3.斥候
いやー・・・びっくりした。よく勝てたな。次からはもっと慎重にいこう。
勝てたのはコブリンの強さがゲームの設定っだったから。
雑食か肉食かは分からないが他の動物を襲っているのは確かだろう。
であれば連中は狩人ということになる。
体格的にひとまわりかふたまわりちいさいかもしれんが格闘家でもなく軍人でもない私が勝てる要素はない。
ゲームが始まったばかりの段階での雑魚が必要でその為のゴブリンだから勝てたということ。
それと私の職が魔導剣士だったから。
思ったよりゴブリンが素早かったせいか剣での攻撃はほとんど役に立っていない。
素人がいきなり殺し合いで刀をうまくは扱えないと言うことだ。魔弾であれば飛ばすだけだから勝てた。
職が戦士だったらゴブリンの魔法使いには勝てなかっただろう。
後はレベルアップ時のMP回復。まさにゲームだな。
で・・・運が良いことに習得したスキルが<スキル操作><職業変更>。
これで戦士、弓手、僧侶、魔法使い、斥候 は選ぶことが出来るだろう。
とりあえず職を変更しよう。なぜなら奥に見える宝箱には鍵がかかっているはずだから。
つまり斥候に転職が必要だ。
斥候はダガーしか持てないが敵探知、罠探知、宝箱探知、罠解除、鍵開け、マップ作成 などのすべての補助的技能をすべて担当している。こいつは軽鎧装備。
良く考えたらこいつのスキルが無いと先に進めないな・・・
ちなみにこのゲームはベータでは戦士しかなかった。正式スタート時で5職。
そこからある程度時間が経ってから上級職が解放された。
戦士が一定レベルで重戦士と盾士。
重戦士は両手武器を装備で物理攻撃最強職だ。
盾士は巨大な大盾を持てる唯一の職。そのかわり武器は小型武器しか持てない。
戦士と僧侶が一定レベルで聖騎士。
これはそのまま戦士+僧侶。
こいつらはすべて重鎧装備。
戦士と斥候が一定レベルで忍者。
まあ・・・忍者なんだ。癖が有り過ぎる趣味職。
プレイヤーがうまければ結構強い。
斥候と弓手が一定レベルで野伏。
斥候+弓手な人。
結局斥候はパーティに必要だが戦闘能力が・・・となるので斥候枠は普通これに置き換わる。
僧侶+魔法使いで賢者。
いろんな便利魔法が使えるようになる。特に自動マッピングとマップに探知を連動するスキルは必須。
こいつらは鎧装備。
おっと。思い出した。これ以降の職が追加された時に職の制限がなくなったんだった。
その時は阿鼻阿寒地獄だった。いきなり条件緩和されるとねえ?今までのはなんだったって話ジャン?
なので私が初めから魔導剣士はあり得るということか・・・
ちなみにその時追加された職が 魔導弓手、錬金術師、魔導剣士。
魔導弓手は魔法の矢を放つ弓手。
このゲームは本当に矢を消費する珍しいタイプだったのでこれは利点だった。その分値段は高いが特殊な効果を持つ矢が使えないがそれを補うぶっとび技能があった。
それがマルチロック複数攻撃だ。この機能のおかげで攻撃すると雑魚は一瞬でいなくなる。
威力は高くないが柔らかいボスであれば球数勝負でかなりのダメージを与えられる。
防御力を抜けない硬い敵にも単発で威力を上げた矢を放てる。
最大威力では魔法使いに負けるが詠唱する時間が長い魔法使いより数を打ち込めるし移動しながら攻撃できるので遠距離魔法攻撃の枠はだいたいこれに置き換わった。
錬金術師は初の作成職かと思ったら全く違った。
地面や壁を変形させて攻撃や防御を行うという近接職だ。変形した地面や壁はある程度したら元に戻る。
この職がひどいのはそれを敵にも使えるということだ。
殴るとダメージは入らないが麻痺、気絶、毒、凍結、燃焼などゲームに存在する状態異常にモンスターを錬金するのだ。
こいつのおかげでボス戦が変わってしまった。ボスの弱点の状態異常を延々と入れ続ける。
これでボスの討伐時間が大幅に縮まることになった。
ただし素手で接触で軽鎧なんでプレイヤースキルが高くないとすぐ死ぬのと、攻撃力が低いのでソロでのレベル上げが出来ないという欠点がある。
魔導剣士は近距離中距離での最強職だ。
近接の物理なら重戦士の両手武器だがこいつは攻撃速度が遅い。
魔導剣士は魔弾を剣に取り付けて攻撃力を上げることが出来る。
もしくは普通に剣で攻撃した後魔法の剣が追加攻撃する。
敵が硬ければ攻撃力を上げて柔らかければ追加攻撃で与えるダメージを大幅に上げることが出来る。
攻撃力上昇は僧侶や聖騎士でも出来るがこっちはパーティ全体のため上昇値が小さい。
それと魔弾とあるように敵に放つことが出来る。
威力は魔法使いが最初に覚えるエネルギーボールと同程度。エネルギーボールはレベルが上がれば数が増えるが魔弾は増えない。
だが詠唱のいる魔法使いと違って魔弾は連射が出来るし移動も出来る。
最近はボス周回は魔導弓手、錬金術師、魔導剣士のみで行われる。
ただこれらの職は基本職のレベルとスキルをMAXにしないとあまり強くないという欠点があるが。
そう言う意味では長期的には基本職を全部鍛えて行かないといけないがとりあえず魔導剣士を主軸に鍛えるかな。
職を変える前にステータスを見ておこう。レベルが上がったはず。
魔導剣士 2レベル
HP 150/150
MP 115/150
SP 150/150
物理攻撃力 11
魔法攻撃力 11
物理防御力 9
魔法防御力 2
経験値 26/300
HP,MP,SPは50ずつ増えている。そんな数値だったかな?
1レベルでも1000位はあって100レベルで1万越えだった気がする。
攻撃力と防御力も1ずつ増えているような?
このゲームではレベルアップでは攻撃力と防御力は増えないはずだがな。
まあ増えるのであればそれはそれでいいか・・・おっと。ヤバいことに気が付いた。
このゲームは宝箱からとドロップでも武器防具は出るが、基本は素材を集めてから依頼して作成だ。
ということは・・・武器防具は宝箱から出るということか?
作成依頼も強化依頼もないがその代わりに宝箱。もしくはドロップ。それはそれできついな。素材を集めるための周回 と、出るもしくは落とすのが確率の周回 では意味が変わってくる。
確率だと永久にでないこともあるからな。
そのためにはまず宝箱を開けてみよう。
「職業変更」
予想通りゲームで選択できる職がすべて選べる。斥候を選択する。
斥候を選択した瞬間武器が自動で変更された。
斥候はダガー2本使用だ。着ている服は変更されない様だ。だがそこら辺はどうでもいい。
宝箱の前に移動する。
「罠探知」
反応なし。
どうするか・・・とりあえず毒針で罠解除するか。
「罠解除」
反応なし。と言うことは本当に罠はないと思われる。
「鍵解除」
成功した。宝箱を開けると革鎧が入っていた。
<レザーアーマー>
なんか怖くなってきた。運が良すぎないか?ここで一生分の運を使い切ってしまったとか?
これは軽鎧だよな?だったら斥候でも装備できるはず。
その前にステータス確認。
斥候 1レベル
HP 100/100
MP 70/100
SP 100/100
物理攻撃力 5
魔法攻撃力 5
物理防御力 8
魔法防御力 1
経験値 0/100
職を変えても
1レべルでのHP,MP,SPは同じ。防御力も同じようだ。
MPは・・・さっきはMAX-35がMAX-30になっているのでMPは時間で回復の様だ。
攻撃力は激減している。
先ほどの<レザーアーマー>を装備してみる。
斥候 1レベル
HP 100/100
MP 70/100
SP 100/100
物理攻撃力 5
魔法攻撃力 5
物理防御力 11
魔法防御力 2
経験値 0/100
おっと・・・思っただけで装備が変わった。これは便利だ。
数値が上がったが・・・思ったよりもしょぼい。
変更元の装備はどこに行った?アイテムボックスの中に先ほどの刀とともに収納されている。
何時も疑問に思っていた。ゲームでは職によって武器制限がある。
が・・・今の私は刀を装備できないのか?
刀を取り出して装備してみる。
斥候 1レベル
HP 100/100
MP 70/100
SP 100/100
物理攻撃力 6
魔法攻撃力 6
物理防御力 11
魔法防御力 2
経験値 0/100
おりょ?・・・装備は出るようだが攻撃力は魔導剣士とは同じではない。
刀の性能を生かし切れないのか?
もしかして斥候はダガーを両手に持ってるのが効率が一番いいとか?
斥候の攻撃スキルだと攻撃回数が増えるとか、弱点をつくとか、奇襲が出来るとかだ。
それらのスキルは他の職にセットできるのでスキルがダガー専用と言うことはないはずだ。だといいな。
そこいらの検証もしないといけないが次のダンジョンに移動しよう。
ん?
なんかの反応が見えたような?気のせいではなかった。
モンスターの上に名前が出るようになにかの表示が地面にある。
近寄って見てみると・・・
<ゴブリンの牙>
どうやらドロップが落ちる仕様の様だ。死体はいつの間にか消えていたが気にしていなかった。
ドロップを拾いながら入り口に戻ることにしよう。
おっと?ドロップでなく何かがあるようだ?宝箱でない素材直落ちか。
<布>
・・・まあ回収しておこう。
入り口地点に到着した。
職を変えて次のダンジョンに挑むとしよう。ある程度まで魔導剣士をレベル上げするか?
それとも近接戦闘はやらない前提で魔導弓手をやるか?
本来は基本の戦士をするべきだが近接戦闘は鎧がそろってからにしたい。
「職業変更」
おや・・・反応が無いようだ。