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はじめ

異世界転生は最後の最後です。


ハッピーエンドのために異世界転生という装置を利用する。ある意味、実験的小説かもしれません。


『こんにちは。あなたのハートに狙い撃ち。恋のスナイパーこと結城愛実です!!』


 テレビから聞こえてくる声。俺の知らない、『作られた』声。

 俺は晩御飯を頬張りながら、テレビをちらりと観た。そこには雪のように白い肌をもったショートヘアの女の子の眩しい笑顔が映っていた。


 母が「あら、愛実ちゃんじゃないの。ほんとに、売れっ子になったわね」と感慨深そうにつぶやいていた。


「そうだね」


 俺は小さな声で言った。


 それから、黙々とサラダや豚の生姜焼き、お茶漬けを平らげ、逃げるように自分の部屋に戻った。

 テレビに映った「彼女」は、もう自分の知らない人になっている。


 作られた甘い声、無理やり浮かべる笑み、メイクでかわいらしい印象に変わってしまった顔……そして、売れるために演じているぶりっこ役。


 俺の知っている結城愛実は、きりっとした美人顔で、さばさばした性格で、棘のある言葉をよく放ち、でも、心優しくて、思いやりがあって……少なくとも、「大好き」と言いながら、首を傾ぐような女の子ではなかった。

夏祭りの帰り、暗闇に沈む神社の鳥居にもたれて、少しもじもじとして、ようやく意を決したように背筋を伸ばして、「あのさ」と大きな声で言って、それから視線を一瞬泳がせるけど、すぐに鋭い眼差しを送った後に「大好き」と言うような女の子だったはずだ。「佳太のことが大好きなんだよ!」


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