30話 突然の幼女 !「も、もちろん…ボクはロリコンではないよ!」By政田
久々の政田編です。
一応言っておきますが、政田の一人称は『ボク』です
いつもは気にせず歩いている街並みも、こうして気を配りながら歩いているとまた面白い。
――あ、こんな所に紫陽花が!
――こんな所に駄菓子屋なんてあっんだ!
――うん、このお菓子美味しい!
まだまだ街には知らないものはたくさんある。案外、外に出てみるのもいいかもしれない。
それにしてもこのガム、10円なのにずっと噛んでいて味がなくならない。また今度行ってみようか、あの駄菓子屋さん。
そんなことを思いながら公園のベンチでそよ風に当たる。そよ風は、ボクの体をさするように優しく過ぎていく。この時間帯の風は暑すぎず寒すぎない、丁度いい温度だ。
「あぁ、本当に心地良いなぁ……」
ボクの視界は、家が立ち並ぶ住宅街から赤がかった空へと、上からどんどん変わっていく。そして視界が空一面になった時、今度はどんどん視界が暗くなって……
「――ぐふぇっ!?」
そして、下半身に大きな衝撃が走った。
「な、何事!?」
ボクは咄嗟に体を起こし、下半身に目を向ける。
「……うぅ……おにゃぁ……たぁ……」
そこには、虚ろな目をした少女がボクの太ももにしがみついていた。だがその子は、
「えーっと、どちら様?」
全く面識のない少女だった。
「うーん、おなまえはなにかな?」
とりあえず少女をベンチに座らせ、ボクは正面でしゃがんで目線を合わせる。そして、優しく話しかける。
これは決して煽っている訳ではない。正面から見ると分かったことがある。まんまるとした紫の大きな瞳、そしてボクがしゃがんだ時に目線がちょうど合うという身長、この子は幼女である。
「……うぅ……わたぁ……じぃ……りぃ……」
緊張しているのだろうか、言葉が上手く話せていない。でも、ここで聞き直すのはNGである。もしここで泣かせてしまったら完全にロリコン犯罪者だ。ボクは犯罪者でもなければ、ロリコンでもない。
ここは、持っている物、身につけている物から名前が分かるものを探すのが一番早い。
あまりベタベタ触るのもあれなので、できるだけ目視で手がかりを探す。
そして探し初めて数分後、全く手がかりになるものが見つからない。気づくと目の前の幼女は小さな寝息を立てて寝てしまった。
カラスの鳴き声が聞こえてくる。肌に当たる風が少し冷たいあたり、もう日が暮れてきているのだろう。
そうなると、ここで起きるのを待っていたらこの子が風邪をひいてしまう。交番に預けるのが最適な方法だろう。
そうなったら、ゆっくりと持ち上げて……
「うーん、でも……」
だが、その腕は止まった。持ち上げようとする寸前、一旦この子の気持ちになって考えてみたのだ。
ボクにしがみついてくるあたりボクに懐いている、もしくはボクに助けを求めているのだろうか、そして普通は警戒した相手の前で寝ることはない。そうなると、ボクには警戒していないのだろうか。ここで交番に届けるとしよう。もし、さっきまでいたお兄ちゃんが突然いなくなったらボクがその立場だと、とても寂しくなる。そうなると、一旦家に連れ帰るのがいいのだろうか。
でも、それはそれで誘拐に成りうるし、さすがに助けを求める、なんていうのは考え過ぎだろうか。
風が吹く。さっきより少し冷たい。どんどん冷めてきているのだろう、ここで迷っているとこの子が風邪をひいてしまう。決断が迫られている。
少女をよく見ると、服はボロボロ、髪はボサボサ、すぐに寝てしまったあたりとても疲れているのだろう。
よし、決めた。利害を考えると、風評なんかよりこの子の命の方が断然大切だ。
この子を一旦家に連れて帰って、あったかいお風呂と夕ご飯を与えて一晩寝かして、そして明日に親御さんを探すとしよう。
そうなると、まずは家に連れて帰るまでにボクが警察に捕まらないことが大事だ。誰にもバレずに家に連れて帰らなければならない。
――いや、なんか少女誘拐する犯罪者と同じようなこと言ってるけど、理由は全然違うからね!
☆☆☆
「ふ〜ん、ふふーん♪♪」
あぁ、今日はなんて素晴らしい日なのだろう。今のオレは珍しくツイている。
スーパーに言ったら、なんと1万人目のお客様。そのおかげで1万円分商品買い放題、そのおかげで両手にはとんでもない量のスーパー袋がある。
そのノリで次に近くでやっていた福引きに参加すると、結果はなんと3等の図書カード5000円分でカランカラン。そのまま本屋へ、読みたかったライトノベルがたくさん買えた。そしてレジにて、なんと当たりくじが入っていたらしく、またもやカランカラン。オレの大好きなラノベの作者『もえづき先生』の直筆サイン色紙をゲット。
そして、両手に大量のスーパー袋とライトノベルを持って、家に帰る途中という状態が今である。
本当はスキップしたいけど、そうすると袋に入っている豆腐がジ•エンドなのでそれはやめておこう。
でもさすがに両手にこれだけの量の荷物を持っていると腕が疲れてきた。すぐそこに、今にも空きそうなベンチがあるのでそこで休憩することにしよう。
少し冷えた夕風が吹く。
「……ふぇーくしょんっ!」
まさか夕立なんて降らないだろうな……
まああまり信用していないが、今日のオレの星座占いは1位、ラッキーカラーはピンク、まさか、この幸運の連鎖はこれだけじゃなかったり……?
そして、何とかベンチの所まで到着した。さてさて、ゆっくり座るとしよう――
――バタン……
その時、オレが手に持っていた袋全てが一斉に地面に落ちた。あまりの驚きに手が離れてしまったのだ。
だって……
「お、お前……な、何……やっとん……?」
まさか、今ベンチを離れた人が、幼女を抱えた政田なんて、考える訳ないだろ?
☆☆☆
読んで下さりありがとうございます。
最後の星三つより、次回は政田視点からスタートします。




