27話 よにんぐみ(5-1)
べ、別に、話数稼ぎたいわけなんてないからねっ!
まるで昼のことがなかったかのようにオレたちが向かったのは、オレと明智が前に買い物をしたショッピングモールである。このショッピングモールは透紫市でも割と名のしれた、面積をとる分、結構便利な施設である。
実はまだ1時過ぎ、帰るまでにはまだまだ時間がある。何時に帰るかは分からないが、ここで大半の時間は過ごすだろう。
自動ドアが開き、ショッピングモールの中に入ると涼しい風がオレたちを迎えてくれた。そしてそれと同時に、妃夏と明智の目がキラキラと光った。
「めぐっち! 新作の服入荷されてるよ!!」
「だよね! やっぱりあれ、新作だよね〜!」
キラキラした目線の先を辿ると、どうやら2階の服屋らしい……え? なんで見えるの? どうやらJK心で視力補正がかかっているらしい。
「ひとみん! 行こー!」
「あ、うん! 1時間後ここで集合ねー!」
ゲームソフトを買いに来た時の子供のようにはしゃぐ妃夏。そしてそんな妃夏に手を引かれ、明智も服屋へ消えていった。妃夏はそうだが、今回の計画者である明智も楽しそうで何よりだ。
そして形的には男女それぞれで1時間自由行動になったらしい。
「なんか行きたいとことかあるか?」
それにしても凛島と遊ぶのも小学生以来だ。凛島の見た目は小学校の時よりかなりチャラくなり、また小学生の時の『遊ぶ』とは少し違うけど、遊ぶは遊ぶである。小学生なんか小学生の頃の約束を7年後に果たした、どこかそんな気がする。
「オレは別に大丈夫。お前は?」
オレ自身も、オレの陰の時代を全て知っていた凛島と2人なので、かなりリラックスできる。
「うーん、俺はあるかな」
口調や表情からして、凛島もどこか楽しそうだ。
こうして、オレと凛島は1階にある雑貨屋へ来た。雑貨屋と言ってもオレたちが来たのは、一角を占めるメンズコーナーである。
イケメンのモデルの男の人がヒゲを剃ったりスポーツをしたりしているポスターが貼られたその場所で、凛島が手に取ったのは、有名ブランドのメンズのワックスだ。
「いゃあ、最近ワックス切らしてたんだよなぁ」
凛島は、そう言って棚にあるワックスを取っては置いてを繰り返している。
「へぇ、お前っていつもワックス使うのか?」
「あぁ、てか必需品じゃね?」
「へ?」
予想もしない答えのせいで変な声が出てしまった。ワックスが必需品? え? え? え?……
「……まあお前なら分かってなくても仕方ないか。教えてやるよ」
「りょ、了解……」
そして、なぜだか凛島先生のリア充講座が始まった。
次回、☆サッチーのワックス講座☆
早めに出します許してください




