第45話 トーバーナイトはわっぜかラジオアクティブ!
第45話 トーバーナイトはわっぜかラジオアクティブ!
おいたちは庭から出っと、平たか道ば選びっせえアタん向かいんこまんか浜に出た。
直さんが手ば引きっせえ、灰混じりん砂ばきゅうきゅう踏む。
星ん太てか、月も明るか夜じゃった。
「今度さ…街が落ち着いたらデートしようぜ、うちらまだデートもしてないじゃん。
はるか先生のせいで、結局広場の公開エッチも出来なかったし」
「残念じゃったな、おいはそげんもんせんでね」
おいは鼻ば鳴らした。
ポケットに手ば入れっせえ、そん中身ば直さんが手に握らせた。
「メモリか?」
「『悠ん危なか☆ナイトンマジック』じゃっど、あとでゆっくい見やんせ」
「何だよそれ…あ、まさか!」
「お宝データ、欲しかち言うちょったが」
全部言わんでん良か…わかっど、直さんが何言いたか。
「こんゲームはナカムラ先生、おまんさが勝ち。おいが完敗じゃっど…」
そこまで言っとおいはひとつ計算ばした。
そいからいきなり動いた。
神算ん軍師でんこいはきっと計算しきらん。ほら、ひったまげちょっが。
ナカムラ先生がおなごなら簡単、すんぐ逆転じゃっど。
まさかおいに犯されっち、ちいとも思わんかったろう。
「ピュアなはるか先生」が襲わんち思うたとけ?
ゆっくい時間ばかけっせえ、漫画や乙女ゲーんごたねっとい愛し合うち思うたとけ?
出来っとならおいもそげんしたか…じゃどんこいで良か、暴力で良か、裏切りで良か。
思い切り嫌いんなってくいや、思い切り憎んでくいや。
そげんしっせえこげん男ん事なぞ、さっぱい忘れてくいや。
…さいならじゃっどね、直さん。
朝が来っ前に支度ばしっせえ家ば出っ、今朝は霧が濃か。
あいから直さんは部屋でずっと泣いちょった、部屋から声がしちょった。
ちいと振り向きっせえ、カゴ島ん白か、こまんか小屋ば見っ。
ナカムラ家住宅…今日から直さんが家。
先生ん仕事も、生徒らも、みんなおまんさに返したど、ナカムラ先生。
…帰っど悠、支配ん中へ。たぶんお迎えはもう来ちょっ。
テレ…。
「ちょっと待って! はるか先生、出かけるんだろ!」
直さんが慌てて家ん中から飛び出して来よった。
「直さん…なして」
「計算なんかじゃない…ゆうべはるか先生の気持ちが私の中に流れ込んで来た。
言わなくてもわかる。テレパシーだ、はるか先生」
「テレパシーち、こげん時に…」
困った、顔ば見んうちん行きたかったけんど…。
出かけるち…こいはさいならじゃっど、アタとかウスミとか、そげん近かとこやなかでね。
別いたら、もう二度と会う事はなかでね。
直さんはおいが焦げたかにぱんごた手に、折り畳んだ紙切れば握らせよった。
「何ね…」
おいはそん紙切れば開き、目ば丸うした。
「…出かけるついでにお使いを頼まれてくれないか、はるか先生。
これ、私も書いたから出して来て欲しい…私の夫としての最初のお使いだ、いいだろ?」
「何ち…『中村直』ち、ハンドルやなかで直さんが本名け」
おいは首筋ん抱きつきよっ直さんば、きつうきつう抱きしめた。
紙切れはあん「ナカムラ先生妄想用婚姻届」じゃった。
男んごたきっさね文字で「中村直」ちサインと押印、記入がしてあった。
本名ばネット公開ち、直さんはまこち勇気んあっおなごじゃっどね。
確かにこいじゃ子どんらも男ち思いよっが…。
「受理されたらすぐに帰って来い、パンツ濡らしながら待ってるよ…ぐひ。
ゆうべのはるか先生、男らしくてびっくりしたよ。あんな顔もするんだ…。
もう嬉しくて嬉しくて、感激で感激で、一晩泣き明かしちゃったぜ。
ぐへ、家族になるんだからまたいつでも出来るよな…今度は家でしようぜ、新婚初夜だ」
「むひょ。まこち下品なうっかたじゃっどな…じゃどん負けんが」
「お宝データ見ながら待ってる、ぶひ」
「わからんな…イフ・ユー・キャン、おいと不倫しよったおまんさに出来っとならな」
おいたちは笑いながら軽うキスばしっせえ、そいで「またなあ」ち別いた。
テレポーテーション、次はおいが番じゃっど。
…いつかまた、必ずこん家に帰っためん。
施設ん能力者が手で送還さいた、久しぶりんアメリカは昼間じゃった。
昼間んアメリカも最後ん訓練以来、まこち久しぶりじゃっど…やけん明るか。
おいは警護ん列ば作っちょっ車で連行されっせえ、また施設ん部屋に幽閉さいた。
地下で窓もなか、あっとは寝具とゲーム機、そいからトイレだけ。
やっぱいすっ事はゲームしかなか、しかもオフライン環境ん。
おかげで「サクライゼーション」がRTAは1.5秒まで縮まった。
…で、どげんしっせえこん届けば出したら良かけ。
日本人同士が海外で結婚すっには、領事館に出したら良かけんど戸籍謄本が要っと。
監視カメラん死角でそっと婚姻届ば広げっ。
しかも結婚後の苗字も空欄じゃっど、こいはおいが好きん決めてん良かち事らし。
もしずっとはやとん国で暮らすつもいなら、おいが婿入りした方が良かちわかっちょっ。
じゃどんおいは一人っ子で長男、実家ん事もあっと…まいった。
領事館に提出すっにゃちいと非現実的じゃっど。
やっぱいこん施設ば破壊しっせえ脱出すっとがおいらしか。
おいは胸ん鎖に通した指環ば握りしめた。
ここで良う見っと、緑ん石は安かパワーストーンがごた。
おかげで身柄確保ん時、ただんアクセサリーち誰も気にせんかった。
「はやとん石」はこん世界じゃトーバーナイト、燐銅ウラン鉱ち言っと。
おいが周りん職員らは、日ごと体調が悪うなりよっ。
当然じゃっど、おいが身体にゃたっぷい放射能が染み込んじょっ。
衣類や所持品もしっかい放射能汚染されちょっ。
トーバーナイトん指環もわずかながら放射能ば補充しちょっ。
今朝、三人がけ死みよった。
施設にゃすぐん調査が入っせえ、原因がおいち特定された。
おいは除染のためん、専門施設に隔離されっ事んなった。
移送ん夜、おいは婚姻届だけポケットに入れっせえ、部屋ば出た。
…直さんごめん…じゃどんおいたち結婚すっから、指環は新しゅう買い直さんと。
そん部屋んゲーム機ん前で、トーバーナイトん指環が蛍光緑ん妖しか光ば放っちょった…。
廊下で白んおとろしか装備ん男らに囲まれてしもうた。
透明んケースんごた容器に入れられっせえ、そいごとおいは車に載せられた。
こげん時にアンチ・サイはさすがにおらん。
走り出しよっ車ん中で、おいはテレキネシスんためん全神経ば集中した。
イニシエーターはなか、おいが能力で自然に含まれちょっ中性子ば核にぶつけっ。
一粒ん中性子が連鎖ば引き起こしよっ。
後ろで一瞬ピカち光っせえ、爆発んわっぜか音がしよっ…。
テレポーテーションじゃっど、悠。




