そしてコスモス薬局に佇んだ
「第5回下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ大賞」への応募作品です。
どこでも買えるわけではないその薬の為に……会社には午前休の届出をして通勤電車を途中下車した。
コスモス薬局は商店街の中で……ピンクに白抜きの『処方せん受付』の看板ですぐに見つけられた。
薬剤師との面談の後、ようやく買い求めた薬をチェーンのコーヒーショップに入り服用する。
眠れぬ夜が続いた後、偶然見たニュースのお陰で私は救われた。少なくとも精神的には……
今もじっとりと冷や汗はかいているけれど、あとは薬が効く事を祈るばかりだ。
一体誰に祈るのか……
この様な自然の摂理に反する事を神様はお許しになるのだろうか……
いいえ!!
どんな薬だって服用する事は自然の摂理には反する!!
神様が薬の服用自体をお許しにならない事は無い筈!!
病気ではないけれど……命の芽を摘むような大罪を犯さない為の事なのだから!!
『どうしてこんな事になってしまったのだろう……』
私の頭の中にまた浮かんで来たこの言葉をかき消したくて、コーヒーカップに口を付けたら、予想より少しばかり熱くて……
またグラスの水をふくむが口の中はみっともなく痛い
そう、“あの事”が原因でできた口内炎もまだ治ってはいない。
カレを受け入れた私は傷だらけ
こころもカラダも……
私はどうすれば良かったのだろうか?
カレの事をずっとずっと想っていて
少しずつ少しずつ距離を詰めて
長い長い片想いがようやく報われて
手を繋ぎ
唇を重ねた。
私は熱気球になって
青い空をどこまでも昇っていける様な気持ちになったのに……
塵一つ無い様に磨き清めた私の部屋に無い物をカレは要求した。
「えっ?! 置いてないの?!」って……
だってだってだって
私、そんな女じゃないよ!!
《 求められたのだって高校の時以来……
元カレはごちゃごちゃした机の中から三つほど繋がったままのソレを引き摺り出して、私の目の前でパッケージを破ってみせた。
痛みと色んな“どうしよう”が重なって狼狽えている私に……
「紗由美がこんなモノを持ち歩いている女じゃないからオレは付き合ったんだ」
と囁かれた言葉は……
その時の事象の全てをひっくるめて
今も私の胸の奥底に重く沈んでいる。
だから自分で買ったり持ったりなんて!!
できないよぉ…… 》
あの日……
「大丈夫だよね」と繋がったカレは……
次の朝、私の作ったごはんを慌ただしく食べて帰っていった
カレの事は今でももちろん好きだけど……
こうして涙が零れるのは
きっと口内炎がしみるせいだ。
お叱りを受けるかもしれませんし評価もいただけないのでしょうが……
『問題提起』として過去作を投稿させていただきます<m(__)m>
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