表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
遠くからはるか☆IF YOU CAN  作者: ヨシトミ
51/56

第51話 おいはバイト兵児、全ては直さんがためん

第51話 おいはバイト兵児、全ては直さんがためん


「すんもはんでした…つい頭に血が上ってしもて」


智太郎ん先輩ち事は事務所ん上司ち事。

そいで智太郎ん所属事務所は、おいが唯一んスポンサー。

おいは後で必死に謝った。


「智太郎のお兄さん…悠さんは今、ゲーム関連の仕事一本…な訳ないですよね?」


智太郎ん先輩…山本さあはおいが事ば聞きよった。

山本さあは50前後んおんじょじゃった。

見たとこ、イケメンアイドル声優出身らし。


「八百屋でバイトしちょいもす」

「一般のところでバイトだと、こういうイベントに出る時に休みが取りにくいのでは?」

「はい…バイト先にゃもうだいぶ無理ば言うちょいもす」

「うちで働いてみませんか?」

「はい?」


今度はおいがびしい固まった。


「うちはまだ新しい事務所で俺と智太郎、もうひとり小笠原の3人しかいません。

その3人全員が声優だから事務員もいないし、とにかく人手が足りなくて…。

うちならスポンサーだからスケジュールを合わせられます。

どうですか悠さん、うちを手伝ってもらえませんか?」


こげんしっせえおいは八百屋んおやっどんに暇ば貰い、バイト先ば変えた。

休みば合わしてくれっちゅうとが決め手じゃった。

新しかバイト先ん事務所ん名は「ラジエーションナイフ」ち言うた。


事務所は山本さあが社長で、山本さあん同期ん小笠原さあち、

やっぱいイケメンアイドル声優出身らしおんじょ、

そいから山本さあん後輩ん智太郎ん3人だけで、全員が出資者じゃった。

おいは事務所ん掃除ばしたり、電話ば取ったりしちょった。

「悠」、おいは事務所でそげん呼ばれちょった。

そげんある午後、事務所におった山本さあが言うた。


「そういやさ悠、お前あのイベントの時のあの声、あれどうやって出してるの?」

「えっ…」

「女声なんかまるきり女の声だ、おっさんに出せる声じゃない。

くそ笑ったよ、他の種類もあるの?」

「あっど、必要なら何でん」


おいはピースサインばしっせえ、にかあ笑うた。


「じゃあ、よぼよぼのおばあちゃん」

「ラノベ主人公あるある」

「悪の女幹部」

「ピザ食ってるデブ」

「隣の部屋の女のあえぎ声」


そいから「悠んワンマン声まねライブ」が始まってしもうた。

山本さあん言われっ通り、おいは次々と声ば変えっ。

声帯はそんたびにもごもご動き、形ば変えよっ。


「在日イギリス人、14歳の超絶かわいい白人少女」


そん時、別ん声で指示が入りよった。

声まねすっと、後ろで笑い声がしよっ。

振り返っせえ見っと、外から戻って来よった小笠原さあじゃった。


「あ…お帰りなさい小笠原さあ。じゃどん何ね、そん具体的な指定は」

「くそわろた、本当に出来るんだ…超うけるんだけど!」


小笠原さあは入口んとこで、腹ば抱えっせえげらげら笑うちょった。


「声まねだけならともかく、何で演技までばっちりなんだ?

素人なら普通は棒読みだろ、そこは」

「戦場で敵ば誘導すっためじゃっど、こいにゃ民ん生死がかかっちょっ。

ナカムラ先生がおいに教せてくいた技じゃっど…!」

「は?」


山本さあと小笠原さあは不思議そうな顔ばしよった。

山本さあは小笠原さあに言いよった。


「で、さっきの超具体的な指定は何だ?」

「実は山本くん、今度やる百合萌えアニメでその役の声優が未だ決まらない。

誰か紹介してほしいって、声優の俺にまで泣き付かれてさ…」

「はーん、なるほど…てか、こんなヒゲのむきむきおじさんを先方に紹介するのか?」

「声だけの出演なら構わんだろ」

「まあ先方がそれでいいならいいけど…」


山本さんはおいに視線ば流した。


「悠、もっと稼いでみないか? 嫁さんに金持って帰りたいんだろ?」

「はい?」

「もう一個期間契約のバイトだ、悠」



「ぷくく…『CV:新井悠』だって、美少女の声がむきむき悠おじさん…笑える。

こんなごつい、ヒゲのむきむきおじさんが美少女の役…小笠原さんも鬼畜だな!」

「ああん! 笑うでなか!」


そいから問題んアニメんキャストが載ったアニメ雑誌ば広げちょっ智太郎は、

糸んごた目から涙ば流しっせえ笑うちょった。

問題ん役はやっぱい英語がネックか、他にやれっもんがおらんかった。


「おやっど! おやっど! 見てよこれ、兄さんの新しいバイト!」


ちょうど大会もなか時期じゃったから引き受けたバイトは、そげん難しゅうはなかった。

戦場や集会ん演説やスクーリング、咄嗟ん敵誘導とは次元が違うちょっ。

安全な場所で守られながらちチョロかね、命ん危険もなか。


「『バーサス☆オトメガールズ』のデボラの声、すっげ可愛くね? マジで抜けるわ」

「英語の台詞もガチで上手えな、おい」

「CVの『新井悠』って誰だよ、新人か?」

「中の人も絶対かわいいに決まってる、犯してえ!」


放映が始まっと、バイトで引き受けた脇役んキャラ「デボラ」は注目ん的になりよった。

おいはバイト先ん事務所んテレビん録画ん前で、縮み上がっちょった。

3人が揃って会議中じゃった、おいもお茶出しにおった。


「こげんおんじょがすんもはん、すんもはん…」

「悠は予想以上の反響だな…ほんのバイトのつもりで突っ込んだけど、まさかな」

「兄さんのデボラが完全に主人公食っちゃってますよね、小笠原さん」

「これはいよいよマジで困ったな…どうするか」


山本さあは渋か顔ばしちょった。

智太郎が言いよった。


「何でですか社長、事務所だって儲かりますし…」

「それはいいんだけどさ…ほら、『バーサス☆オトメガールズ』は百合萌えアニメじゃん」

「あ、そうか」

「そういやそうだったな…」


「ラジエーションナイフ」が声優どん3人はにたあとしよった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ