表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宝角令嬢は普通に学園生活を送りたい【連載版】  作者: 山吹弓美


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

61/100

061.令嬢は級友を語る

 何とか昼食の時間を迎え、食堂に入ると殿下とジェット様にお会いできたわ。フォスを含めて四人、日替わりの煮魚定食を手に席につく。


「昨夜は早めに寝たなあ。二人はどうだった?」

「私も昨夜はすぐに寝てしまいまして、荷物の片付けが終わっていませんの」

「それは早めにやらないとな」


 殿下のご質問に、ひとまず私が答える。本当に、早くあれを片付けてしまわないと寮のお部屋が狭くて仕方ないわ。

 視線を向けられて、今度はフォスが答える番ね。


「私は荷物を片付けてから寝ましたが、よく眠れましたよ」

「さすがはフォシルコアだな。その辺りはしっかりしている」

「殿下、あなたも盛大に荷物が残っていますよ」

「分かってるよ。帰ったらやるから」


 ジェット様からツッコミを入れられて、殿下の視線が天井の方に向けられたわ。盛大に、ということはまるっきり片付けられていない、ということかしら。

 ……私、人様のことは言えないわね、私も。相手が殿下でないとしても、ええ。

 そんなことを考えながら煮魚の身を口に運ぶ。濃いめの味付けがああ、学園に戻ってきたのねと感じさせるわね。


「例のうるさいやつはどうした」

「うるさい……って、セレスタ様のことですか」


 殿下のお伺いに、問い返してしまってから軽く口に手を当てた。……だって、うるさい方で即座にセレスタ嬢を思い出した、ってことだもの。実際にうるさいのだけれど、ご本人はいらっしゃらないわよね?

 口ごもってしまった私の代わりに、フォスがサラリと答えてくれたわ。顔色を一つも変えずに、セレスタ嬢の授業中の様子を。


「授業中に居眠りしかけては、必死に目を開いておりました。今頃、どこかで昼寝しておられるのではないかと思われますが」

「……頑張って起きていただけ、レキよりマシか」


 その報告を聞いて、殿下が小さくため息を付いた。レキ様よりマシということは、もしかして。


「レキの奴、今朝寝坊して遅刻したんだよな」

「さすがにたるんでいると怒られていましたな。その後も授業中に寝ていましたし」


 ああ、確かにセレスタ嬢はレキ様よりその、ほんの少しマシだったわね。授業に遅刻はしなかったし、授業は何とか起きて聞いていらしたもの。


「最上級生がそれでは、私ども下級生に示しがつかないのでは?」

「ま、レキはいつもあんな感じだしな。学園を出て家に戻ってからが勝負のような気がするが……まあ、家は継がないんだが」

「商売ごとにはいまいち向いていない性格、とも言えますな」


 そうだ、レキ様のご実家は確かサンフラウ商会だったっけ。グランもウィスタル商会の子息なのだからある意味条件は同じなのだけれど、先輩には失礼ながらグランのほうが幾分しっかりしていて商人の後継者には相応しい、と思うわね。

 レキ様は姉上がおられるとかでお家を継がれないとは伺ったことがあるし……それぞれのお家の事情にまで、首を突っ込む気はないけれど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ