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宝角令嬢は普通に学園生活を送りたい【連載版】  作者: 山吹弓美


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65/100

065.令嬢は皆に尋ねる

「学園祭、ですかあ」


 昼食を済ませて戻ってこられたセレスタ嬢は、その言葉を聞いてほんの少しだけ焦ったような顔をされた。中等部のときの私もそうだけれど、できることがなかったりするとそうなっちゃうのよね。

 困ったような感じのセレスタ嬢に、シンジュ様が伺った。


「セレスタ様は、何かされたいことがございますか?」

「と、特にないですう。今のおうちに来るまでは一応、近所のお店のお手伝いとかしてましたけど」

「なるほど」


 そうだ。彼女は私たちと違って、庶民として生きてきた時間があるんだ。その分、私よりできることもある。

 実家の近所にはお店なんてなくて、買い物は使用人が馬車で遠出するか商人が向こうから来てくれるかだったしね。


「じゃ、模擬店の売り子とか? セレスタ様可愛いっすから、人気出ると思うっすよ」

「え、やだー可愛いですかあ?」

「にこにこ笑って愛想よくすれば、抜群に。あんまり拗ねると可愛くないっすよ」

「う、気をつけますう」


 イアンが上手く話を持っていってくださったから、途端にセレスタ嬢は上機嫌になられた。ええ、もともと可愛らしいお顔をしてらっしゃるから、笑顔になれば本当に可愛いはずなのよね。何というか私が見ているときってギャネット殿下に声を張り上げているか、こちらに意地悪な顔をしてるかだったりするし。


「何の話をしているんですか?」


 ああ、ラズロも戻ってこられたわね。せっかくだから、伺ってみようか。

 昨年、中等部の時は確か、合唱に加わっていたはずね。今年もそうなのかしら?


「学園祭の話をしておりましたの。ラズロはどうなさいます?」

「ああ。今年はトピアが俺の模擬戦闘を見たい、と言ってまして、そちらに」

「あら」


 模擬戦闘。ルリーシアと同じところになるのだけれど……いくら婚約者様が見たいから、といって付け焼き刃でどうにかなるところではない、と思うのよ。

 ただ、本人がやる気になっているようだから止めるのもなんだしね……模擬だから、お相手も何とかなると思うわ、多分。


「大変ね。大丈夫?」

「ルリーシアに鍛えてもらってますが、なかなか。本番では同等レベルの相手を見繕ってもらうことになりそうです」


 ああ、既にそういうことになっているのね。それなら、何とかなるでしょう。婚約者様もきっと、頑張っているラズロの姿を見て喜ばれると思うわよ。

 後はアレクセイとサンドラ……この二人は私と一緒というか、双子ならではの出番があるから、おそらくはそこね。


「あなたたちはいつものデュエット、よね」

「そうですね」

「お父様、変なところでうるさいから。アレクセイに模擬戦闘は合わない、私は売り子なんてやるもんじゃないって言うし」


 これは前にも別ジャンルで同じようなことを、お父上がおっしゃってたんだっけ。まあ、愛されておられると思えばいいのではないかしらね。

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