二人の出会いと真冬のたまご
スーパーの通路を歩いていると、店員の男性と目が合った。
結構背が高い。見上げるほどではないけど。
何となく、真面目そう。
勝手な感想を抱きつつ、私は彼に言った。
「おんづずわ」
「申し訳ございません。聞き取れなかったので、もう一度お願いします」
私は黙り、思った。『わかる』と。
同意してる場合じゃない。
繰り返すべきか。言い直すべきか。
こんにちは、と。
『あ……すみません』と謝らせてしまいそうな気がする。
やめて。あなたは悪くない。
――前置きをしたらいけるんじゃないだろうか。
『今日は寒いですね。少しかんでしまいました。こんにちは』
長い。
いやらしい気がする。
彼を見つめ、思う。
何秒たったの?
『おんづずわ』
うまく言える気がしない。
『本当にもう一度聞きたいですか?』
圧が強い。店員さんを脅すのは良くない。
早く買って帰ろう。きっと彼もそう思ってる。
無駄に時間を奪ってごめんなさい。
あれもこれも気温が低すぎるせい――。
そう心の中で思い、私は大人しく欲しい物を告げた。
「たむぁごいづずぐださい」
「大変申し訳ございません。聞き取れなかったので――」