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宝角令嬢は普通に学園生活を送りたい【連載版】  作者: 山吹弓美


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93/100

093.令嬢は試着する

「よくお似合いですわ、ローズ様」

「ありがとう、フォス。あなたもよく似合っているわよ」

「ありがとうございます」


 今日は、舞踏会用のドレスの試着。洋裁職人に来てもらって、細かい修正のために一度着用してみている。

 私は髪と角の色に合わせて落ち着いた赤のシンプルなもの。フォスは濃いブルーで細身のラインね。フォスみたいなドレス、私には似合わないから少し羨ましいわ。

 それはそれとして。


「少し、脇の下がきついかしら。それと、裾の長さは大丈夫なの?」

「脇の下ですね。裾につきましては、お召しになる靴の高さであれば大丈夫なはずです」

「ありがとう」


 今日は靴が間に合ってなくて、だからいつも学園内で履くかかとの低いもの。そのせいもあって、ほんの少し裾を引きずる感じになっているわね。まあ、高めのヒールになるでしょうから大丈夫、かな。


「私は、少し腰がきつめですね。太っちゃったかしら」

「分かりました」


 フォスの方も修正をお願いしているわね。腰って……ウエストか。でも、太ったようには見えないのだけれど。

 それにしても、このドレスに高いヒール。大丈夫かしら、と思う。それなりにかかとのある靴は履き慣れているし、踊れるけれど。多くの貴族や商人などが居並ぶ中で転んだりしたら、恥ずかしくてならないわね。


「……ジェット様もおられるし、大丈夫かしら」

「私も控えるつもりですので、ご安心を」

「あら」


 ドレスを試着しているわけだから当然フォスも舞踏会には参加予定なのだけれど、その理由が私の見守り、とかいう?

 確かに、付き人を付き添わせて参加する方もおられるけれど……フォスはそれでいいのかしら。


「ローズ様はどうしてもお目立ちになりますから、他の者が側で控えていたほうがジェット様も安心されるでしょうし。それに、舞踏会は軽食も美味と伺っておりますので」

「ああ。そこ、結構重要よね」

「はい」


 軽食か。噂にはよく聞くけれど、そう言えば初めてよね。

 中等部の学生は、舞踏会に参加することはない。授業や試験などの日程が高等部とは異なるし、まだ子供だという理由もあるみたいね。

 だから私も、ジェット様と学園の舞踏会で踊ったことはまだないわ。今回が初めてで、もしかしたら最後かも。……私が卒業するときに、来てくださればいいのだけれどね。


「こちら、髪飾りとサークレットをお持ちしました」

「ありがとう」


 宝飾職人が、制作されたアクセサリーの入ったかばんを手にやってきた。これも一緒に着けてみて、似合うかどうか鏡でチェックしないとね。

 髪飾りと言えば、その飾りをつける髪の毛。どうしようかしら?


「フォス、当日は髪、どうするの?」

「髪結にお任せするつもりですけれど、多分アップになるかと」

「まあ、そうよね。フォスの髪は癖がなくて綺麗だから、そのままでもいいのだけれど」

「お二方とも、そのまま軽く前髪だけセットされれば十分お美しいですよ」


 私たちの会話を聞いていた洋裁職人がそうおっしゃってくださったので、ちょっと自信を持ってもいいかしら、と思う。もちろん手入れは欠かしていないけれど、例えばセレスタ嬢のふわっとした可愛らしい髪やルリーシアの濃い青の髪にはどうしても勝てそうもないし。

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