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BACK The new generation   作者: ナスの覚醒
1章 Competent Of War
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23話 よにんぐみ(1)

ブツギリスタイル!!

 今宵は日曜日、1週間でいうと始まりを表し、また休日の終わりを表す。

 透紫とうし市は気温23度、湿度52%、天候快晴、気圧1005hPa、降水確率0%、つまり梅雨にしては割と珍しい気候である。

 こんな日曜日、人々は何をするであろうか。

 幼子(おさなご)共は家でおままごとや仮面を被り戦うヒーロー、つまり『ニチアサ』のテレビを視聴し、また社会のために身を粉にし社会のために汗を流し社会のために命を削る、故に全ては社会のために、社畜万歳、といった者共は1週間のうちの唯一のオアシスである今日(こんにち)の大半を体を横にして暮らすものであろう。


――では、学生と言ったら何であろう。

 社会のために身を粉にする? プラスチックで出来た食材もどきなどを使い日常をシュミレーションする? いや違う。

 封鎖された空間でたった10秒の鐘の音を渇望し、または黒い板の上に書かれた石膏、もしくは石灰の文字を黒鉛でできた黒い柱上の物体を使い、何十枚も重なった紙共の上に殴り書き、学校に於ける社会的地位に揺られ、または地位の頂点に上り詰め、その地位を落とすまいと、地位を這い上がる登山者共を蹴落とし、そして蔑む。そんな5日間を終えた若者共は何をする?


 そんな現代社会の中、陣田シゲ盛の日曜日が始まろうとしていた――


     ☆☆☆

 『10時前、国枝駅前広場に集合』そんなLINEを明智から受け取ったのは今朝だった。

 今日の服装は、以前に明智に選んでもらった服のセットをそのままである。これも明智の指示である。なぜなら、オレはオシャレ用の服はこれだけ、あとは白いTシャツとジャージしか持っていないからである。

 今日のオレの服装は、下はくるぶしまであるギチギチのベージュのジーンズ、上は黒の横縞模様のTシャツに紺の半袖カーディガンを羽織っており、靴は白のスニーカーを履いている。

 それにしても暑いし動きにくい。なだれ出る汗が止まらない。そもそもオレは、何年間も夏の昼間はクーラーの効いた家でゲーム三昧、全く汗なんぞかかなかったのである。夜は魔獣退治のため外にこそは出ていたのだが、なんせ夜なので汗まではかかないのである。

 気づくとハンカチは汗でびしょ濡れ、絞ったら汗が出てきそうな程だ。一応水筒も持ってはきているものの、もう半分しかない。今の所持金は7000円、さすがに飲料で今日の予定が丸潰れということはないはず……


「おーい、ジンくーん!」


 そうこうしているうちに、今日のメンバーのうちの1人がやって来た。

 まだあまり声変わりのしていない高い声、その声の方向に顔を向ける。すると目線の先には、ニッコリとオレに微笑みかけた童顔があった。そう、みんな大好きめぐっちである。


 太ももくらいまでの短さのショートデニムに、どこかのファッションブランドのロゴが入った白ティーの裾が入れてある服装。あまり着こなさない感じ、そして小さい体もあって身軽さが感じられて、暑い今でも見てて涼しく感じる。また、あまり主張しない胸だからこそ、その少しの凹凸に心が踊る。


 妃夏を見てから1秒も経たずに状況把握、そしてすぐさま考察に入るオレの頭の回転の早さは、世界中の誰にも負けない専売特許である。


「おう、おはよ」


 それとなく返事をしてしまった。

 学校だと普通に接することができるものの、何故か学校外だと緊張してしまう。そういえば、妃夏と学校以外で会うのは今日が初めてだ。


「お! ジンくん、なかなかオシャレしてるね〜」


 そんな状況でもオレを退屈させない妃夏はまさに、超一線級のリア充、エリートである。


「めぐも似合って――」

「――ん? お前らもういたのか」


 そんな和やかな雰囲気を一瞬にして粉砕する男、凛島も、そ今日のメンバーのうちの一人である。

 なお、オレが来ることはちゃんと伝わっているので、そこら辺の心配はいらない。


 凛島のコーデは、下はベージュのジーンズのオレとは違って白のジーンズ。ジーンズというものは恐らくリア充男子必須のファッションなのだろう。そして上は灰色の薄い生地のTシャツ。一見シンプルだが、とても似合う。いや、素が凛島なので恐らくなんでも似合ってしまうのだろうか。これはさすがに到達できない神から授かった容姿というものだろう。だが、チャラい。白のジーンズと茶髪の組み合わせはイカつい。サングラスをつけていたら完全にホストと間違えるレベルだ。


「おう、よう」


 軽く手を上げて挨拶をする。雰囲気をぶち壊されたが、おかげで肩の力を抜くことができた。幼なじみのしかも同性なのでなお一層リラックスできる。


「おう、似合ってんじゃん」

「だよねー! ジンくんってもっと地味なイメージだったけど見直したよ〜」


 オレは衣服の重要さを実感する。 

 今までは『着られりゃいいや』と思い、適当に着ていた服だが、少し着こなすだけでも"地味”から"オシャレ”になることができる。まるで着るだけで空が飛べるヒーロースーツみたいだ。


「誰に選んでもらったんだ?」


 こいつは鋭い野郎だな……!


「――あれ? みんな早いね」


 そうこうしているうちに、最後のメンバーが来た。

 下は黒のミニスカート、膝上ハイソックス、上はシースルーのフリル。そしてお嬢様結びの髪型に蒼眼。そう、明智だ。ていうか当たり前に明智である。


 やはりファッションセンス抜群、何を着ても隙がない。ミニスカートとシースルーでしっかり涼をとっている。ちなみにシースルーの透けた先は白いシャツである。肩、足など露出が多い分とても涼しそうだ。多分日焼け止めを塗りたくっているだろう。


 これも毎日服を調べまくっているおかげ。どの服を着ているかもすぐに分かる。分かるということは、店に行った時にそれを選んで試着することができる。文法を覚える以前のABCを覚えるようなものである。


「おー、これで全員?」

「うん。そうだよ」


 その通り、今日のメンバーはオレ、明智、妃夏、凛島の4人である。

 金曜日に明智に説明されたのはこれのこと。『はじめてのがいしゅつ』である。

 やはりリア充となると、学校よりも学校外の方が仲のいい人といる時間が多い。まあそれは当たり前だ。

 そこで明智が仕掛けてくれたのが今日の外出。まずは、基本は暇で誘いやすいかつ、オレが普通に話せるこの4人メンバーでの外出、つまり初陣である。


 今日は、出来具合により今後のモチベーションに大きく関わる大事な日だ。

 なおミッションは継続中、オレは凛島の観察を続け、話には出来れば参加しろとのことである。

 でもまあそんな硬いことは考えずに、今日はせっかくの外出なんだし、思いっきり楽しもう。


「ひとみーん、これおニューの服なんだよ!」

「実は私もなんだ。おニューコンビだね!」


 謎の理由により肩を組み合う妃夏と明智。どちらかというと、貧乳コンビのほうがしっくり来る気がする。


「おいおい、どっちも狙うとか傲慢だなー!」

「ちげぇ!」


 まあ1番心配なのは、今日にどれだけ凛島にいじられるかだ。

読んでくださりありがとうございます。投稿頻度増やしていけたらいいなと思っております。

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