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宝角令嬢は普通に学園生活を送りたい【連載版】  作者: 山吹弓美


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42/100

042.令嬢は準備をする

「それでは、獣の罠はジェット殿が行ってくださるとのことなので魚釣りと木の実取りの分担を考えつつ、コテージのお掃除からですわね」


 ネフライラ様が、とりあえず私たちのやるべきことを言葉にしてくださった。そう、まずは合宿の間自分たちが暮らすコテージを、それなりに掃除するところからよね。


「そっすね。頑張るっすよ」

「きちんとやりませんとね」

「しばらく自分たちが暮らす場所ですものね」


 イアンと顔を見合わせて頷き、コーラル様も穏やかに微笑まれる。全員で割り当てられたコテージに入ると、リビングのテーブルの上に人数分の前掛けと三角巾が揃えられていた。中等部のときもそうだったけれど、これを着けて掃除をするのが最初の任務。


「前掛けと三角巾なんて、合宿のときでもなければ使いませんわねえ」

「貴族の方はそっすね。俺なんかは作業のときとかよく使うっすよ」


 中等部のときに着け方は教わっているので、きっちりと装備する。ネフライラ様のお言葉に、イアンがへらっと笑いながら答えた。その意味をコーラル様はきっちり受け取って、なるほどと頷かれる。


「鍛冶師でしたね。それは、必要でしょう」

「へい。こういうところで使うのとは、生地とか違いますけどね」


 作業場に見学に行ったことは何度もあるけれど、火を使う場所故に燃えにくい素材の前掛けを使っているのだと言っていたわね。手袋や長靴など、いろいろなものに気を使っていると。

 一つ間違えば火そのものや、それで融けた高温の金属などで危ないことになるものね。当然のことだわ。

 前掛けなどを着け終わったところで、皆でぐるりとコテージの中を見回す。何度か伺っているときと同じように、特に汚れているわけではない。ただ、少しばかり埃が舞っているくらいかしら。

 その状況を確認して、ネフライラ様はあっさりやるべきことを決定なさった。


「まあ、床は埃を掃くだけでいいでしょう。その前に井戸で水を汲んで、テーブルや棚の上を綺麗に拭きましょう」

「高いところは私やジェット様にお任せくださいね。落ちたら危ないですから」


 コーラル様が、そう申し出てくださる。この中ではお二人が一番背が高く、私たちでは届かない場所でも手を伸ばせば大丈夫そうだ。

 ……コーラル様、ジェット様と同じ視線なのね。ちょっと羨ましいわ、なんて思ったのは内緒よ。


「ローズは注意深いからそう言うことはないと思うが、くれぐれも足元には気をつけてくれよ。コテージの中でも、外でもな」

「分かりましたわ」

「ジェット様、皆で注意すれば大丈夫っすよ。心配なのは分かるっすけど」


 ふふ。ジェット様ったら、心配性なところがおありになるんだから。それとイアン、ジェット様はお心が広くていらっしゃるから、皆のことが心配なのよ?


「では、ローズクォテア様。水汲み、一緒に参りましょうか」

「はい、ネフライラ様。桶は私が持ちますね」


 いきなり指名されたので、素直に頷くわ。水汲みはちょっと体力がいるけれど、若さでフォローしなくてはね。

 私が桶のことを申し出ると、ネフライラ様は「ありがとう」と御礼の言葉をくださった。


「お三方は、道具と別室のチェックをお願いできますかしら?」

「お任せを。イアン、君に道具の確認を頼んでいいかな」

「ついでなんで、壊れてないかどうかきっちり見るっすよ」

「それがよろしいでしょうね。では、私はベッドルームの確認をしてまいります」


 ジェット様、イアン、コーラル様がそれぞれに頷かれるのを確認して私は、リビングの隅に置いてある桶を両手に持ってネフライラ様とともにコテージを出た。行くときは二つ同時に持てるけれど多分、帰りは一つずつ持つことになるでしょうね。

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