SS 16話の付け足し(1/2) イメチェン
SSなので短めに、読んどいたほうがいい可能性あり。
騒がしい声が川を流れ、海まで行ったくらいの時間がたった頃、オレの棍棒の修理は終わりを迎えようとしていた。
あとはこのリボンを結ぶだけ――いや、ちょっと長いな。
「――よし、完成だ」
「どうもお疲れ様」
明智の棍棒はしっかりとリボンで固定された。これで1日くらい待つと恐らく元通りだろう。
だが、オレの手にはリボンがまだ30センチくらい残っていた。これでもう1回服を包もうと思ったが、これでは短い。捨てようとも思ったが、勿体ない。
そんな時、オレの目に明智が映った。オレの直した棍棒を嬉しそうに見ている。まるでプレゼントをもらった純粋無垢な少女のような笑顔だ。
「なあ、明智」
考える前に口が勝手に動いてしまった。
「どうしたの……?」
「ちょっとリボンが余ったんだが……ちょっとこっち来てくれ」
オレがそう言うと、明智は不思議そうにオレの方へ来た。
「このリボン、お前に似合いそうなんだが······付けてもいいか?」
オレは体を縮め、両手を合わせた。
そしてしばらくの時間が経ち、明智はオレの方へ振り返った。
「······いいけど、ちゃんとやってね」
明智は意外にもすんなり了承した。疲れすぎていて抵抗すらできないのだろうか、それとも任意なのか、それは分からない。ただ、女の命を任された、何となく責任者のようなプレッシャーが突如オレを襲ったのはすぐに分かった。
明智がオレの方へ頭を向ける。
オレは、そんな明智の髪を右手ですくった。
触り心地はまるで絹のよう、純黒の髪は朝日に艶めき、シャンプーのいい匂いがする。
ある程度髪質を確認した後、オレは明智の背後へ回り込んだ。そして、作業を開始した。
明智を見ると、ずっと前を向きっぱなしだった。タオルで顔を伏せていたので、仮眠でもとっているのだろうか。背筋を伸ばしたまま、明智はずっと動かなかった。
「おーい、明智できたぞー」
オレがそう言うと、明智はすぐにこちらへ振り返った。
そんな明智の姿は――
「――わぉ……」
思わず声が出てしまうほど驚くものだった。
「······なかなかやるじゃない」
なんと、明智にもOKをもらった。
一体どういうことかというと、こういうことだ。
リボンを髪に結びつけるだけよかったのだが、なんと明智から追加の注文があったのだ。髪型を変えることは、女子にとっては大決断、適当にはできない。実は、オレは結構器用なので、小さい頃から明智の髪を結んだりしていたのだ。なので、恐らく明智からの信用はある。その上での追加注文だったのだ。結果は……大成功だった。今回明智が選んだのはお嬢様結び。決してダジャレではなく、お嬢様結びという髪型である。ただのセミロングもいいのだが、明智だからなのか、流石、めちゃくちゃ似合ってる。
一つ一つ丁寧に結った髪はお上品さを仕立て、そして、わざとリボンを大きめに結んだことで、リボンが強調され、お上品さだけでなくかわいさも練りこんだ、というような感じだ。
また、リボンの青色は、明智のブルーアイズと相性バッチリ、まさに明智を象徴した色のようだ。
つまり言いたかったことは······
オレって結構なんでも出来るんじゃね!?
ていうか、明智可愛すぎて草生えるわ。
ということである。
少しずつ暖かくなった川辺の公園に弱い風が吹いた。
明智は手鏡で自分の髪を見ては何度も頷いていた。
揺れる青いリボン、黒い髪、オレはそよ風と共にそんな時間を嗜んでいた。
読んでいただきありがとうございます。
急いで作ったので、拙い文書ですみません。
SS(2/2)に続く




