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宝角令嬢は普通に学園生活を送りたい【連載版】  作者: 山吹弓美


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85/100

085.令嬢はダンスの相手を考える

「まあ、此度のことは学園長がひどくお怒りでいらっしゃるから、公開処刑も致し方ないですわね」


 ぽつんと、シンジュ様がおっしゃった一言で教室内がしんと静まり返った。

 そう、スターティアッド学園の現在の学園長は皇帝陛下の姉上。その方が治めておられる場所でこのようなことが起こってしまって、責任感もあるでしょうけれどそれ以上に反逆者たちへの怒りも大きなものがあると思うわ。

 その結果としての、公開処刑。もともと反逆者への罰は処刑と決まっているのだけれど、公開するのは大掛かりな戦のあとなどがほとんど。学園ひとつを占拠しそこねたお馬鹿さんたちの処刑を公開したのは……まあ、そういうことでしょうね。


「陛下の実の姉上なわけですし、さすがに皇族がたも大人しく見ているわけにもいかなかったのでしょうね」

「第二皇子であるギャネット殿下が巻き込まれたこともありますしねえ」


 双子たちが顔を見合わせて頷くのも、納得の行く話だわ。これで、責任問題は終わりでしょうね。


「ま、処刑も終わったことだし。あとは憲兵や偉い方々にお任せすることにして、俺たちは学生生活を楽しみましょうや」


 グランの、ちょっと言葉は悪いけれど現実的な言葉に皆、頷くしかないわ。というか、結局は大人が問題を解決するしかないものね。この場で学んでいる私たち、ではなくて。

 第一私たちには、大事なことがゆっくり近づいてきているし。


「そうですねえ。進級試験もあることですし」

「普通に学習していれば落ちないはずですが、だからこそ落第は恥ですものね」


 サンドラが小さくため息をつきながら上げた、進級試験。シンジュ様もおっしゃるとおり、授業をきちんと受けていれば合格できる試験だけれど、うっかり落第でもしてしまった暁には末代までの恥、となるわ。……実際、そうなった貴族がおられて、その数代後にお家は解散されたとかいう噂があるのだけれど、本当かしら。


「うわ、試験あるんですかあ」


 と、セレスタ嬢が露骨にお顔をしかめられた。中等部のときから進級試験はあるのだけれど……ああ。


「……そうか、編入組だから知らないのですね。あるのですよ」

「が、がんばりまーす」


 フォスがきっぱり言って差し上げると、セレスタ嬢は口の端を引きつらせつつお笑いになった。ええ、頑張りましょうね。皆で一緒に、二年生になるためにも。

 まあ、進級試験は頑張ればなんとかなるはずなのでいいのだけれど……学生としては本分である学習よりも、ある意味大事なことがその後に控えているのよね。


「試験が終わったら、後は三年生の卒業式とその後の舞踏会ですよね」

「ダンスの相手、見つかるかなあ」


 サンドラとアレクセイが、同じような表情を浮かべる。

 卒業生を送り出すため、そして貴族や大商人たちに自分たちの顔を売るための舞踏会。ダンスのお相手が見つかれば、在学生でも参加することは可能なのよね。そう、自分たちの存在を帝国に知らしめるためのイベントだから。


「ローズ様はジェット様がおられるから、いいじゃありませんかあ」

「ふふ、まあね」


 あらセレスタ嬢、確かにあなたの言うとおりね。もちろん、舞踏会では私はジェット様と踊ってもらうつもりですけれど。婚約者同士なのだから、当然ですわよね。


「うぅー、私も殿下と踊りたいですー」

「いや、無理なんじゃ」

「あんまり脈なさそうですよね、殿下」

「うわーん!」


 そのセレスタ嬢の願望を、両側からあっさり潰しにかかるアレクセイとサンドラ、こういう時は本当に双子だって分かるわね。ええ。

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