第31話 今夜はおいたち豚がぶうぶう言いっせえ飛びよっ時
第31話 今夜はおいたち豚がぶうぶう言いっせえ飛びよっ時
ぶういちおやっどんはカゴ島んはやとん民ば集めた。
はやとん民ん中でまこち肥えちょっとは、こんぶういちおやっどんと、
あとは離島んブタ元どんだけらし…肥満はそんままステータスと賞賛ち訳け。
つまい、そいだけこんはやとん民が貧しかち事、そいだけ虐げられちょったち事…。
「はやとん豚ども注目! 先ほど同志チェルビアッタ元王妃より通信あり。
元王妃の死刑の期日が決定した、我々はやとん豚は奪還に動く。
そのために予定していた決起集会、ならびに作戦会議を行いたい」
ぶういちおやっどんが声は良う響きよっ、こいがはやとん豚ん長け。
さすが日ごろ商売で鍛えられた声じゃっどね。
「我らはやとん豚の名にかけて!」
「今こそ戦闘民族はやとん豚の獰猛さを見せる時!」
「俺らは戦う、脂肪のために!」
はやとん民らは次々とぶひょぶひょ賛同ん声ば上げよった。
民ん決起は全員一致じゃった。
皆はお互いん意志ば確認し合っせえ、作戦会議に入って行きよった。
「まずは敵の情報を確認する。これについてはハルカが詳しいだろう、頼む」
「良か、敵は『電脳シーマンズ』ち言っと、どげん格好つけてん、
やつらは所詮ただん島津じゃっど…」
「『島津』か、そっちの方が言いやすいな」
「島津の構成員は?」
おいは島津ん知っちょっ限りん事ばはやとん民に話した。
島津んやつらは、「運営」ち中央政権より派遣されたギルドち事。
構成員は優男なじじどんのボスば筆頭に、中枢んじじどん3人…こん4人が島津ん中心ち事。
「そいから作戦について、おいからちいと提案があっと…」
おいが作戦ば提案すっと、皆は一斉に笑うた。
「…かっこ悪!」
「いや、はるか先生…それは冒険者らで言うところの『戦い』のタブーだろ」
「俺たちはやとん豚は、いきなり敵中に突っ込んで行っても大丈夫だけど?」
「新兵もおっ、全員が全員歴戦ん猛者ち訳やなか…ここは安全に行きたか。
おいが誘導すっ、任してくれんね」
皆は「ぶう」ち唸りよった。
「安全か…確かに俺たちには、前の時のナカムラ先生のような強力な軍師がいない。
子供らもいる、安全には行きたい。てか、今回の軍師はもうハルカで良くね?」
ぶういちおやっどんが隣で、スナック菓子ばぼりぼり食いっせえ言うた。
「またおやっどんはデブん余念がなか…強力な軍師ち何ね?
前ん時、ナカムラ先生はどげん作戦立てよったね?」
「『釣り野伏せ』、『敵中突破』、『捨てがまり』…」
「どこん島津ね、そい」
「…ナカムラ先生は囮を使った誘導作戦が得意だったよ。
小型の再生機を利用して声で誘導する『ナカムラボイス再生』、
それからナカムラ先生自身の囮と組み合わせた、奥義『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』…」
そいはおいが「イケメンボイス再生」と「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」じゃっど。
くそ、おいが前にナカムラ先生がやっちょったとは…。
ナカムラ先生め、さすが天才ゲーマーじゃっどね。
考えっ事は廃神がおいと同じじゃっどな。
「ナカムラボイス再生」ち何ね、録音しといたナカムラ先生が声ば再生け。
…せめてイケメンアイドル声優ん声ぐらい再生しやんせ、ナカムラ先生!
作戦が決行は死刑ん執行ん前夜ち決まりよった。
はやとん豚どんは黒か装備で、カゴ島ん火山岩が影に隠れちょった。
「…もしもし、あのですよう…こちら『イフ・ユー・キャン』」
おいは対岸がアタん方向に向こっせえ通信ば始めた。
テレキネシス、直さんへ。
「ぐへ…シブメンエロボイスかよ、素敵な夜だな」
「通信講座ん時間じゃっど、こいから添削ばすっ…良かけ?」
「…もう身体が火照ってたまらないよ、パンツも濡れ濡れだ。
入って来なよ、遠くから…イフ・ユー・キャン、出来るもんならな」
何ち会話ね、ちいともかみ合うちょらん。
まこちやらしかおなごね、そげん事言われたら男は断りきらんでね。
こげん色ん黒か、ヒゲんむきむきんおんじょんむすこも太てかなっど…!
「おまんさこそ、イフ・ユー・キャン…やれっもんならな」
おいは通信ば終了すっと、隠れちょっはやとん豚どんに言うた。
「…行っど、貴様ら」
「了解、いつでも命令よろしく」
「おいたちははやとん国んはやとん豚、やっど豚どん! 貴様らなら出来っ!
不可能はなか、今夜がおいたち豚がぶうぶう言いっせえ飛びよっ時…!」
攻撃開始ん命令ば出しっせえ、おいは能力んレベルば上げた。
「ぶう!」
はやとん民らはかけ声と同時に、上空ん一斉発砲ばしよった。
テレキネシス、おいはたくさんの走っ弾ば能力で誘導した。
「すげっ! 魔弾かよ、はるか先生」
「安心しやんせ、どげん撃ってん魔王は来ん…。
ぶういちおやっどん、おいは行っど。通信はおやっどんに届けっ、皆に伝達ばよろしく」
おいはいつもん黒かズボンに上半身裸ち、いつもん格好じゃった。
そこに肩掛けんこまんかかばんと、支給されたライフルば背負った。
テレポーテーション、走っ弾ん行きよっ先へ。
おいはアタん街ん教会ん屋根ん上に出た。
そっから走っ弾ば眺めっ。
晴れた夜ん風が紫ん雲も、おいが髪もさらさら流しよっ。
テレキネシス、最大…行っど、はやとん豚ん怒りば島津に。
島津んやつらは城ば占拠しちょっ。
こん国に城なんぞ要らん、弾は真っ直ぐに島津ん陣営へ侵入しよった。
クレアボヤンス…見えっど、聞こえっど。
島津ん衛兵が悲鳴ば上げっせえ、ひとり、またひとり凶弾に倒れっとが。
「狙撃…!」
「どこからだ?」
島津ん陣営は蜂ん巣ば突いたごた、急ん騒がしゅうなりよった。
イケメンボイス再生…おいは再生機ば操作しっせえ、音声データば再生した。
そん声ば島津ん陣営に送っ。
聞きやんせ、今夜はわっぜかスペシャルイケメンボイスじゃっど…。
「…はい、島津ん皆さんこんばんは。今夜は貴様らに特別な授業ばしたかち思いもす。
ちいと難しか事喋っど…必死でついて来んね、出来っとならな。
イフ・ユー・キャンじゃっど、貴様ら!」
おし、つかみはOKじゃっど。
島津んやつらは狙撃手ば血眼んなっせえ探しちょっが。
まこちおかしかね、狙撃手はカゴ島んおっと。
まさかあげん遠くからち、ハンドラーがおっち誰も気付きよっ訳なかろうもん。
おいはここじゃっど、見つけてみやんせ島津。
貴様らに出来っとならな、イフ・ユー・キャンじゃっど…!




