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遠くからはるか☆IF YOU CAN  作者: ヨシトミ
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第53話 円が通じっファンタジーん国

第53話 円が通じっファンタジーん国


おいはリスナーからんお便りん読み上げばぴたり止めてしもうた。

「中村直」って…同姓同名け? じゃどん「チェルビアッタ」ち…。

いけん…仕事は仕事じゃが悠、読まんと。


“…こんばんは、はるか先生。いつもこの番組を楽しみに聞いています。

今夜ははるか先生に相談したい事があります。

通信講座の先生をしていたうちのだんなが、お使いに出かけたきり3年も帰って来ません。

はるか先生、うちのだんなはいつか、このナカムラ家住宅に帰って来てくれるでしょうか?


声が震えっ…涙が出て来よっ。

「はるか先生」、おいが先生ばしちょった事ば知っちょっとは、国んもんと家族だけじゃっど。

こんメールは直さんじゃっど…!


「兄さん…!」

「…大丈夫じゃっど、智太郎」


おいは涙ばそんままにしっせえ、マイクん向こうた。


「直さん…直さんが先生は必ず帰って来もす…!

直さん家ん先生は直さんがためん、必死で働いちょいもす。

カゴ島んナカムラ家住宅に帰っ時、直さんにお金と指環ばお土産んすっためん…」


直さん…!

おいは涙で、もうそい以上は言いきらんかった。

智太郎がおいが後ば引き取っせえ、フォローばしてくいた。

そいにしてん「カゴ島県」ち…。

仕事ん後、智太郎に聞いてみた。


「智太郎、『カゴ島県』ち何ね? どこね?」

「あ、そっか…兄さんはアメリカ育ちだから…『カゴ島県』は日本の県だよ、ずっと南だけど」



おいたち新井家は休みば合わせっせえ、初めてん家族旅行に出た。

行き先は「カゴ島県」じゃった。

旅行じゃったから、テレポーテーションやなかで飛行機とレンタカーば使うた。

「カゴ島県」が風はぬっか、「はやとん国」と同じじゃっど…。

空港から智太郎が運転すっレンタカーで移動すっ。


「『カゴ島県』はおいが『おっかん語』が通じよっ!」


おいは車ん中で空港ん係員とのやり取りについて言うた。


「あ、それ『おっかん語』じゃなくて、『おやっど語』だよ悠」


おやっどは「おっかん語」に反応しっせえ言い出しよった。


「何ち! どげん事ね、じゃどんおやっどは標準語じゃが…」

「悠のおっかんも実のおやっども死人なんだよ」

「そいはわかっちょっが」

「おっかんは生きてたけど、悠が生まれるちょっと前に病気で死んじゃってね…。

すでに亡霊だったおやっどがおっかんの身体に入って、悠を産んでくれたんだよ。

私はおっかんを生かすために、おっかんになったおやっどと結婚したんだよ…」


何ち不思議な事実じゃっどね…おいが亡霊ん子ち。


「…実んおやっどはどげん人ね?」

「小さな落ち武者の亡霊だよ、悠と同じ訛りでむきゅむきゅ言ってたよ。

悠を産んで満足したのかな、おっかんの身体ごと燃えて成仏しちゃったよ…」

「あー、つまり不思議の子だから、兄さんに不思議な力があるのか。

こないだエロ本を力で本棚の裏に隠してるの見たんだからね、ばればれもいいとこ」


ハンドルば握っ智太郎が、おやっどんが話にけたけた笑いよっ。


「別にいいさ、どんな事情でも悠が産まれて来てくれて嬉しかったのは事実…」


車は高速道路ば走っせえ、市街地に入っ。

こん街並みは見た事があっ…アタん街んごた。

前方に太てかスーパーが見えっ…確かこん位置は「ぶういち商店」に相当すっ。


「智太郎、停めてくいやい…!」

「えっ」


車ば停めてもろっせえ、降りっとそん店に近づいた。

店先で肥えたおやっどんがスナック菓子ばぼりぼり食うちょっ、さすが余念なかあ。

看板は「スーパーぶういち」ちなっちょった。

「ぶういち」…!


「…ハルカ? いつ帰って来たんだね…!」


肥えたおやっどんはスナック菓子ば食いよっ手ば止めっせえ、顔ば上げよった。


「ぶういちおやっどん…! なして…」


おやっどんはアタん「ぶういち商店」がぶういちおやっどんじゃった。

おいはおやっどんに事情ば説明した。


「あの時ハルカが核で、「はやとん国」を「カゴ島県」にしてくれたんだよ。

ゲームの中の仮想空間から現実へと」

「何ち…『はやとん国』はこげん近か…しかも国内んあっとけ」

「円が通じる国だ、現実も日本国内に決まってるさ」


おやっどは海ん方に視線ば流した。

火山島が今日も噴煙ばたなびかせちょっ。


「カゴ島…」

「今は『サクラ島』って言うよ、アタも今は『カゴ島市』、ウスミは『大隅』で向かいの半島だし、

ヒユガ…日向は隣の県が近いから、そっちに組み込まれてしまった。

『サクラ島』はあの時の噴火でウスミと陸続きになったよ…」

「皆は? 直さんは?」

「さあな、家にいるんじゃないかな…今日は休日だ」


おいはそげん言っと、困惑しちょっおやっどと智太郎ば置き去りんした。


「ごめん、おやっど、智太郎! おい、先ん行っど…!」

「ちょっ、悠…!」

「兄さん! 行くってどこへ…」

「カゴ島、ナカムラ家住宅!」


地理と目標がわかっとなら、おいが力は発動出来っ。

おいは海ん方向へ走った。

そいからテレポーテーション、カゴ島んナカムラ家住宅へ。


「サクラ島」んなったカゴ島はもう無人島やなか。

民家がいくつもあっ、こまんかけんどもう立派な街じゃった。


「あのですよう、ちいと聞きたかけんど…」


地域ん住民に聞いてみっ。


「中村さん? この辺はみんな『中村さん』だよ」

「そうじゃった。中村直さん、ナカムラ先生じゃっど…こん島最初ん住民」

「ああ、それならあそこだよ」

「えっ…あ、おおきに」


火山が裾に白か建てもんが見えっ。

じゃどんこげん太てかはずはなか、「ナカムラ家住宅」は確かこまんか小屋じゃった…。

とまどいながら近づくと、庭で中年のおばちゃんが花ば摘んじょっ。

おばちゃんはおいに気付くと振り向いた、そん手から花がこぼれっ。

おばちゃんは直さんじゃった、じゃどんおいもおんじょじゃっど…。

直さんは笑うた。


「…ぐへ」


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