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宝角令嬢は普通に学園生活を送りたい【連載版】  作者: 山吹弓美


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091.令嬢は試験を済ませてほっとする

 勉強して、ダンスの練習をして、もちろん授業にもきちんと出て。

 そんなばたばたした生活を繰り返した末に、私たちは何とか今日、進級試験の最終科目を終えることができたわ。ああ、なんて爽快感!


「小論文、大変でしたわね……」

「計算問題も歴史もめんどくさかったですー」


 ……そうでもないかしら。現在カフェの一角を独占するような形で、私たち高等部一年生は試験の反省会……という名目で昼食の真っ最中。サンドイッチやガレットなど、そこそこお腹にたまるお昼をそれぞれに注文しているのよね。私はたまごサンドセットを頂いているわ。

 そして、面倒くさいとこぼしつつもロールサンドをぱくぱく食べておられるセレスタ嬢に、ラズロが口を挟んできた。


「いや、帝国の歴史は重要だと思うんだけど?」

「ビンボな庶民には、国の歴史より今日のご飯のほうが大事なんですー」

「それは否定しないっすね」


 即座に反論したセレスタ嬢と、彼女に同意するイアン。……まあ、確かに歴史学者でもなければ、歴史でお腹をふくらませることはできないわね。

 同じことを考えたのか、アレクセイも口を開いてくれたわ。


「歴史を学べるのは、生活に余裕ができてるからだよね。そりゃ、好きな人は生活大変でも頑張るだろうけど」

「……それも、そうか」


 ラズロも納得してくれたようで、一安心。

 私は余裕のない生活というのがどういうのかは、正直わからない。そのくらいには贅沢をさせてもらっている自覚はあるわ。もっともこれは全てご先祖様と親のおかげ、なのだけれど。

 もしその後ろ盾がなくなったら……私、生きていけるのかしらね?


「まあ、皆さん問題なさそうですし、これでよろしいのではなくて?」


 おっとりとしたシンジュ様のお言葉に、ひとまず歴史のお勉強云々については終わりを迎えた。この学園に入っているのだから、ガンドレイ帝国の歴史を学ぶことはできているのだものね。


「たしかに。これでこの後は、ダンスの練習に専念できますわね」

「本当にね。……わたくしは参加はしませんが」

「あら、そうなのですか?」


 サンドラがほっとしたように頷くのに、シンジュ様のお言葉が続く。あらら、舞踏会に出られないのですか、シンジュ様?


「考えたのですけれど……わたくしはまだ一年生ですし、もし卒業生であってもセラフィノ様以外と踊るのはちょっと」


 その理由付けがちょっと可愛らしくて、私も含めて皆ああ、そういうことかと頷いてしまったわ。セレスタ嬢まで「婚約者さん、かっこいいですもんねー」なんて言っているし。

 まあ、私が参加したい理由にしたって、ジェット様と踊りたいからだものね。ジェット様はこの学園を卒業されるのだから、学生同士として最後の舞踏会で一緒に踊りたいわ。


「私たちの卒業式のときには、きっとおいでくださいますよ」

「そうだといいわねえ」


 きっとセラフィノ様なら、何とか都合をつけておいでくださると思うのよ。だからそう申し上げたら、シンジュ様は僅かに頬を赤らめられた。ああもう、お可愛らしくていらっしゃるんだから。

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