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1.初日 未知との遭遇

金曜の夕方何事もなく家に無事に帰りつく。

無事というのはトラブルもなく残業もないということだ。


コンビニで買った夕食をテーブルに置いてPCの電源を入れる。

ゲームを立ち上げてログインしフレンドの確認を行う。

見事に誰もいない。

ログイン特典を貰いメールの確認を終えるとログアウトを行う。

別にやる気が無い訳ではない。

やることが無いのだ。

このゲームは宿に泊まることでジョブを変えることが出来て、スキルはどのジョブにもつけられるタイプだ。

武器防具はモンスターからの直ドロもあるがモンスターのドロップを持ち込んで武器屋で作ってもらうタイプ。

その後に武器防具をモンスターのドロップで強化をしていく。


それでもって私のキャラの現状は

全部のジョブでレベルキャップ

全てのスキルレべルMAX

武器防具は作成できる最高ランクを作成済みで最大まで強化済みだ。

神気とやらを集めて麒麟と四獣に捧げてステータスやアクセサリー装備枠やらををアップしてもらうコンテンツもあるが、これもすべて捧げているし神気を限度枠まで溜めている。


本当にすることが無いのだ。レベルキャップなどと言うふざけたことをしてるからこうなる。


フレンドがいたのなら手伝いでパーティーを組んでもいいのだが。


今このゲームは野良パーティーを組むことが難しい。

武器防具はランクがありジョブレベル以下のものしか装備できない。ランクが同じでも素材によって強さが違っており一番強いものが最強武器になる。もちろん強化も必要ではあるが。その最強武器防具は各地のエリアボスが落とすドロップで作成と強化を行うのでボス周回が必須となる。

武器が必要で野良パーティーを組むはずなのだが・・・

レベルもスキルもMAX。武器防具は1つ前の物をMAX強化。が必須。それじゃない奴が来るんじゃねえ。カス!

と言われるのだ。

たまにそんな人いるよねーじゃなく野良で組むとかならずそういう人たちが集まるのだ。

まあ確かに。多量のドロップを集めないといけないので効率を最大しなければならん。

条件を満たさない奴は寄生とみなす。というのは分かる。

分かるが・・・だったら最初から条件書いて募集しろよ。

書かなくてもそれがデフォだ!じゃないんだよ・・・

まあそんなことを言っても時間の無駄だ。彼らにとっては彼らが正しいのだ。

そんなこともあって最近は新人は見ることすらめずらしくなった。

知り合いがいて面倒を見てくれなければレベルアップも武器作成すらできないようなゲームになってしまっている。

最近過疎っている気がする。

メインストーリーの追加もこの頃頻度が下がっているというか進みが遅くなっているような気もする。

もしかしたら終わるのかこのゲーム・・・

まあいい。テレビ見て夕飯食って風呂入って寝る。


「おーい。おーい」


寝ていると誰かの声がする。

この声は・・・ナレーションの鬼。でなくてナレーションの神様の声優さんのような・・・?

眼を開けると槍を持った白髪で白い服を着た爺さんが大理石に座っていた。

その周りは辺り一面真っ白で・・・そういう風景がタブレットのような板に表示されていてその板が眼の前に浮いている。

・・・

普通はその白い部屋に呼び出されるんじゃないのか?白い板なの?


「いやーそうしたいのだがそれはめんどい。異世界に行くのではないから呼びたくないんじゃ」


こいつ人の心呼んでるぞ!


「心読んでるんじゃないぞ」


どう考えても読んでるだろ!

・・・というか冷静だな俺。


「そう言うのを条件にしたからな」

おう!・・・こういう時に冷静に対処できる能力があるんだ俺。


「話を一切聞かないとか異世界転生ヒャッハーとか叫ぶやつがいたんでな」


まあ普通は話聞かないよな。幽霊が出たかと思うぞ。まったく体が動かないからただの金縛りかもしれん。経験はないけど。

・・・条件?


「異世界やダンジョンに対しての理解がある。世界情勢に対する知識や社会常識がある程度あることじゃ」


世界情勢や社会常識?ある程度?


「偏った奴は役に立たなくてな」


いろんな意味で中途半端がいいと?


「異世界やダンジョンへの理解があるやつは極端なやつばかりでな」


異世界やダンジョンへの理解があるやつって・・・ただのオタクでは?というか・・・

理解って?想像の世界では?


「そうじゃ。観測した太陽の熱量が石炭や石油の燃焼でないことから原子の核融合を理解する。宇宙を観測して質量が合わないことから時空が違う世界があることを理解する。まだ見ていない異世界について推測できる能力を持つとはこの世界の人間は素晴らしいぞ」


何言ってるか全くわからんぞ。


「別にお前のことではないからな。この世界にはそういう連中がいて知識を高め合っているということだ」


それはどうでもいいか。で・・・いったい何の用だ?


「おぬしにダンジョンマスターになってもらいたいのじゃ」


何言ってんだ?こいつ?


「おや・・・だめか。これならどうじゃ」


そういうと爺さんは幼女に変身した。


「ダンジョンマスターになってよ」


てへ!と笑った幼女が何かほざいた。そうじゃない。言う方じゃない。

それに声が爺のままだ。まあいい。これについては無視しよう。

ダンジョンマスターかよ。ん?異世界転生ではないって言ったよな?


「異世界じゃなくこの世界のダンジョンだ」


この世にもダンジョンはある。それは地下牢だったり駅だったりする。

俗にいうダンジョンマスターのダンジョンとは違う。


「正確にはこの世界に発生させるダンジョンだ」


今から?おう・・・それ一番ヤバイタイプじゃね?全人類が私を殺しに来るじゃん。


「そうはならんぞ。ダンジョンボスをやれってことじゃない」


助かった。でなくて・・・何故にダンジョンを発生させる?何故にマスター?


「簡単に言うとだ。この時空に穢れが溜まり限界を超えそうなんじゃ。限界を超えるとこの時空は一気に穢れの中に沈み時空ごと消滅してしまう。それを防ぐのがダンジョンじゃ。穢れをマンジョンでモンスターに変えて穢れを減らしていく。そうやって穢れの総量を調整するのじゃ」


いきなり話が進み過ぎだ。穢れを減らさないといけないからダンジョンでモンスターを作る。

それはいいがそのモンスターはどうする?というかダンジョンマスターはなにをする?


「悪いがモンスターはこの世界の住民に退治してもらわねばならん。そうしないとモンスターが溢れかえり人間は激減しかねん」


ええと?つまりダンジョンを育てて侵入者を効率よく倒すのが目的ではない?


「この世界の人間が効率よくモンスターを間引くことが出来るように調節するのが目的だ」


単純にモンスターを弱くすればいいんじゃね?

というかモンスターを作った瞬間ダンジョン内で消滅でいいんじゃね?


「それはできん。戦闘能力は一定以下には下げられんし下げると穢れの浪費量が劇的に下がる。それにダンジョンもモンスターで作られたモンスターはダンジョンの護衛なんじゃ。ダンジョンの生存本能を無視した設定は出来ないし、もしダンジョンが危機に陥れば暴走する可能性がある」


それだとダンジョンマスターは要らなくない?


「そのままではダンジョンが無限にモンスターを吐き出して手が付けられなくなるのは分かるな?それは困るのでうちらはダンジョンに条件付けを行い人間がモンスターを間引きするのを支援する。その支援にはうちらの魔力が使われるのじゃが、こちらとしては最小の魔力で最大の効率でモンスターを駆逐したい」


ダンジョンにモンスターを殺させるのは無理ということか。そっちで処理してもらえませんかね?


「それもできん。この世界の穢れは発生原因が人間なんじゃ。自己のためになら他のすべてのものを犠牲にする。同族ですら殺すその心根が穢れを呼ぶのじゃ」


てめえのケツは自分で拭けと言うことか。


「わしらは時空が沈むのが惜しいと思って手を貸すだけじゃ。沈んでもそれはそれじゃ」


沈みたくなければ人間に優位になるようにダンジョンに条件付けを行えと?

ということはその条件を考えろということ?


「そう理解してもらっていい。なので先ほどの話になる。異世界やダンジョンに対しての理解、世界情勢に対する知識、社会常識 じゃ」


つまりどうすれば人間がモンスターを効率よく狩ることが出来るかを考えてダンジョンの条件を考えろと?素直に国のお偉いさんに話をすればいいじゃ?


「そいつは実際のところ誰なんじゃ?政府のトップか?警察?司法?軍?」


たしかに。独裁者でもなけばどうにもならんし、お偉いさんがこんな話は信じない。

ということで全国民に通知はどうでしょう?


「魔力がいくらあっても足らん。今の状態でもすさまじい魔力を使っておるのじゃ」


つまりこの世界の人間や政府、警察、軍がどう動くかまで考えて条件を決めろと?

それは無理だよ。というかなにかあったら修正でよくね?


「それはおすすめできない。世界中に短期間で連続でダンジョンを作成するのでな」


それだと初期設定をしくじったら終わりじゃね?


「そのためのダンジョンマスターじゃ」


つまりその都度修正はできる?のであれば初期設定は適当でもよくね?


「修正はダンジョンの最深部にあるダンジョン本体にアクセスしないといけない」


それって・・・死ね言いますか?


「当然お前以外にも話をしている。断ってもいいが・・・特典とやらを付けるぞ」


やらしていただきます。


「でじゃ・・・お前が思う条件はどうじゃ?」


ええっと・・・何日かくれないですかね?


「すさまじい魔力を使っていると言ってるだろう。時間もあまりないしもうお前らにアクセスすることもない。ダンジョンを作ったら後は放置じゃぞ」


数秒後に引き受けたのを後悔することになるとは。

むむむ・・・特典なしでこの世界にダンジョンが来るよりいいのか。そう思いたい。

まずは・・・ダンジョンがモンスターってことは死ぬこともある?


「ダンジョン本体を攻撃すればダンジョンは死ぬ。ダンジョンは復活しないのでダンジョンが死ぬのはよくないぞ」


問題はダンジョンが死ぬことが分かった場合、全世界のダンジョンは殺されてしまうだろう。

そうなると穢れとやらに沈む。


「そうなる。ある程度なら近くのダンジョンがカバーしてくれるだろう」


となると軍隊対策だな。

銃が有効でかつ団体でダンジョンに入れるなら、ダンジョンは短期間にこの世からいなくなる。


「それについては考えてある。魔力が無い攻撃に対して耐性があるようにする」


それだと人類側が無双されてしまうんですが?それに現状の人類に魔力がある?


「お前たちはふだん使用していないから魔力が異常に少ないが無い訳ではない。なのでダンジョンに入ったら魔力が働くように仕掛けを入れる」


ダンジョンに入ると魔力に目覚める。つまり魔法が使えるようになる。


「魔力を使えるようになるスイッチが入るということじゃ。それでは足りんので強制的に魔力を戦闘で使えるようになる仕組みもいれるとするか?」


攻撃魔法や肉体強化などのスキルの様なものを覚えられるようになるという感じなのか?


「そうだ」


それだと弓とかが使えなくなるよな・・・


「それは大丈夫だ。弓矢に魔力が込めらていればいいからな。カラクリに気付けば銃の弾に魔力を込めるだろうから銃を持ってダンジョンに入った奴には魔力を使えるようになる特典は与えない」


それならば銃は大丈夫か。というかもう考えてあるじゃん。おれの意見いるのか?

ダンジョンに入れば魔力に目覚めスキルが使えるようになる。

人がモンスターを駆逐する能力を手に入れる訳だがそれだとダンジョンが攻略されてしまう。

攻略人数を絞るという手もあるがそれだとモンスターを間引くという目的が達成できない。

となると・・・入ったパーティごとにダンジョンを作成・・・むう。さすがにそれは無理か。


「ほう・・・それはいいかもな。要するに侵入するものを分断したいということだろう。一考の余地があるな」


ダンジョンの中身が多量発生することになるが土地的なものはどうなる?というか入り口はどうなる?


「入り口は石碑にするかの。もちろん破壊不可で。中身は時空的に切り離せば土地や体積を気にすることはない」


それだとダンジョンは他の場所にあるということなのか?それだと穢れを吸えないのでは?

魔力とやらが結構いるのでは?


「それはない。場所としてはそこにいるんじゃ」


よく分からんが・・・いいか。後気にしないといけないことはダンジョンで出る素材の優位性だな。

経済的に特典が無いとダンジョンに挑むと人件費的に赤字になるからな。


「それについては貴金属と武器や防具もしくは材料と思っておるんじゃがそれでは不足か?」


ある一定の時間かなりの高温を発する石。逆に吸収する石。発電する石。

もしくは・・・病気を治すか怪我を癒す物質。これはスキルでも可。


「発熱?吸熱?」


電気が起こせればそれでもいいがそうでなければ発熱。

火力発電所で発電できるだけの火力があり当然放射能や汚染物質は出さない。

それも手で持てる大きさで家の電力をある程度の時間賄えるくらい。

石油よりも熱量が圧倒的にある。とかのレべルで。


「なるほどな。ダンジョンを運用するうまみを与えろと言うことだな。どれかはいれないといかんな」


後は・・・こういう話で問題になるのはPKだ。

もし特典やスキルをPKで得られたら壮大な殺し合いが始まる。


「それは困るの・・・といってダンジョン内を常時監視するのは出来ないし、殺し合いに対抗してなんらかの処理をするのも無理じゃ」


となると・・・入場規制は出来ないものか?もしくはスキルや魔力の剥奪。


「それは出来るな。殺人歴のある人物は入場不可。ダンジョン内で殺人、傷害を行ったものはダンジョンから出る時にスキルを剥奪しダンジョンへの入場不可」


完全に防ぐことは出来ないがこれでスキル欲しさのPKが横行することはない。

ただこれだと誤射でやってしまうとダンジョンから弾かれる。


「それもそうじゃな・・・誤射はOKにするか。もちろん故意に誤射するのは無しで」


それだと誤射じゃねえし。というかそれをどう判定する?


「おう・・・そろそろ時間じゃの世話になったの」


ちょっと!大事なもの忘れてますよ!


「おう・・・そうか。特典な」


忘れてやがったな。


「今からダンジョンの設定と設置を行うがその前にダンジョンに挑む機会を与えてやろう」


おう?それだといきなり死んじゃうじゃん?


「んん・・・・・そうじゃな。本物では都合が悪いので・・・おお!いいものがあったなこれにしよう」


勝手に話を進めないでください。


「ダンジョントラベルというスキルをやろう。オリジナルスキルだから他に習得するやつはいないからな。本物ではないがチュートリアルダンジョンと言うやつに飛べるようにしておく」


いきなりダンジョンだと本当に死んでしまいますがな!それとも始末するつもりか!


「チュートリアルだと言っているだろう。お前さんがよく知っているやつじゃ」


よく知ってる?ダンジョンに入ったことはないぞ?

おや?白い板はいつの間にか消えている。・・・いまのは現実か?それとも寝ぼけているのか?


ん・・・寝るか。


「ちなみにスキルは初回の特典で得られるようにルール化したので急いだ方がいいぞ」


は?


「ぼやぼやしてると他のやつに初回特典を取られてしまうということだ」


へ?


「まあいい。初回は儂が送ってやる ダンジョントラベル!」


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