第23話 通信講座「殺戮戦士」…こいでおまんさも脳筋無双戦士に!
第23話 通信講座「殺戮戦士」…こいでおまんさも脳筋無双戦士に!
「ぶういちおやっどん、おやっどんは『ナカムラ先生』に会うた事あっとけ?」
「いや…数年前の事とは言え、先代の頃の事だから」
「俺たちもないね、俺たち地域の長も代替わりしてるし」
ヒユガんデブ久どんもそいに続きよった。
「ウスミの先代がわりと小柄な人とは言っていたが…俺も詳しくは知らないね」
ポチャ弘どんはつけ揚げばもきゅもきゅさせっせえ言うた。
デブ久どんがそいに気付いて騒ぎよっ。
「あー! ポチャ弘ずるい! 自分だけそうやってつけ揚げぼりぼり食べて、
俺らにアドバンテージつけようとしてる!」
「むっ、阻止せねば! かあさん、もっと菓子だ! 菓子!」
おいが隣でぶういちおやっどんが嫁じょば呼ぶ。
「ナカムラ先生」は小柄な人け…意外じゃっど。
おいはむっきむっきん大男ば想像しちょった…。
「で、はるか先生はどこでそんな戦い方を学んだんだ?
通信講座…『殺戮戦士講座』、これであなたも脳筋無双戦士に! んな訳ないか」
「そりゃないだろブタ元、どこの国に殺しや戦闘を教える通信講座がある?
軍人か、それかどこかの組織にでも所属していたのか?」
ポチャ弘どんが口ばまだもきゅもきゅさせっせえ聞きよっ。
「おいは施設におった、能力者らん訓練施設じゃっど…。
アメリカち国は特殊能力者ん活用に熱心で、おいもそん能力者ん一人じゃった。
施設でいろんな訓練ば受けたど…射撃とか組み手とか。
おいが用途はたぶん戦闘員…じゃどん途中で訓練が中止されてしもうた。
あとはずうっと部屋でゲームばっかいん廃人じゃっど…」
他ん能力者らん訓練はほとんど知らん。
ただ、身体ば使う訓練しちょっとはおいだけじゃった。
捜査用途んやつらでん、そげん訓練はせんち言うちょった。
おいが訓練内容はまるでレンジャーん訓練ごたもんじゃった。
昇ったり降りたり、撃ったり、殺したり…野外訓練もあっと。
サバイバル術もそこで習うた。
そんサバイバル訓練が途中で引き揚げ命令が出て、以降ん訓練は無しんなった。
理由はわからん、おいに不備はなかはずじゃった。
直さんが言うちょっ事は、案外合っちょっかも知らん。
ナカムラ先生はこまんか身体ばしちょっち言う。
やっぱいレンジャーんごた訓練ば受けたとじゃろけ。
いくら水道やガスや電気んライフラインがあってん、普通ん男じゃ生き残れん。
島ん自然は厳しか、灰も降っ。
勇者気取りん冒険者らも来っ、戦わにゃいけん。
「そいから、おいは城んもんに『はるか』やなかで『ゆう』ち思われちょっ。
おいが『悠』はまず『はるか』ち読まん、普通は『ゆう』じゃっど」
「まあそうだろうな、『はるか』だと女の子の名前だ」
ぶういちおやっどんはおかわりん菓子ばつまんだ。
「コードネーム『あらい ゆう』、おやっどんらもコードネームじゃっど。だからよ…」
「あ、俺の『ポチャ弘』は本名。『中村ポチャ弘』」
「俺もだよ、『中村デブ久』」
「『中村ブタ元』…俺もだ、通名はぶういちだけじゃね?
ぶういちは首都の商人で長老だし人と会うから、さすがに原住民名はな…」
本名じゃったか…こいは意外な。
ぶういちおやっどんは菓子でもごもご言いっせえ、説明してくいた。
「『ぶういち』だから通名は『秀一』、若い子らはネタ切れでカタカナのDQNネームが多いけど、
中高年以降の原住民は原住民名と通名、2つの名を持つ人が都市部に結構いる」
「ふうん…」
通名ち、まるで在日外国人がごたもんじゃっどな…。
おいもアメリカじゃ在米外国人扱いじゃったから、良うわかっ。
「はるか」は現地人にゃ読みにくか、大体訛っせえ「ハーカ」、略っせえ「ルカ」、「ハル」、
んで施設ん職員だけはちゃんと「ハルカ」。
見た事はなかけんど、たぶん書類上はコードネームん「IF YOU CAN」。
おいたちは決起で合意し、各地域で話し合いばしっせえ、
また集まっ事、そんためん連絡はおいがすっ事ば決めっせえ解散した。
話し合いん後、おいはついでに買い物ばすっ。
石鹸、シャンプー、歯磨き粉、トイレットペーパー…消耗品など。
そいから米、粉、砂糖、塩…食料も。
「ハルカ、これハルカにおすすめだよ。どうだい?」
ぶういちおやっどんは店ん奥ん戸棚から、こまんか箱ば取り出した。
「何ねこいは」
「じゃん! はやとん国の職人でも熟練中の熟練が作った、切り子の指環!
めったと見ない商品だよ、超取って置き!」
そん指環はこまんか緑ん石がついちょり、金属ん生地に細かな切り子ん細工がしてあっ。
光が良う反射しっせえ、ダイヤんごたきらきら光っちょっ。
きれいじゃっど。
「じゃどんおやっどん…こげんこまんか指環、おいが太てか指にゃ入りきらんでね」
「やだねハルカは、これは女性用だよ…国王の死で王妃さまも未亡人となった。
今こそアタックする時、いつの時代も男は惚れた女に指環を贈るもんさ」
「は? 何言うちょっ」
「安くするよ、アタのぶういち商店…有限会社六白商会は恋する男の味方、応援価格だ」
おやっどんは指環ん小箱ばおいが胸に押し付けた。
そこに他ん客が来よった。
テレポーテーション、おいは店ん奥ん居間へ隠れた。
「原住民らの長老、ぶういちだな?」
客は知らん冒険者ん男らじゃった。
「何だね、客じゃないなら帰っておくれ」
ぶういちおやっどんは知らんぷりしっせえ、出した商品ば片付けだした。
「我らは運営より派遣された管理者ギルド『電脳シーマンズ』、
少しばかりそなたと話がしたい」
「何の話がある、我々原住民がお前らに話す事など何も無い」
「仕方ない、ご同行願おう」
男らはぶういちおやっどんが腕ば掴んだ。
「…付き添い1名、良かけ?」
おいは店ん出て男ん腕ば掴み返した。
「何だ貴様は」
「…『ゆう』で良かよ、ぶういちおやっどんが子分じゃっど。
連行すっまでもなか、話ならここで聞くど。ん?」
にい、おいは笑うた。




