第42話 奥義「猪可以飛」…豚でん力ば合わせよったら空ば飛びよっ
第42話 奥義「猪可以飛」…豚でん力ば合わせよったら空ば飛びよっ
能力発動ん対象が直さんだけなら、きっと失敗した。
そこでおいは対象ば増やす事で避けきれんようんした。
対象は直さん、冒険者らん長、そいからおい自身…!
「…チェンジたのんあげもす、キャスト交代じゃっど」
「はるか先生…!」
直さんがおいが代わいに、教会ん屋根ん上で目ば丸うしちょっ。
死刑台で首ば部下に固定されちょっが冒険者らん長、剣ば振り下ろしよっ執行人はおい。
伝説ん剣が血ば跳ねっせえ、勇者ん首ばひっ飛ばしよっ…。
「け死んだらいけん! こいからこそ民にゃおまんさが必要じゃっど! ナカムラ先生…直さん!」
おいは教会ん屋根ば見上げっせえおらんだ。
「勇者が死んだ…なら勇者も交代するまで!」
「次の勇者はギルド第2位の俺だ! 俺ツエ伝説の始まりだ!」
「いや俺が! 可愛いエルフを奴隷ちゃんにしてハーレムだ!」
「奴隷ちゃんはロリなドワーフこそ至高!」
「はやとん族最高過ぎだろ、住民を使役してハーレムでヒキニート生活するぞ!」
そいが貴様らが本性け、言うたが。
民がおらんと国は国やなか、国は民が作っもんち…!
「カモン豚どん、祭りん時間ぞ…通信講座でん学校にゃ運動会と文化祭が必要じゃっど。
こん国ば支配すっ? 俺ツエ? ハーレム?
やってみやんせ…イフ・ユー・キャン、貴様らに出来っとならな!」
おいは動いた。
はやとん豚どんもキンコー湾が波んごたんなっせえ動きよっ…。
全面戦争じゃっど、おいたちは真っ正面から冒険者らに挑んだ。
殴っ蹴っん肉弾戦じゃった。
「違〜う!」
教会ん屋根ん上から、直さんが生絶叫が聞こえた。
「直さん…!」
「肉弾戦は効率悪過ぎだ、爆薬はあるか? 爆破だ、まとめて爆破しろ!」
直さん…ナカムラ先生が指揮してくれっとけ…何ち心強か。
おいは近くんぶういちおやっどんに聞いた。
「ぶういちおやっどん、爆薬あっけ?」
「ない、陣に置いて来た」
戦いん渦にパパ久どんや肉弘どんが島津ん面々ば見つけた。
彼らも合流しちょったとけ…ならちいとはあっかも知らん。
「パパ久どん、爆薬残っちょっけ?」
「ないな…俺らも使い切ってしまった」
「爆薬ねえ…あるっちゃあるよ」
くじ久どんはおいが胸ん指環ば指差しよった。
「まさか…くじ久どん、そいはいけんが!」
「ここははやとん国、地下にはまだまだ眠っている」
「俺らははやとん豚、光を浴びても大丈夫だ」
「肉弘どんまで…じゃどん直さん…ナカムラ先生はよそから来たもん…」
そん時、城ん窓が開きっせえ酔久どんが顔ば出しよった。
「使っちゃえよ、ミンストレル。文化祭の打ち上げには花火がふさわしい」
「酔久どん…!」
「王妃は大丈夫、はやとん民にはそういう予防薬がある」
はやとん石が出しよっ光が放射能ち言っとなら、被曝予防ん薬も出来ちょっち事。
おいがおった世界にもそげん薬はあっと、じゃどん…。
「…ヨウ化カリウム製剤け、そん薬は」
「そんなささやかなもんじゃない、隼人の民が客人のために作った薬は」
ぶういちおやっどんはヨウ化カリウム製剤ば否定した。
「この『はやとん国』は冒険者らと文化が近い、彼らには魅力あふれる夢の国だ。
幾多もの侵略こそこの国の歴史、我らはやとん豚はその度に彼らから魔法を奪ってきた。
薬ははやとん豚の知識と技術、そして奪った魔法を利用して開発された。
全てはよそからの客人を守るために…当然王妃も過去に飲んでいる、私があげた」
ぶういちおやっどんは鉄製の赤かそろばんで敵ばうっ叩くと、
胸んポケットから袋ん入った一錠ん丸薬ば取り出し、おいにくいた。
「ハルカも飲んでおきなさい」
「ぶういちおやっどん…」
「今はハルカも『はやとん国』の客人だ」
「…おおきに、おやっどん」
おいは黄色か袋ば破っせえ、中ん丸薬ば舌下に置いた。
苦か、じゃどん舌下吸収が早かと。
「敵は俺らで引き付けよう、肉弘、パパ久、出来るか?」
くじ久どんが敵ば斬りっせえ動いた。
「もちろん、ポチャ弘もデブ久もぶういちもいる」
「酔久! お前は王妃を頼む! ブタ元は子供らを」
「了解」
「ミンストレル、まずはここから離れたい。
光には耐えられても爆発の衝撃には耐えられない、頼む」
おいはうなずいたけんど、正直迷うちょった。
テレキネシスん最大は出来っ、テレポーテーションん最大はこいが初めてじゃっど。
テレポーテーションはテレキネシスよか格段に難しか、しかもそん最大ち…。
成功すっとかどげんか…自信はなか。
「出来る、ミンストレル…悠なら出来る、悠にしか出来ない事だ。
イフ・ユー・キャン、いつも悠が言っているだろう。
今日は俺らが言ってやる、ウィ・ビリーヴ・ユー・キャン…出来る、俺らは信じてる」
そげん言っと、くじ久どんはおいが肩ば叩いた。
くじ久どんも英語わかっとけ…。
「ぐへ…はるか先生早くしてくれよ、こっちにまで変態が来てしまう。
酔久総受け本になってしまうだろが…!」
直さんも城ん窓から身ば乗り出しっせえ、おらんだ。
「直さん…!」
「出来る、イフ・ユー・キャンもイフを取ればただのユー・キャン、出来る!
仮想は現実になる、なんだって出来る…!」
仮想ば現実にけ…そうじゃっどな。
「…ファンタジーは終いじゃっど」
おいは起動しっぱなしん通信ば終了した。
一旦息ば整えっせえ、神経ば集中させっ。
テレポーテーション最大、対象はおい含め全てのはやとん民。
アタからちいとでん遠くへ、カゴ島よりも、タイラ島よりも遠か、安全なとこへ…!
「奥義『猪可以飛』…豚でん力ば合わせよったら空ば飛びよっ。
おいたちに出来ん事は何もなか…!」
おいたちはやとん民ん姿は、誰ひとり残らず戦場からこつ然と消え去った。




