閑話休題 筆者の懺悔
前は散々なことを書いたので今回は自己反省のターン。
あり過ぎてかなり大変だが、一番大切なのはコンセプトから逸脱したこと。
あの作品の一番重要なコンセプトは「陸軍ミリタリー&ロボットモノ」だった。
結構、このテの作品は少ない。
有名なところで「ガンダム」も「マクロス」も海軍や空軍モチーフだ。
「ボトムズ」はパッと見ミリタリーものっぽいが、本編は全く違う。
「ハードボイルド」「ラブロマンス」を「ロボット」でやるって感じ。
もっと言えば、当時の風潮をごった煮にしたら旨いカレーができたみたいな……
まあ、そんなことはどうでもいい。
そこに「戦争」という大枠なモチーフがあったからOVAでつけ足されていったという方が正しいと思う。
他にも「レイズナー」とか「ドラグナー」とか。
純粋な「陸軍」モチーフのロボットモノは筆者の知る限りほとんどない。
だから、それをやろうというのがコンセプトだった。
そして、失敗した。
一つの理由は「絶対的な知識不足」。
もちろん、SFなので嘘まみれでも理屈でカバーできればいい。
だから、作中には出てこないが、具体的な軍以下(つまり、軍→軍団→師団的な)の編成を考えたり、
命令系統、その世界で一般的な戦略戦術、具体的な過去の戦闘などなどは考えた。
しかし、それを作品に落とし込む上で上手く落とし込めたか、甚だ疑問なのだ。
描写の一つ取ってもそれがどこまで正しいか確証がない。
確証がないのは知識不足だからだ。
そして、確証がないまま書くものに自信が持てるはずがない。
ずいぶんと手探りで書いてしまった感が否めない。
しかし、まあ、それはそれだった。
それ以上にできなかったのは「既存のロボットアニメプロットからの脱却」だった。
もちろん、テーマは前回書いたように「現在肯定」なわけだが、
それを面白く文庫本一冊にまとめるのに苦労した。
要するに「起承転結」である。
これを陸軍モノでやるのはかなり大変だった。
なぜなら、基本的に何もドラマティックなことが起き得ない組織だからだ。
そして、その悲壮さが陸軍モノの面白さでもある。
「いや違う」と。
「過去の戦争映画には陸軍モノでドラマティックで面白いものがたくさんあるじゃないか!」と
そういう方もいるだろう。
全くその通りである。
しかし、それこそが罠だ。
そういうのはもう全部「既存のロボットアニメプロット」なのだ。
陸軍モノ特有の一味違った展開を繰り広げるためにはそういうものからも脱却する必要があった。
……あったが、できなかった。
完全な力不足である。
そして、何より設定を軽視した。
もちろん、辻褄を合わせること以上の設定は存在する。
「なぜミサイルだけで戦争が終わらなくなったか」、「なぜ無人兵器ばかりにならなかったか」など
そういう設定もちゃんと考えた。
しかし、逆に言うとそういうところまでしか考えなかった。
結局「人の話」であり、お話を書かないと始まらないんじゃないかと思ってしまった。
たぶん、それは間違いでもないのだろう。
しかし、今思えば、「既存ロボットアニメプロットからの脱却」のブレイクスルーはそこにあったと思う。
要するに結局筆者自身がアニメやラノベ、マンガのポピュリズムに屈したということだ。
展開が面白いものでなければならず、そして、その方法論を新しく生み出そうともせず、
結局、既存のモノを流用した。
設定がではない。話の流れそのものがすでにそうだった。
その段階であの作品は死んでしまったのである。
だから、主人公「エイサム・ノッキ」とその仲間たちには謝らねばならないだろう。
「エイサム。その作品には既存のロボットアニメプロットを突破する性能は無い。気の毒だが……。
しかし、エイサム。無駄死にではないぞ。
お前が筆者の能力の無さを露呈させたおかげで筆者は前に進むができる気がするようなそんな感じなのだ」