SS “最強”とは
なんか思いつきで書いた。
本編とは関係なしっ!
「ねぇシゲ盛。“最強”って誰だと思う?」
明智がオレにそう話しかけてきたのは、オレが学校に帰ってきた3日後の水曜日の夜、魔獣狩り後のことだった。
「まず、“最強”の定義が何なのかによるんじゃないか?」
ちなみに、オキとジジイの疲労は回復した。だが、まだ休んでいた時の生活リズムのままで、魔獣狩り後に眠い顔で帰って行った。
眠気の取れないオレと明智は、公園で少し暇を潰しているという訳だ。
「うーん、“この世界”の最強かしら」
考える明智と共に、その頭上のアホ毛も扇風機のプロペラのように回っている。
オレに存在がバレて吹っ切れているのだろうか、オレと二人きりになると、明智のアホ毛の運動は活発になる。
「最強ねぇ……一概には言えんな」
「そうよね……」
そう言って拳に顎を置いていた明智だが、突然閃いたのか、アホ毛がピンとオレをさした。
「神様とか?」
「でも神だって死ぬんじゃないのか? フェンリルがいるとすると、その時点で神はアウトだ」
「そうよね……」
すると、明智のアホ毛はしょぼんとしなれてしまった。まるで明智の心を映し出す鏡のようだ。
「悪魔とか?」
「もし最強だったとしたら、今この世界は成り立ってねぇよ」
「最強の能力者とか?」
「そいつも人間だ。心臓を刺せば死ぬ」
「死神とか?」
「神じゃねぇか」
「魑魅魍魎は?」
「悪霊退散。すぐに呼びましょ陰陽師だ」
「この小説の作者とか?」
「ぶっちゃけ最強だが、なんか違う!」
そうして、明智のアホ毛は立ってはしなれ、また立ってはしなれを繰り返した。
少し経つと、挙げる候補がいなくなった明智は、ベンチにダラーんと座り込んだ。
「……結局、誰なのよ。最強って」
「ていうか、“最強”は存在するのか?」
すると明智は、ゆっくりと体を起こした。
「どういうこと?」
「だって、命、あるいは形のあるものは、いつかなくなる。すると残るのは人間の空想の世界だ。まあ、神とかそういうのだな。でも、空想上ならどんな人でも、なんでも作り出すことができる。最強っていうのはオンリーワン。つまり、なんでも作り出すことのできる世界で一番強い奴なんているか? まあ、もし神が本当に存在するとしても、そいつは『御神体』という形がしっかりとある。それを言っていくともうキリがない」
明智はまだ首を傾げたままだ。
「うーん、つまりな……数値のしっかり出ているもの。例えば、ゲームのレートとかだ。そういうのは最強が存在する。でも、数値の出ていないものは、最強は分からない。だから、オレの考えだと、『もっとも最強に近いヤツ』が最強って言われるんじゃないのか?」
あれ? なんかオレ、めっちゃカッコイイこと言ってないか?
ドヤ顔で明智を見ると、なんとスマホを触っていた。
その画面を覗いてみると――
「最強とは強の度合いを一番高めた呼び方――」
「――お前、話聞けよ!」
なんと最強のインデックス(数値が存在しない方)を見ていた。
「聞いていたわよ。最強の西京焼きを食べたいってことでしょ?」
「全然ちげぇ! ていうか、めっちゃしょうもないダジャレじゃねぇか!」
「それじゃぁシゲ盛、“西京”って何?」
「話聞けよ! ……それはな――」
そんな繰り返しは朝まで続いただとか。
次から次回予告した話書きます。




