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BACK The new generation   作者: ナスの覚醒
第一節 カァルプリィトゥ
3/49

1話 新時代へようこそ

12月15日改稿完了しました。



今回は、1話なので手短にさせて頂きました。


 

 ムニュムニュ……あぁ……なんだか幸せだなぁ······

なんかふわふわしていて……あたたかくて……気持ちよくて……

 ここは天国か······?


「――おいッ、シゲ盛! 陣田しきりだ繋盛(しげもり! 危ないぞ!」

――はッ!?

 そこでオレは目が覚めた。


――なんだ……夢だったのか……って、えぇぇぇ!?

 視線の先には高速の速さで何度も上下している細い針が――!

 オレは思わずミシンのコンセントごと抜く。

「すんません……寝てました」

「お前、夜寝てたのか?」

「すんません……」


 昼下がりの少し眩しい家庭科室、呆れたような目でオレを見る先生。

 寝起きのオレは、フカフカな布の上に顔を叩きつけて何度も謝っていた。

 周りの輩はというと

 オレを見てクスクスと笑っている。

「どうせ夜中までゲームしてんだろ」

「マジでオタクよね〜キモ」

 そんな声が聞こえる。まあ、そんなことはもう慣れている。

 なんせオレは陰キャのゲーマー故に、クラスからは隔離されたように見放されている。

 割合でいうと、こっちをゴミを見るような目で見る輩が九割九分、そしてオレを普通の目で見る希少種が一分といったところだろうか。これでもだいぶ盛っているレベルだ。



「あぁ……オレ、何してんだ……」

 6時間目の家庭科の授業が終わり、家に帰ろうと校門を出ようとした時、1人の少女が校舎から駆け寄ってきた。

「やっほー、ジンくん! 今日大変だったね〜」

 妃夏ひなつ芽久めぐ。新聞部に所属するオレのクラスメイトだ。

 誰にでも優しく、とてもかわいい。

 そして、クラスの中心のグループに属しているムードメーカー。なんでそんなやつがオレなんかと仲がいいかというと――――おっと、この話は後にしよう。そろそろ()()が退屈している。


「どうしたの〜? よっぽどショックだった

の!? もしよかったら相談に乗るよ!」

 オレより背が低いためか、ぴょんぴょん跳ねながらオレのことを見るめぐ。

 まんまるとした翡翠色の瞳にはオレが映っている。

 ひとつひとつ丁寧に結われた紅唐の髪が揺れる。果物畑にいるようないい香りがする。

 完璧なほどに目鼻立ちが整ったまだ幼さが残った顔立ち。

 とても目の保養になる。


 いかんいかん! 見惚れていてはさすがにキモイ。

 口が自然に半開きになっている。

 オレは我に返った。

「いや、大丈夫。ありがとう。

それで、みんなは?」

「みんなはもう帰っちゃった! 私は日直で遅れたけどジンくんはなんでそんなに帰る時間が遅かったの〜?」

「ちょっと考え事をしてて……」

 考えごとといっても、ゲームの事を考えてしていたので、1時間くらいかかっていた。考えに更けると1時間なんてあっという間だ。まあ、それが原因で寝てしまったことは否定できないが。


 あやふやに答えるオレから何かを察したのかめぐが悪魔のような表情でオレを見つめる。

「もしかして――えっちなこと?」


「――ちげぇ! そんなことねぇ!」

 その表情もまた可愛かったが、断じて違う。

「ははは、ジンくん声大きいよ!」

「すまんすまん」

 太陽はまだ眩しく、オレたちを照らし続けている。


「そうだ! 折角の縁だし、一緒に帰ろう!」

 そんな眩しさに引けを取らないほどの眩しい笑顔のめぐ。

 とても尊い······

「いいけど……オレなんかと一緒でいいのか?」

「え?なんで〜?」

「いや、オレってさ、クラスから孤立している

というか、浮いてるじゃん?」

 妃夏はオレに微笑みかけた。

「別にいいよ! ジンくんと一緒にいたら楽しいもん!」

「······ありがとう。そんじゃ、帰るか」

「お〜!」


 こんないい子がオレなんかの友達でいいのか、

 オレはふとそう思ってしまった。


 思い出すな······妃夏との出会い。

 オレは帰路を歩きながら思い出す。



 あの日は、オレが1年生の時だった。

 オレは見ての通りド陰キャで入学当初からクラスで浮いていた。

 そんなオレに友達なんぞ勿論いなかった。

 そんなオレを変えたのはその年の夏のことだった。

 あの日は――――


 その時

 まだ声変わりをしていないであろう高く透き通った声がオレの鼓膜を刺激する。

「ジンくん〜! おーい! 聞こえてる〜?」

「あっ、すまん。どうした?」

 気づいたらオレたちは十字路の一角に立っていた。

 オレたちの横にある家が太陽の光を遮り大きな影を作っている。

 まあ、あの話はまた後でいい。


 めぐは大きく手を挙げてオレに手を振る。

「私、ここだから、じゃあ! また明日〜」

「おう、また明日」

 そう言ってめぐは立ち並ぶ住宅街に消えていった。

 オレとめぐの家は学校の近くで、徒歩3分ってところだ。走れば1分くらい。ハイハイすれば10分だ。

 まあ、あっという間に着くってことだ。



 子どもたちの遊ぶ声が聞こえてくる。

 オレはめぐとは反対方向に歩き出した。


      ☆☆☆


 そしてシゲ盛は家に帰り、ゲームをやり込んでいる。

 国枝高等学校の校章がついた制服を脱ぎ捨て、オフィスチェアに足を立て、右手にマウス、左手の人差し指はキーボードの『F』の上、開いた目は一切瞬きする様子もないようだ。

 暗闇の部屋の中で光るのはMMORPGのゲーム画面が映っているパソコンと、その光を受けて輝く水晶体ぐらいだろうか。

 だがこの男、ゲームに関しては結構やるようで、特に、ハマっているMMORPGでは、高校2年にして国内のランキングが2位、世界で8位である。MMORPGとはどんな時間でも1万人以上の人がプレイしている人気のゲームの郡である。

 まあ、だからどうしたという所は多いだろう。なんせ、いくらゲームが上手くてもクラスの奴らからは『ゲーマー』としか見られない。なぜなら、ゲームなどクラスの()()()()においては「だからなに」の範疇にしかないからである。つまり、その分野をいくら極めたとしても、アリに羽が生えたくらいの認識、プロゲーマーより素人ラッパーの方がカーストでは上位にあるということだ。

 この男はいくらゲーム界では猛威を振るう強キャラであっても、現実世界ではチュートリアルで出てくる雑魚キャラくらいの弱キャラであるのだ。

 このクラスのカーストというのは端的に言うと、熾烈な高校生社会において最も大切なものである。カーストが上なほどクラス内での存在意義、そして生活のしやすさが変わってくる。例としては、カースト上位に属する妃夏とカーストド底辺に属するシゲ盛を比べるといい。結論を言うと、カースト上位なほどクラスで出来ることが多いと言うといいだろう。

 正直、風邪をひいたら見舞いに来てくれる、みんなと泣いたり笑ったりして楽しむ、文化祭のキャンプファイヤーであの子に告白するんだ、といった青春マンガでよく見るようなものは、ある程度のカーストがないとできない。なぜなら、カーストがある程度なければ現実を見ると、そんなお花畑な幻想を抱いてカースト下位にいる者がたくさんいる。

 カースト上位を都市と例え、下位を田舎と考えればよい。都市は何もかもが揃っていて、やろうと思えば結構なことができる。そして田舎だと、できることはできるが、それは都市と比べて結構面倒である。

 しかし田舎の方がいい、という人がいたり、田舎でしかできないこともある、というようにカースト下位も捉えようによっては上位よりもいい環境であることも事実であり、下位や中間層で満足している人もたくさんいて、それはそれで充実した生き方である。

 結論、高校という時点でカーストというのは切っても切れないものになる。それを焼こうが煮ようが自由、ということである。

     ☆☆☆

 ゲームを一通り終え、今にも寝落ちしそうになっていたオレの傍らで、ゆっくりとスマホが鳴る。

『早く来なさいよ! みんな待ってるわよ! いつまで待たせるつもりなの!?』

 それは、ある人からのLINE。

 あぁ、そうか、これから一仕事か。

 すっかり忘れていた。

 空はもうすっかり暗くなっていて、お月様が上がっていた。

 薄暗い家の中でオレはゲーム機を置き、固くなった体をほぐす。時計は12時を指していた。



 たくさん時代が終わり、人類は文明の社会を築き上げていった。人々が人工知能に様々な仕事を頼ろうとしている時、新たな時代が始まった

 50人だけが活躍できるという時代。いや、それ程度の人しか活躍できない時代。




「さあ······行くか」

 オレは家の鍵を閉める。

 いつも学校でしているブルーライトカットのメガネを取る。

 目くらいまでかかった長い前髪を横に払う。


 暗い表情は自然に明るい表情に変わる。


「よっしゃ、やるぞー!」

 足元が見えないほど暗くなった夜の道をオレは駆ける。

 満月が昇った真夜中の景色を。


 虫の音が聞こえる。それはまるでオレを応援しているファンファーレのようだ。


 なぜそんなことをするのだって?




 だって、オレは正義のために戦う


     50人のうちの1人なんだから

これからも宜しくお願いします

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