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遠くからはるか☆IF YOU CAN  作者: ヨシトミ
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第49話 直さんはわっぜか下品なご令嬢 

第49話 直さんはわっぜか下品なご令嬢 


直さんがおやっどと近くん喫茶店に入った。

おいはすっかい縮み上がっせえ、冷や汗ばだらだらかいちょった。

こいはまずかと、こっそい結婚した事がばれちょっ。


「戸籍…見ました、直は悠くんと結婚したんですね」

「すんもはん、挨拶もせんで…おいは挨拶もしたか、お許しも頂きたかち思もちょりもした。

じゃどん直さんが事情があいもす、そいで仕方なく…すんもはん、すんもはん」


おいは頭ば深う下げっせえ、直さんがおやっどに謝った。

こいは殴られてん仕方なか。


「直はまだアメリカにいるのですか?」

「…直さんはアメリカから逃げもした、そん先でおいと出会いもした。

アメリカん追っ手が接近しもしたけんど、おいが囮んないもした。

おいは問題んなっせえアメリカから追い出されもした、そいで今日本においもす。

また戻っつもいでおいもすけんど、直さんは今安全なとこにおいもす…」

「直は…娘は、元気でいますか…?」


直さんがおやっどん声が震えちょっ。


「直さんは…元気じゃっど、中村さあ。直さんはわっぜか元気でおっと。

向こうで離島ん子どんらに勉強ば教えっ先生ばしちょいもす。

中村さあ、どうか直さんが事こんままにしちょいてくいやんせ、たのんあげもす」

「直は元気なのですね…幸せなのですね…」


直さんがおやっどは涙ば流しっせえ泣き出しよった。

そん姿に一瞬おいがおやっどん姿が重なっせえ、切のうなってしもうた。


「直さんは向こうでやっと幸せんないもした、そん事ば思もたらおいも…。

直さんが事考えっと、お怒りば承知で挨拶もお許しもなかまんま、

こっそい結婚すっとが一番ち…すんもはんでした、中村さあ」


おいは再度深う頭ば下げた。

すっと、直さんがおやっども頭ば下げよった。


「…悠くんに会って良かったよ、娘が元気でいる事、幸せな事、

こんなに娘を思ってくれる人がいるとは…娘の事をよろしくお願いします、悠くん。

ぶしつけでがさつな娘ですがどうか何卒…」


おいと中村さあは、そいからしばらく直さんが話ばしちょった。

直さんが子どんの頃、向こうん暮らし…。

帰り際、中村さあはふと思い出しっせえ言いよった。


「そういや悠くんはなぜ、あの八百屋でアルバイトしているのだね?

あの新井の家の嫡男なうえ、笠垣の家の孫でもある」

「新井ん家は歴史こそあってん、貧しか家ですから」


おいは笑うた。

さすが中村ん家じゃっどね、おいが事も良う調べちょっ。


「歴史はあってん家も貧しか、そん上海外育ちんおいにゃ日本の学歴もあいもはん。

自分で働こち思うたら、八百屋んごた学歴不問の肉体労働しかなか。

そいでん帰っ時にゃ、ちいとでん直さんに銭ば持って帰ろち思もちょいもす。

向こうん人らも貧しか中、苦労しっせえ直さんが給金ば工面してくいちょっ。

おいも直さんが事助けたか、いつか直さんがけ死むそん日まで幸せであい続けっためん」


中村さあが迎えん車が来よった。

運転手もおったけんど、彼は自分で後部座席んドアば開けっせえ言うてくいた。


「悠くん、疲れているところを付き合わせてしまった、送りましょう」

「おおきに」


車が走り出しよっと、中村さあは言うた。


「近々にでもうちに遊びに来ないかね、妻にも会わせたい。

直にこんな立派な婿が来たと紹介したい」

「おおきに中村さあ。改めっせえきちんとご挨拶に伺いたかち思いもす」


こいはまいったど…どげんすっと悠。

ここまでん扱いは予想外じゃっど。

怒らいた方がまだ良か、殴らいた方がまだ良か、そん方が身も心も軽かと。

中村ん家はおいが事ば逃がしはせんじゃろ、新井ん家は貧しゅうてん歴史だけはあっ。

直さんと、一国ん王妃んなっほどんおなごと結婚すっち事はこげん事け…。


「よかったじゃん、兄さん」


そん夜、夜遅うに帰って来よった智太郎に飯ば用意しっせえ、中村さあん事ば話したら、

智太郎は糸んごた細か目ば無くしっせえ笑うた。

こいがイケメンアイドル声優け、智太郎んごたぶにせがイケメンち間違うちょっが。


「吉弘の家にも中村さん来たって、鎮実が電話で言ってたよ。

よかったじゃないか、女の人はちゃんと祝福されて結婚したいものだよ」


居間で新聞ば読みよっおやっども笑うちょった。


「じゃどんあん中村家じゃっど、直さんが実家は」

「いいじゃん、中村家のひとり娘なら相続する財産も莫大って事だよね」

「それでどうするのだね、悠は。この分だと中村さんはきっと婿養子を申し込んで来るよ。

中村さん夫妻と養子縁組して、中村の家に入るつもりかね?」

「そこじゃっど、おやっど」


おいもそん事ば気にしちょった。

直さんは中村ん家んひとり娘、他に跡取りがおらん。

じゃどん直さんは「はやとん国」でやっと幸せんなりよった…。


「おいは断っつもいじゃっど、そん話が出てん。

直さんが暮らしはもう『はやとん国』にあっと、ちゃんと独立しっせえ向こうで骨ば埋めたか」

「いつ帰るんだね、向こうへは」

「でもどうやって帰るんだよ、アメリカならまだしも異世界へなんかさ」


智太郎ん言葉は核心ば突いちょった。

異世界…おいにゃ現実でん日本の人らにゃ、「はやとん国」は異世界。

そう簡単に帰れるところやなか。

あん時、おいは行き先も決めんとテレポーテーションした。

そん先がたまたま「はやとん国」ちだけん事じゃった。

一日でん早よ帰りたか、じゃどんそん帰り方がわからん。


挨拶に伺うた中村ん家でん、「はやとん国」ん事は説明しきらんかった。

ただ「逃亡先」ちしか言えんかった。

どげんしっせえ「はやとん国」へ帰っとけ、おいは悩んじょった。

そんでおやっどが言いよっ通りん、やっぱい婿養子ん話が出よった。


そげんある日ん事、智太郎んパソコンば借りっせえネットばしちょった時じゃった。

おいはゲームん大会ん記事に目ば留めた。

ゲームん大会ちもんがあっち…優勝すっと賞金も出っと。

まるで夢んごた、ゲームが銭んなっち。


前ん大会ん動画ば見っ…こんレベルならおいでんいけっとかも知らん。


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