プロローグ
この地球には様々な時代があった。
その中で人類は世界の主導権を握った。
動物を狩り、肉を得た。
国をまとめ、団結をした。
国を争い、戦った。
領土を得ようと、様々な処に進出をした。
そして、戦った。
やがて、おぞましい戦争が終わり、人間は立ち直り、国を成長させた。
そして、人々はそれぞれの国で自治を行うようになった。
だが、ある人は言う
「それは表面上の世界の話だ」と。
--では、表面上ではない世界は何なんだ?
ある人は答える。
「さぁ何だろうね……法も秩序もない、ただ強さだけが絶対的な世界と言うべきかな」
--強さ……?
「あぁ、強さだ。それもたった50人しか持っていない特別な強さだ」
--なんで50人だけなんだ?
「そんなこと知らねェよ。ただ俺が知っているのは、その50人が特別だってことだ」
--どこが特別なんだ?
「うーん、どうなんだろうねぇ。例えば、人にはそれぞれ個性ってモンがあるだろ? 顔立ちとか性格とか」
--あぁ
「その力もその個性のうちのひとつさ。50人それぞれ、種類も強弱も違って、これがすげぇんだよな」
--何が凄いんだ?
「そりゃあ、たった50人だ。それ以外の奴らはもちろんその力に嫉妬するだろ? それで、そいつらが魔術やら数式やら科学やらでそれを真似ようとしても全然出来ねぇんだ」
--どうしてだ?
「そりゃあその力がすげぇからだよ。すごいやつで、軍隊何万人も平気に相手にできるんだ」
--そんな奴らが、この世界に……
「あぁ、おかげで裏じゃ隠しきれなくなってきてるんだ。俺も色々と大変だぁ」
--あなたは一体?
するとその人は、だんだんと薄くなっていく。いや、自分の視界が薄くなっているのか、周りもだんだんと……
そして最後に声が聞こえた。
「まあ、じきに会うことになるだろうな、50人のバカとそれに追いつこうとするバカでできた、絶対実力主義の裏社会でな!」
そして、夢は覚めた。
勧善懲悪、頭の良いものが国を牛耳る文民統制の時代。社会的強者が笑い、弱者はそれを見上げる。下克上なんてありえない。
そんな現代の中
新たな時代が密かに始まっていた。
その中で生きるひとりの少年は、一体世界をどのように救うのだろうか……?
50人の能力者と何億人もの人間が紡ぐ、新たな物語が始まる--