思いだった。

「こりゃさっさと説明しないとな。明日にでも俺らで話すか」

「そうだね…約束したからね」

ズーケンの身に何が起きているのか。それをバウソーに話す約束を交わしたヘスペローは、今すぐにでも約束を果たさなければ

「ズーケンに会ったら、伝えてよ。僕達は、ズーケンがお見舞いに来てくれるとすごく嬉しい。でも、バウソーと仲良しなら、それが見られたらもっと嬉しいって。今は難しいかもしれないけど、いつか…すぐじゃなくていいから、二人でお見舞いに来てくれたらきっと、もっと元気になれると思うんだ」

「そうだよ。もし僕達に出来ることがあるなら、いつでも言ってよ。今は入院しているから大したことは出来ないけど、なんなら退院したら、二人でズーケンとバウソーが仲直り出来るよう、力になるからさ」

「二人共…ありがとう。ちゃんと、ズーケンに伝えておくからね」

励まそうとしていたオプローケとユウティの、ズーケンとバウソーの関係を案じるオプローケとヘスペローへの思いに、逆に励まされたような気がした。ヘスペローとペティは、二人の思いを必ずズーケンに伝え、必ず二人の仲を元通りにしてあげたいと、強く思うのだった。

「皆様、ご機嫌麗しゅう」

その直後、ヘスペロー達の背後から、ゆっくりとした口調で丁寧な挨拶と共に、パチキチとレーガリンが合流する。

「レーガリン。君も来てくれたんだね」

「まあねぇ。ちょっと予定より長引いちゃったけど、間に合ってよかったよ」

喜ぶユウティ達に、レーガリンは詳しい事情を話すことこそ出来なかったものの、見舞いに来たことを喜んでくれることには、口調に表れる程嬉しく思っていた。

「んで、どうだった?」

「十分聞き出せたかと。ま、後程お話しますわ」

「えっと…どちら様ですか?」

一方、オプローケ達からしてみれば、目の前にペティと普通に会話を交わす見知らぬスーツ姿の男がいる。

「申し遅れました。あちきは、キチパチのパチキチ。僧侶をやっております。ここにいるレーガリンはん達とはもちろん、ズーケンはんとはつい最近知り合った、お友達のような感じなんですわ」

「あ、そうなんだ」

どうやら自分達とパチキチはそんな感じらしい。少々腑に落ちていないレーガリン達とパチキチとの曖昧だった関係がはっきりしたところで、パチキチは続ける。

「お二人のことは、ズーケンはん達から聞いております。無事に手術が終わって何よりです。お顔が見れたけで安心しましたわ。では、あちきはこれで」

「え?もう帰るんですか?」

「なにせ、色々と立て込んでおりますからなぁ。ただ、最後に一つだけ」

見ず知らずの自身がいれば、会話が弾みづらいだろう。やるべきことは成された為、これ以上病院にいる理由もない。だが、パチキチはこの場を去る前に、ユウティとオプローケの顔をじっと見つめる。

「お二人共。今を、一日一日を…大事にするとええでしょう」

その言葉に誰もがきょとんとしている中、それだけ言い残し、パチキチは病室を去っていった。その後、しばしなんとも言えない空気が流れたが、ペティが空気を変えようとユウティとオプローケに近況を尋ねたことをきっかけに、皆もそれぞれの自身の話をし始め、学校の休み時間のような、いつもと変わらない明るい空気が流れ始めた。




ズーケンの思いを受け継いだレーガリン達が病院に向かい、バザルが一人ヨクリュー霊の息子の元へ足を運んでいる頃、残ったズーケンとルーズは、他愛もない話と共に彼女が入れた紅茶とバザルが大量に仕入れた茶菓子を嗜んでいた。

「ズーケンちゃん…お医者さんの件、考えてくれた?」

「え…?」

つい先程まで、ルーズの霊能力者としての仕事、除霊、霊媒、のことや、彼女の生い立ち、物心ついた頃から霊が見えていたこと、学生時代に初めて出来た恋人に勧められたことがきっかけで霊能力者になったこと等々を聞かされていた。そこへいきなり自身の話題に、しかも自身しか知りえないものだったので、ズーケンは一瞬で頭と身体が固まるのを感じた。

「もう聞いたと思うけど、ズーケンちゃんは今、心に深い傷を負っていて、心の具合が悪くなってるのよ。公園でのこともそれが原因で、このまま放っておいても良くはならないし、それどころかもっと悪くなっちゃうわ。言い辛いかもしれないけど…一度、お父さんとお母さんに相談してみてた方がいいと思うんだけど、どう?」

「…」

心に大きな問題を抱えたズーケンに病院を勧めたのは、夢の中に現れた彼の居候と先祖のみ。ルーズはズーケンと茶飲み話をする合間、彼の傍らにいる居候から聞いたのだ。一方居候の家主であるズーケンは、真剣かつ切実そうなルーズから勧められると視線を落とし、俯いた。

「…そうよね。ズーケンちゃんの身に何があったのかなんて、お父さんとお母さんには、誰にも話せないし、話しても信じてもらえれないかもしれないって不安になると思うし、そもそもあの時のことなんか、口に出したくもないわよね…」

「…」

ズーケンが何故病院を拒むのか。それにいくつかの不安要素があった。まず、ズーケンが病院に行く為には、金銭面や移動手段のこともあり両親の協力が必要になる。だが、両親の協力を得るには、自身の身に今何が起きているのかを説明しなければ、ズーケンの心に深く刻まれた傷を開かなければならない。しかし、彼自身を苦しめるトラウマが非現実的なものであるが故、やっとの思いで明かしたところで信じてもらえないかもしれない。さらに、今のズーケンは一歩歩くだけでトラウマが過る程重症化しており、病院に行くまでの間、病院内を歩く間、家まで帰る間にどれだけ苦しむことになるのか。それが、ズーケンを病院に行くことを躊躇わせる理由だった。

「もしね、どうしてもズーケンちゃんがお父さんとお母さんに話せないなら、代わりに私がお医者さんに連れて行ってあげてもいいわ。それでズーケンちゃんの具合がよくなるなら、喜んで協力するわ。でも…それでズーケンちゃんの心が治っても、ズーケンちゃんのお父さんとお母さんはズーケンちゃんが誰にも言えない傷を抱えていたことを知らないままだし、ズーケンちゃんはお父さんとお母さんに黙って病院に行って、黙って治療を受けたことをずっと抱えていくことになる。それって、ズーケンちゃんは勿論だけど、お父さんとお母さんにとっても辛いことだと思うわ。だから、何があったのかは話せなくても、せめてズーケンちゃんが今苦しんでいることだけでもお父さんとお母さんに話して、お医者さんに行きましょ。ね?」

「…」

自身の非現実的で複雑な事情を全て知り、理解を示しているルーズと病院に行くのが一番話が早い。しかし、彼女の言う通りもしこのまま両親に黙ってルーズと病院に行けば、そのことを両親に隠し続けながら二人と暮らすことになるだろう。その罪悪感と心労を想像すると、ズーケンは息と胸が詰まりそうになった。しかし、両親に打ち明ける気にはなれず、ズーケンは無意識にティーカップを手に取る。

「…⁉」

しかしその瞬間、ズーケンの脳裏にマニヨウジの顔が過る。まるで熱いものに触れたかのように咄嗟にティーカップを離すと、彼の瞳孔が見開き、呼吸が荒く乱れ始めた。

「ズーケンちゃん!どうしたの⁉」

ルーズはすぐさま身体を震わすズーケンの元に駆け寄り、激しく上下するその背中をひたすらさする。

「大丈夫よ。安心して、私がついてるからね…」

ルーズは震えが止まらないズーケンをさすり続けながらそう言い聞かせ、今度は包むように彼を後ろから抱き抱える。すると、徐々にズーケンの震えや呼吸が落ち着きを取り戻していく。

「ズーケンちゃん、少しは落ち着いた?」

「…ごめんなさい」

「いいのよ。ズーケンちゃんは何も悪くないからね」

まだ小刻みに身体を震わせ、俯いたまま謝るズーケン。ルーズは首を左右に振りながら、その両肩をさする。

「ねぇズーケンちゃん。ちょっと、疲れちゃったでしょ?一旦、あなたの中にいるガーティと代わらない?彼とは話がしたいし…いいかしら?」

「…」

ルーズに促されると、ズーケンは静かに目を閉じる。ルーズは彼の、まだ少し震えが残る両手を包み込むように握るとその手を合わせ、息をふっと吐いた。すると即座にズーケンの首はうなだれるも、程なくしてその瞼が開く。

「やっぱり重症だな。これじゃまともに生活を送るのも難しいだろうな」

ズーケンと意識が入れ替わったガーティは、己を抱き抱えるルーズに振り向く。

「そうよね…。どうしよう…私が連れてっちゃった方がいい?正直見てられなくて…」

「いや、あんたが言った通り一度ズーケンが親に話すのを待ってからでいい。こいつは親に内緒で行くと後ろめたさを感じるからな。後で一人抱えて苦しむよりは、せめて事情だけでも説明させて、親も今のズーケンの状態を把握させた方がいいだろう。こいつは親子の問題でもあるか。それで、もし親がズーケンの話を信じない、もしくは病院に連れていかないようだったら、その時はあんたが連れていけばいい」

「そうね…」

ルーズの本音としては、今すぐにでもズーケンを病院に連れていきたかった。誰が見ても、ズーケンの心は日常生活に支障が出る程の重傷を負っている。問題の深刻さはガーティもよく理解していたが、だからこそ彼の両親と共有し、ズーケン一人で抱え込み、悩み苦しむことを避けようとしていたのだ。

「あのね、もし私がズーケンちゃんを病院に連れていくことになったら、病院に行くまで意識はあなたに代わってもらってもいい?」

「おいおい、随分過保護だな。まあ…考えてもいい。ただし、連れてったらちゃんと戻しとけ。俺が治療受けたってしょうがないからな」

「それもそうね」

ズーケンはトラウマのフラッシュバックにより、歩くことさえままならない。移動手段がなんであれ、自宅から病院へ赴くだけでもズーケンは苦痛に悩まされるだろう。ルーズはそれを少しでも軽減する為にガーティに打診すると、彼は苦笑いするも、彼女の思いはよく理解していた。

「私も…ズーケンちゃんだと年齢的にちょっと考えづらいけど、あなたぐらいの子供ならいてもおかしくないのよね」

「確かにな。俺も、生きてさえいれば…もしかしたらな…」

子供に恵まれなかった人生、愛した人と結ばれることさえ叶わなかった人生をそれぞれ歩み、歩んだ二人。その小さな身体を背後から、小さな二本指を見つめるその目は優しく温かくも、どこか切なさが滲んでいた。

「ま、もう死人には関係ないがな。それよりどうする?このままズーケンの家まで帰ってもいいが…」

「そうね。ズーケンちゃん、今の状態で歩かせるのも可哀そうだし、せめて家の前まで送ってあげましょ」

これ以上はただただ悲しくなってしまいそうだった。ガーティの方からズーケンの送迎を持ち掛けると、ルーズは目の前の少年達の肩を揉む。

「よせって」

「あら、反抗期かしら」

享年17歳思春期真っただ中のガーティは振り払うも、いざ身体からルーズの手が離れると、どこか寂しさを覚える。さらに、楽しそうに笑う彼女を見ていると、とうの昔に世を去ったであろう母の顔が思い浮かんできた。

「おい、今度は俺が揉んでやる。代われ」

「あらま。じゃあお願いしちゃおうかしら。最近身体のあちこちが痛くってね~」

ガーティのお言葉に甘える形で、ルーズは嬉しそうにその場でうつ伏せに、大の字になるように寝転んだ。そこをガーティが彼女の短い両手両足の付け根から指先まで丁寧に、優しい力加減で揉み解していく。

「もうちょっと強い方が嬉しいかも。多分加減してくれてるんだろうけど、ズーケン君の身体ならフルパワーで丁度いいと思うわ」

「そうか。確かにそうだな」

中身こそ17のガーティだが、その身体は9のズーケンのもの。ガーティは生前の頃と同じ様に自身が力加減をすると物足りないルーズのアドバイス通り全力を出させてもらうと、ルーズからまるで風呂にでも浸かったかのような気持ちのいい声が上がる。

「ありがとう。いい息子が出来たわ。あなたは孝行息子だわ」

「…そうだといいがな」

念願の息子に身体を解してもらうルーズは、すっかりご満悦である。また、ガーティは思い返してみれば、最後に両親の肩を揉んだのは、今の宿主と同じくらいの頃だったことを思い出す。嬉しそうに笑うルーズの凝りに凝り固まった身体を揉み解していると、不思議と懐かしくも温かい気持ちになった。戦地に赴くことになり、まともに親孝行することも出来ず世を去ったガーティにとっては、失われた親子の時間を取り戻せたような気がしていた。気が付けば彼、自然と笑みがこぼれていた。




病院でレーガリン一行とオプローケ達が談笑し、ガーティが60年越しの親孝行を果たしている頃、一人の男がアパートの一室の呼び鈴を押す。

「えっと…どちら様ですか?」

呼ばれて出たユウディモフォルドンの40代半ばの男性ユモルは、客人の、父親の葬儀以来に見るその身なりに、少々困惑気味だ。

「拙者ザナバザル。の、バザルでござる。其方の母上について、話があってきた」

「え?母さんの…?」

「左様。お主の母上のことで、亡くなられたお父上殿が未練を抱えている」

「えっ…」

何故父親が他界していることを知っているのか。その疑問をぶつける間もなく、僧侶は話を続ける。

「そしてその父上殿も今、マニヨウジに利用され、再びこの世に復活しようとしている。奴が再び力を取り戻せば、この世は再び戦乱の世に…」

「え…えっと…」

何故とうの昔に滅んだであろうマニヨウジの名がいきなり出てくるのか。バザルは止まる気配がない。

「全ては真実。事は急を要する。さあ、今すぐ母上の元へ」

「ちょ、ちょっと待ってください!」

ここまでバザルの話を一切理解出来ず混乱する一方だった男は、強引に連れ出そうと掴まれた、腕を振り払う。

「な、なんなんですかあなたは?さっきから母がどうとか、死んだ親父がどうとか、そもそもなんでウチの親のこと知ってるんですか?しかもマニヨウジって…なんで今マニヨウジが出てくるんですか?一体いつの話をしているんですか?」

「むう…」

説明が難しい。空を見上げ、どこから説明すべきか悩むバザル。目の前で混乱する男に対して、彼は上の空である。

「ユモルさん。どうかしたんですか?」

困り果てる両者に声をかけたのは、男の近所に住むケルベロ三兄弟の赤い長男ケルベ。黄色い次男ルベロと青い三男ベロンと遊びに行こうとした矢先、アパートの部屋の前で揉める顔見知りと僧侶の姿が目に入ったのだ。

「ああケルベ君…この人が急にウチの母がどうとか言ってきて…しかもマニヨウジとか言い出してもうわけ分かんないよ」

「「「!!!」」」

マニヨウジ。その名を耳にした瞬間、三兄弟は一斉に絶句した。マニヨウジはかつて、3兄弟とその親友であるズーケン達を痛めつけ、自身と大切な人達全員を殺される恐怖と絶望を味合わせた張本人である。そのトラウマは、一か月経った今でも消えず、彼らの心に深い傷を与えている。

「詳しい話は道中で説明する。ひとまずご同行願おう」

「ちょ、ちょっと待ってください!なんでまたいきなり…」

「…!」

三人の心にマニヨウジへの恐怖が蘇る中、バザルは再び未だに困惑したままの男の腕を掴み、今すぐにでも連行しようとしている。傷が疼く中、ケルベはハッとなる。今は、目の前の人達が先だ。

「あ、あの…ちょっといいですか?」

疼く心の傷口を堪え、右手を上げ、なんとか声を上げる

「ま、まず事情をちゃんと説明した方がいいんじゃないですか?ほら、めっちゃ困ってますし…どうしても一緒に来てほしいなら、猶更一回ちゃんと話した方がいいって思ったんですけど…な?」

「へ?」

ケルベは最後に、背後にいるルベロに振り向く。まさか自身に振り向かれるとは思っていなかったルベロから、少々間抜けな声が漏れる。ただ、何故自身に振られたのかは多少は想像がついていた。

「まー…話はちゃんとしたほーがいーと思ーぜ…誤解されるしな」

かつて、ズーケンの家に傘のダイナ装備アサバスと共に押しかけた日の反省も踏まえ、ルベロは二人と、特に鋭い目つきの僧侶と目が合わないよう、視線を遊泳させながら体験談を語った。

「ならば、近所の公園に行こう。そこで全てを話そう」

「そ、そんな、何で公園…?」

バザルは、以前ルーズと共に公園でズーケン達と待ち合わせをし、復活しようとしているマニヨウジから霊達を救う約束を交わし、年の差を超えた友情を育んだ…と解釈している。よって、公園で話せばユモルにも思いが伝わり、あわよくば友情が芽生えるかもしれない。あと、単純に公園が好きだ。

「あのさ、俺らもついてっていーか?。しょーじき、俺らもちょっと気になるしさ…」

「俺も。マニヨウジのこととなれば、俺達も他人事ではないからな…」

もし己とその兄弟、そして親友達の命を奪おうとしたマニヨウジが復活すれば…。三兄弟は、想像するだけで身体中に悪寒が駆け巡るのを感じた。だが、かといってこのまま放っておくわけにもいかない。

「そ、それなら君達だけで行ってくれれば…」

「いや、お主には絶対に聞いてもらわねばならない。それに、この子達とは初対面の見ず知らずの拙者を一緒にする気か」

「え、あ、いや…」

言っていることは正しいが、それをユウディにとっても見ず知らずのバザル自らが言うのは、何とも言えない違和感を感じた。

「そーそー。俺達の為にも、一緒にいこーぜ。ユモルのおっちゃん」

「すいませんユモルさん。俺達に付き合ってやってくれませんか?それに、ユモルさんのお父さんとお母さんのことも気になりますし」

「この通り」

ユモルに付き合ってもらうよう、ルベロがその肩に手をポンと置き、ケルベは頭を掻きながら、ベロンはただ頭を下げ、ここぞと言わんばかりにたたみ込み、頼み込む。そんな少年達を前に、困り顔のユモルは溜息をつく。

「分かったよ…行けばいいんだろ行けば…」

「ありがとう。ユモルさん」

「協力、感謝する」

未だ状況が理解出来ず、少年達の頼みを断り切れず、観念する形でバザル達への同行を決めたユモル。そして再び溜息をつき、肩を落とす彼の右腕は、未だ僧侶に掴まれたままだった。


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