最終話 おいもこん「はやとん国」が豚だからよ
最終話 おいもこん「はやとん国」が豚だからよ
おいは走っ、愛しか嫁じょん許へ。
昔んごた、上ん着ちょっもんば脱ぎ捨てっせえ走っ。
見えっ景色が風に光いながら、変わっていきよっ。
鹿児島ん市街地はアタに、錦江湾はキンコー湾に、向かいん大隅半島はウスミに、
桜島はカゴ島に、カゴ島はナカムラ島に。
鹿児島県は隼人ん民ん国、「はやとん国」へと。
「ただいま…ただいま直さん、戻って来たど…!」
こげんしっせえおいは何もかんも捨てた。
いっぺん東京ん戻っせえ仕事も辞めて来た、直さんが実家ん中村ん親も、
そいから新井ん家族も、過去も、みいんなみいんな。
太てか星ん代わいに、街ん灯りで夜は明るうなった。
おいたちは目ばつぶっせえ、「はやとん国」が頃ん戻った。
手ばつなぐと、トーバーナイトん代わいんこまんかウランガラスん埋まっちょっ、
東京みやげん新しか揃いん指環がかちり鳴りよっ。
「おいで、はるか先生…今はもう私もただの一般市民だ、遠慮するなよ。
ここにいるのは中村直、はるか先生の…いや、ただの人妻だ、ぐへ。
人妻になってやらしさアップだぞ、どうだ」
直さんはおいが下でうふうふ笑うた。
やっぱいわっぜか下品な…おいは呆れっせえ、じゃどん直さんが身体に沈み込んだ。
もうどこにも行っでなか、そげん直さんが脚はおいが上で交差しよった。
「ナカムラ家住宅」はそん後再建されっせえ、学校ん事務所になっちょった。
ナカムラ先生が通信講座は、国ん正式な通信制ん学校になりよった。
直さんは「ナカムラ先生」に戻っせえ、今も離島ん子どんらば教えちょっ。
「ナカムラ先生、はるか先生がズボンの前を膨らかしながら帰って来たってほんと?」
「よかったじゃんナカムラ先生、夜じゅうずこばかやりまくりだ」
ある午後、庭ん掃除ばしちょった時じゃった。
子どんらが声が近づいて来よった、生徒らじゃろけ。
「何ね貴様ら、下品な…」
子どんらは子どんらやなかで、タビタとリートんあねショタじゃった。
3年も経った、タビタは完全な大人じゃったし、
リートもわっぜかイケメン青年になっちょっい、おいはひったまげた。
エルフやドワーフ、はやとん族は、種族はもうただん特徴んなっちょった。
「タビタとリートけ…!」
良う見っと、タビタん指に指環が光っちょっ。
家から出て来よった直さんが言うた。
「リートも18になったし、タビタと正式に婚約したんだよ」
「まこちけ? そいはまこちめでたか」
「はるか先生は大変だったらしいね。プロゲーマーになったり、声優にされたり」
リートが冷やかしよっ。
「あ…リート、おいはもう『先生』やなかでね」
「えっ、先生辞めたの?」
「今はナカムラ先生が『ナカムラ組』ん生徒じゃっど。
いつかまたちゃんと先生すっためん、ナカムラ先生ん許で勉強しちょっ」
おいは家で通信教育ば受けっせえ、直さんに教わりながら勉強しちょった。
とりあえず、まずは高卒認定試験からじゃっど。
おいは飛び級が多かったからな、ここん高卒ん条件ば満たしちょらん。
タビタはおいと直さんに笑いかけよった。
「そういやさ、はるか先生とナカムラ先生て、まだ結婚式してないよね?
うちらと合同とかどう? え、待てない? しょうがないなあ、うちらにまかせてよ」
「そうだな…はるか先生に婚姻届を出して来てもらっただけだからな。
てか、結婚したのに何で『中村直』のままで通じるんだ? あ、まさか」
おいは掃除ん続きに戻った。
「…おいもこん『はやとん国』が『はやとん民』だからよ」
リートとタビタんあねショタが、こげん事やないと皆忙しいから集まれんち言いっせえ、
こん「ナカムラ家住宅」でこまんかけんど、結婚式ばしてくいた。
結婚式にゃおいが新井ん家族、直さんが中村ん家ん親、
ぶういちおやっどん、生徒ら、そいからはやとん豚どんまで来てくいた。
肉弘どんとポチャ弘どん親子は、陸続きんなったウスミで近かと。
結婚式ん後もちょくちょく遊びん来よっ。
「『はやとん国』も民主主義が浸透してさ、今は選挙で代表を選出してるんだけど、
ハルカも次の選挙に立候補してみないか?」
ある夕方、遊びん来よったポチャ弘どんが、土産んつけ揚げばぼりぼり食いながら言いよった。
さすがはやとん豚、余念なかあ。
土産ち自分で持って来といて、みいんな食うてしもうた。
「うんにゃ、皆でしたら良か…おいはいずれまた先生ばすっから、勉強せんと」
直さんが部屋ん入って来よった。
そん手にゃようさんテキストがあっ。
「いつまでしゃべってる、悠」
先生ば辞めたおいは「はるか先生」から、ただん「悠」に戻った。
直さんが恐ろしか顔に、ポチャ弘どんは「またなあ」ち言いっせえ帰って行きよった。
「さぼりをする悪い子は、『生モノBL同人誌読み上げ』のお仕置きをしてもらうぞ。
それとも『美少女おもらし目撃レポート』の提出をするか?」
「ひい! ナカムラ先生すんもはん! すんもはん!」
直さんはおいがためん、特別に夕方から授業ばしてくいよっ。
先生はナカムラ先生、おいはそん生徒。
学校んスクーリングんために作らいた、こまんか教室で二人きりじゃった。
そん部屋なら黒板が使えっ。
授業中は妻でん「ナカムラ先生」ち呼ぶち決まりじゃった。
出席も取っ、問題が解けたら手も挙げっ。
間違えっと、ナカムラ先生にわっぜえ怒られっ。
「くっそ…ナカムラ先生なんか、ナカムラ先生なんかあ…。
今夜生で『悠ん危なか☆ナイトンマジック』ばしちゃっ、負けんが。
かかって来やんせナカムラ先生…イフ・ユー・キャン、出来っとならな!」
勉強ばしたか、おいが最初ん望みはこげん意外な形で叶うた。
おいはまた昔んごた学生ん戻った、卒業はなか。
ずっとずっと、け死むまで勉強出来っ。
ここははやとん国、ナカムラ島ん「ナカムラ学校」。
学び舎ん灯りは夜遅うなってん消えんかった。
おいは「ナカムラ学校」ん、夜ん「ナカムラ組」ん生徒。
出席番号1番、「ナカムラ君」。
「発言は手を挙げてからだ」
「ぶう」
国にようやく訪れた平和にちいと肥えたおいは、ひとつ鳴いた。
もうそげん筋肉は要らん、こいからは脂肪ん時代。
やっど悠、おいも「はやとん豚」参戦じゃっど…!
「遠くからはるか☆IF YOU CAN」 完




