もう『理屈』で『同人(二次創作)』を正当化するのは無理
今回は「もう『理屈』で『同人(二次創作)』を正当化するのは無理」の話をしようと思う。
まず、初めに断っておきたい。
別に私はオタク学の専門家ではない。
それに加えて、同人活動をしたことも無ければ、むろん、これについても専門家ではない。
しかし、コミケには行ったことはあるし、アニメも見るし、デジタルで同人誌も買う。
そういう視点レベルの観点で話をしたいと思う。
何から書こうか迷うが、まず一つ一番分かり易い話をしてみよう。
『同人誌について』だ。それも、特に二次創作の。
読者諸兄の中にもエロ系のそれで『お世話』になっている方も多いだろう。
私ももちろん、その一人である。
しかし、良く耳にする(または目にする)批判として
「他人の褌で相撲を取っている上に金まで取っている」という話がある。
確かにこれはおかしいと思う人も多いはずだ。
例えば、「ラブライ○」のキャラの版権やIPというモノはしかるべき会社が持っているはずで
その許諾を取っていないから『同人誌』なわけである。
それでお金を儲けていいのか?という論調は「確かに」と思わせる力を持っている。
しかし、これに対する反論として
「『同人誌』とは『頒布』するものであって、『販売』するものではない。
設定されている金額は儲けの為ではなく、同人活動を続けるために必要な『経費』である」
という論も存在する。
これは基礎的な同人活動の理念であるとされているらしい。
確かに同人誌を印刷するのにも金がかかれば、
それを販売するためにビックサイトに行くのにも金がかかる。
一見、間違ってないように聞こえるし、
その聞こえの良いアマチュアリズムに多くのオタクはここで正当化できたと思うに違いない。
しかし、悲しいかな、それは『以前』の話なのだ。
なに以前かと言われれば、『インターネット発達以前』である。
インターネット発達以前は「コミックマーケット」のような『場』を用意しなければ、
『同人誌』を発表する機会も、オタクがそれを手にする機会も無かった。
だから、オタクは集って「コミックマーケット」に集結し、
そこである程度健全なアマチュアリズムに則って『同人誌』、
特に『二次創作』の同人誌を授受していたのだ。
そこで『頒布』されるものに支払われる対価は
印刷の負担であったり、ビックサイトに行くまでの渡航費であったり、
そういう経費をアマチュアリズムへの尊敬を込めて支払われていたものだったはずなのだ。
しかし、今はインターネットがある。
それも、インフラとしての整備を受け、ほぼ全日本人がある程度不自由なくアクセスできる。
そういう環境下において『同人誌』を発表する機会がないとは口が裂けても言えないだろう。
もちろん、オタクがそれを目にすることだって十分可能だ。
印刷という負担はそこでいなくなったはずなのだ。
もちろん、ビックサイトに行く必要だってない。
それでも、他の負担はあると言う人もいるだろう。
「絵を描くペンタブレットだってただじゃない」、「インターネット接続費だってただじゃない」などなど。
極め付けには「この同人誌を描くのにだって時間がかかる。その拘束費があったっていい」……。
果たして、そこまでいくのであればそれはもはや『商業』であり、『プロ』である。
そこにアマチュアリズムは存在するのだろうか?
アマチュアがファン活動の一環として発表したいモノを世に出す手段が『同人誌』であるはずであり、
それは本来対価を要求することを第一に置いたものではない、という『理屈』で
今まで同人活動(二次創作)は容認されてきたものである。
つまり、ここまで話してきたことは
「有償の『同人活動(二次創作)』は『理屈』では正当化できない」という話だ。
となれば、次は「無償の『同人活動』について」に話が移るのは自然な流れだろう。
イラストコミュニケーションサイトやSNSでの『同人(二次創作)』は『理屈』で正当化できる?
私の見解で言えば、『ノー』だ。
これは後述する『二次創作以外の同人活動』にも関係する話になってしまうのだが、
答えを出すためにこ先にその理由を書こうと思う。
その理由とはずばり「ブランディングに及ぼす影響とその消費体系」だ。
要するに何かと言われれば、読者諸兄の中にも知っている方がいるだろう。
ずばり、「艦○れのアニメ赤城キャラ付け問題」である。
「艦隊○れくしょん」に「赤城」というキャラクタがいる。
名前の通り、帝国海軍の航空母艦「赤城」を擬人化したキャラクタである。
「艦○れ」が海軍を疑似運営するゲームであるから
この「赤城」を運用するのにゲームコストがかかるわけだが、
航空母艦らしくそのコストが重い。
そのコストの重さを『二次創作』で表現すると「大食漢」というキャラ付けになった。
しかし、ゲーム本編の「赤城」にはそのようなキャラ付けはない。
ただのお姉さんキャラである。
しかし、アニメ化する際にそのキャラ付けの薄さを憂いたのか何か知らないが、
公式がそれを見事に反映してしまったのだ。
SNSをはじめとするインターネットの拡散力の凄まじさは何もアニメに限らない。
数々の炎上騒ぎ、祭りなどなど。
その中で『同人』と称して『二次創作』を行えば、この「赤城」の様に
本家や公式と呼ばれるIPの保有者が意図しないブランディングが発生することがある。
昨日からブランディング、ブランディングと何を連呼しているのかと思うかもしれないが、
それくらいブランディングは重要であり、それだけでご飯三杯どころか、色んな人間がそれで生きている。
「艦○れ」をまたまた例に出せば、「艦○れ」のビジネスは何もゲームとアニメだけではない。
グッズもあれば、フィギュアもあれば、コミックもあれば、果てはコンサートまである。
こういうビジネスが成立するのは「艦○れ」のブランディング、つまり、IPの力だ。
そういうモノをインターネットの拡散力を手にした『二次創作』は
ブランディングを破壊する可能性があるのだ。
そして、これが今話題になっている「ウ○娘」の問題にも繋がってきている。
「ウ○娘」は色んな関係で成り立っているものであるが故に
そういう『二次創作』に対して機先を制した形になったのだ。
果たして、アマチュアリズムという『理屈』でIPを侵害することは許されるだろうか?
いや、それはないだろう。
つまり、「もう『理屈』で『同人(二次創作)』を正当化するのは無理」という話になるわけだ。
後述すると言っていた『二次創作以外の同人活動』についてはまた明日にしようと思う。
長くなる……というのは建前で「こんな時間に俺は一体何をやっているのだろう」という気持ちがかなり高まってきたからである。
また寝て書きたくなるのを待とうと思う。
少しだけ内容を離すのであれば、『一億総クリエイタ時代』である。
どこかで聞いたような言葉だ。
もう言いたいことは分かったという人もそう言わずにまた見てくれると嬉しい。