SS 天月の犬神様
あけましておめでとうございます
「ふゎぁぁぁ······」
それは、いつもの朝のことです。
わたしは本殿の近くにある小屋で目を覚まします。
木と木の隙間からはたくさんの朝日が差し込んでいるので、今日はおそらく晴れでしょう。
布団を片付けたら、いろいろ身支度をします。
身支度が終わり、巫女服になったわたしは、境内の掃除をします。毎日境内にはゴミがたまるので、掃除は必須です。
ちなみに、神主さんはまだ寝ているようです。起こさないように静かに歩きます。
「おはようにゃノ······」
鳥さんたちは今日も元気に鳴いています。
早起きでとても偉いですね。
そんな鳥さんたちの横で、わたしは境内をホウキではきます。
少し暖かくなりました。
太陽が上がってきたのでしょうか、それとも、わたしの体温が上がったのでしょうか。まあとりあえず、お腹が空いてしまいました。境内もきれいになったことですし、朝ごはんをつくりましょうか。
お料理は手軽に済ませます。
わたしは懐に入れていた杖を取り出します。
これはとても便利な杖です。
少し大きいけれど、ありとあらゆる魔術が出せます。
まずは火の魔術と水の魔術でお湯を沸かします。
あとはお湯にいろいろ加えて、あっという間に味噌汁の完全です。
口の中で広がる味噌の風味が、空腹のお腹を満たしてくれます。我ながら完璧です。
少し余ったので、神主さんの部屋の前に置いて起きましょう。
そんなこんなでもう7時です。
わたしは、小さな書斎へ行きます。この場所は、ちょうどいい感じに陽の光が当たって、わたしのお気に入りの場所です。
そこで、わたしは1冊の本を開きます。
『能力者全集』
これは、世界に50人しかいない能力者について書かれた本です。
ちなみに、わたしはそのうちの1人です。能力は魔術で、多種多様のことに応用できて、結構気に入っています。
そんなわたしは今、大きな問題を抱えています。
それは、魔獣です。
最近、夜に大量の魔獣が街に現れます。そして、1匹も残らず消えます。それを調べるために、わたしは今日も本を開きます。能力者は極稀な存在です。
そんな能力者たちが今、この街にいるとしたら······
能力者の中にも強さの序列も存在するし、それぞれ個性だってあります。それについて学ぶことが、一能力者としての役目だと思います。
それに、魔術の鍛錬、巫女のおしごと、やることはたくさんあります。でも、決して大変だとは思いません。むしろ楽しいです。
これからも、わたしは頑張り続けます。別に世界のためだとか、正義のためだとか、そんな深いことは特に考えていません。
ただ、やりたいことをやるだけです。
そんなわたしを、きっと今日も犬神様は見ています。
「よし、今日も1日がんばるにゃノ!」
本をひと通り読み終えたわたしは、大きく蹴伸びをしました。
そんなわたしの獣耳がピクピクと動きました。
どうやら神主さんが起きたようです。
「おはようございます。上野さま!」
そんなわたしの一日は、こうして流れていきます。
これが天月神社の朝です。
***
そんな彼女が、陣田 シゲ盛と出会い、運命が大きく変わるのは、少し経ってからのことである。
今年もよろしくお願いします




