第21話 ばばどん結婚してくれんね!
第21話 ばばどん結婚してくれんね!
「王の死…失踪は王家ではもちろん問題になっているが、まだ外部には公表していない。
ただ、冒険者らにとって、この世界はゲームの世界か何からしい。
ログイン情報みたいな感じで情報が共有されているかも」
「なら失踪も回線落ちんごたもんじゃっどな」
「はるか先生はちっとも落ちてくれないけどな」
直さんはにやりとしっせえ、腹ん毛ば指で下んたどった。
おいだって男、そげん事もしたか。
じゃどん直さんは、毎夜んごた運ばれて来っ人形やなか。
おいが初めて見た生きちょっおなご、大事な人…。
おいにこげんゲームば仕掛けっおなごじゃっど、最後までしたら直さんはきっと飽きっ。
どこにでんおっただん男、欲望だらけん男ち。
おいはそいが怖かと。
そいならずうっと、ゲームんままでおった方が良か。
「…直さんはおいとしっせえ、どげんすっと?」
「えっ」
「そいで終わいけ? おいはどげんしたら良かけ? 辛かと」
「まさか。はるか先生は一生私のものにする…誘惑して、完全に魅了して、
この先なんて絶してやる。したらそれで終わり? ふざけんな、女の戦はそこからなんだよ…!」
直さんはおいが唇んすぐそばで言うた。
おいはポケットん中から畳んだ紙切れば取り出すと、直さんに握らせた。
「これ…まさか、地下室のあれか? ナカムラ先生妄想用婚姻届…。
てか『新井悠』て、はるか先生ガチで書いたのかよ? 誕生日は3月20日か、うひょ。
本籍地は東京都千代田区霞ヶ関か…へえ、鹿児島県じゃないんだ? 意外」
「ナカムラ先生が妄想は終いじゃっど、おいが書き換えっ。
いつか直さんがそげん気んなりよったら、そこん記入しっせえ出したら良か。
おいが本籍地で出せば、添付書類も直さんが戸籍謄本だけで済む」
直さんは目ば閉じっせえ、うふうふ笑うた。
「…本当にそんな事が出来たらいいのにな。
ありがとう、はるか先生…嬉しい、とても嬉しい…。
大事にとっとくよ、いつかこれを出せる日が本当に来るまで」
「直さん…」
「あ、でもさ…もしそんな日が来たとして、その時はるか先生に彼女いたらどうするんだ?
はるか先生、ある日突然既婚者になってしまうんだぞ? いいのか?」
おいはうーん唸っせえ、空ば仰いだ。
「…構わん、直さんがきっとこん先絶してくれっ」
集会ん日時が決まりよったら、また連絡すっち言うておいたちは城ん庭で別れた。
戻った火山島で腹に手ば当てっせえ、臍ん下ん毛ばさりさり撫でっ。
直さんが指ん感触がまだ残っちょっ…熱ちかと、熱ん軌跡じゃっどね。
血が集まって来よっ、おいはズボンば緩めた。
日中ん昼寝ん時間に連絡ば取っ、まずはアタんおやっどんから。
おやっどんにウスミやヒユガ、離島ん長ば紹介してもらう。
「冒険者らがタイラ島まで来るとは…急がねばな」
「タイラ島は遠か、しかも純血んはやとん族がいよっ」
「はやとん族自体が稀少な上、純血となると…時間の問題か。
私も他の地域の長たちと話したい、出来るかハルカ?」
「出来っ、おいがそばんおったら。今から会いん行く、良かけ?」
テレポーテーション、おやっどんが店ん奥に。
「来たか…まあ上がってくれ、さっそく始めよう」
おやっどんが茶と菓子ば運んで来てくれ、おいたちは茶の間で隣り合うた。
「これがウスミの長でこれがヒユガの長…離島ん長はタイラ島のウドの父親がやっている」
「なるほど…どうりで詳しかち思もたら」
おいはおやっどんから写真ば見せてもろっせえ、対象ん確認ばした。
そいから彼らん位置情報も確認すっ。
「もしもし、あのですよう…」
テレキネシス、おいは声ば送信すっ。
最初はおやっどんが知り合いんヒユガん長からじゃっど。
彼は畑で農作業ばしちょった。
「なんだ? 声がするぞ?」
「すまんなデブ久、私だ…アタのぶういちだ。
今日はうちのお客さんから力を借りて、声だけ送信している」
おやっどんが隣から声ば付け足す。
「新井悠ち言いもす、おやっどんにはいつも通販ば御世話んなっちょいもす」
「デブ久…直接会って話したいのはやまやまだが、これから話す事は少々危険だ。
だからハルカの力を介した声だけで通信したい、いいか?」
「ぶういち、それって少々じゃねえだろ? 旧友に会いに来ないとか相当やばい内容だろ。
もちろんあれについてだろうな?」
「もちろん」
おいが力ば間に、二人の長はぶひょぶひょ言うちょっ。
「ヒユガん長さあ、こないだタイラ島に知らん冒険者らが来よったど」
「ハルカ、見たのか? てか何だその訛りは、昔の隼人の族か?」
「こいは『おっかん語』じゃっど、おいがおっかんが訛り…冒険者らはおいが見たど。
とりあえずおいがうっ殺したけんど、あいだけやなか。たぶんもっとようさんおっと」
「ヒユガにも今までとは違う冒険者らが来ている」
「何ち、ヒユガもけ!」
そうじゃっどな、あん遠か離島んタイラ島にまで来ちょっ、
北部んヒユガにも当然来ちょっ。
「ヒユガん長さあ」
「デブ久でいいよ、ハルカ」
「んじゃデブ久どん…こいはタイラ島んウドんおやっどからん提案じゃけんど、
各地域で話し合うてから、代表で集会ばしたか、そげん言うちょった」
「離島のブタ元とは話がついてるって事か、そしてぶういちにも…。
なら、あとはポチャ弘のウスミだな…ハルカ、連絡取れるか?」
「出来っ、今でん良かど」
クレアボヤンス、おいはヒユガんデブ久どんが映像と音声ば収集した。
デブ久どんはぱっと見、ぶよぶよんのデブらしか。
「…驚いた、ハルカはずいぶん立派な身体してるんだな。
ぶういちはまた太ったな…くそ、負けんぞ。俺こそがはやとん国一のデブだ」
「デブ久には負けん、原住民の長老に選ばれるほどだ。俺こそ国いちばんの豚!」
「アホな…行っど、おやっどんら」
胸ん内でこちらのデータとデブ久どんがデータば統合すっ。
テレキネシス、おいはウスミんポチャ弘どんが許へ音声ば送信した。
ポチャ弘どんは家で焼酎ばお湯で割っちょった。
デブ久どんが漁が終わっせえ、仕事上がりち教えてくいた。
「あのですよう、こんにちは…ウスミん長さあ」
「ポチャ弘久しぶり! 俺だ、ヒユガのデブ久!」
「アタのぶういちwithハルカ見参、ポチャ弘に話がある」
おいが話しかけっと、おやっどんらがぶひょぶひょ割り込んで来よった。
ウスミんポチャ弘どんはおいが顔ばまじまじ見よった。
「ハルカ? 初めて見る顔だな」




