第17話 さすが爆裂妄想ナカムラ先生じゃっどね
第17話 さすが爆裂妄想ナカムラ先生じゃっどね
「中村 直」…一見本名んごた見えっけんど、本名ばオンに公開すっ訳なか。
こいはハンドル、ナカムラ先生が苗字と直さんが名じゃっど。
「N2」ち「Nao Nakamura」ん事け。
妄想乙、ナカムラ先生!
つまり、ナカムラ先生は直さんと結婚ば考えちょった。
…知りとなかった。
ナカムラ先生、おまんさどげん男ね?
おいにちいと似ちょっむきむきんおんじょ、そこまではわかっちょっ。
じゃどんこげん色ん黒か、丸顔ん、ヒゲんおんじょやなかろうもん。
こげん部屋まで作っほどじゃっど、わっぜかハードコアゲーマーじゃっどな。
施設ん部屋ですっ事がまいんち、ゲームしかなか廃人とは訳が違うちょっ。
ナカムラ先生、おまんさは廃人が誇りば傷つけよった。
憎か、そい以上に苦しか…。
こん火山島暮らしじゃ、日には焼けちょったとか。
日本人、日系人じゃったら髪も目も黒か。
顔はおいにちいと似ちょっなら、きっと濃か。
ヒゲはあっとけ? たぶんあっと、こん島じゃ剃刀は貴重品じゃっど…。
おいん頭からナカムラ先生が影がもう消えん。
地下室に子どんらからんプリントば取り寄せ、添削しちょったら直さんが起きて来よった。
タビタん英語ん添削じゃった。
「…あ、はるか先生が先生の仕事してる」
「こいでんおいはナカムラ先生が後任じゃっど」
直さんは添削ん書き上がったプリントば手に取った。
「…きれいな字だね、はるか先生は」
「おかげでおなごち思われちょっ」
「てか何だこの英訳問題の例文は、『お前は俺の気持ちなんてちっともわかってない』。
どこのBLだよ、『愛してる、ただそれだけお前に伝えたくて…』? ぶひょ」
「あ、こいは腐女子んタビタ用じゃっど。that節やっちょっ。
ほら、こん和訳問題ば見やんせ、『以下の例文をツンデレ攻め風に和訳しなさい』。
こん方がタビタも覚えやすかと」
おいが大真面目に説明してん、直さんは声ば無くっせえ笑うちょった。
「くそ笑える! でも確かにそれなら勉強も楽しいな。
そうだな、公の教育機関じゃないもんな。有志による私的通信講座だもんな。
何でもありだよな…例えそれが偏った思想でもいい訳だ」
「は? 偏った思想ち、どこん組織ね。おいは政治結社やなかでね」
「偏った思想とは、私ら『はやとん国』の人民だ」
直さんは笑みば消しっせえ、硬か顔んなった。
「勇者気取りの冒険者らから見れば、『はやとん国』の人民解放は十分に偏った思想だ。
抑圧するに値する危険思想だ…冒険者の作った夢の国を転覆させるのだからな」
本棚んファイルば取り出しっせえ、直さんは皮肉ば言いよっ。
「何しちょっ?」
「確かこのへんだった気がするんだが…おっ、あったあった。
中村先生の最高に恥ずかしい妄想グッズ」
そいは日本の婚姻届じゃった、白紙じゃっど。
どきどきすっ…。
さすが爆裂妄想ナカムラ先生、こげんもんまで用意してあっとは。
「中村先生はこの白紙の婚姻届を見つめながら、好きキャラとか好き声優と…むひょ。
エロ本よか恥ずかしいグッズだね、ぷくく。それから極めつけはこれ!」
直さんは一冊んノートば差し出した。
中ば見っと、乙女んごたポエムがぎっちりみっちり書かれちょった。
初めて見っ、ナカムラ先生が文字…。
わっぜ汚かあ! じゃどんこいが普通ん男ん文字じゃっどね。
「ぶひょ。こいは確かにげんなかあ…黒歴史じゃっど。
何ね、こん『お前の中で俺がエクスプロード』ち…」
「『私を自由に出来るのはあなただけ』、どうだ!」
おいたちはナカムラ先生がポエムん臭か部分ば抜き出しっせえ、
声ば作っせえ朗読し合い、げらげら笑い合うちょった。
そんうちに目が合うて、キスばしっせえ、ゲームん続きにちいと没頭した。
最後まですっとは簡単、じゃどんそいじゃ面白うはなか。
おいは男、攻略したか生きもん。
おいたちは外ん出っと、夜ん静寂ん中に割り込んだ。
黒か波ん砕けっ音しか聞こえん。
火山が今夜も噴火すっこまんか音しか聞こえん。
「お、また噴火だ…」
直さんは火山ば見上げた。
「直さん、おまんさほんなこつ帰っとけ? 危なか」
「…帰るよ。王が死んでも王妃は王妃、国と結婚するとはそういう事だ」
「行かせとなか、出来ればこんままずっと島んおって欲しかと。
直さん…おいはおまんさとなら、こん火山島暮らしも楽しかち思もちょっ…」
「何それ、同棲誘ってんの? お断りだね」
おいが首筋に直さんが腕が絡まっ。
「えっ…いや…」
「送って、はるか先生。もう帰らないと、国を守らないと」
おいは直さんば抱きっせえ、ちいと迷うた。
城ん帰すち事は、わっぜか危険じゃった。
じゃどん直さんはこん「はやとん国」が王妃、おいだけんおなごやなか。
憎かおなごじゃっどね、おいにこげんせつなか思いばさせっせえ。
そいが直さんち、おいが思もおなご。
テレポーテーション、城ん直さんが部屋へ。
ひとりきりで火山島に戻って来っ。
シャワーば浴びっと、おいは地下室へ降りた。
確かここじゃっど、あんファイルは。
あった、ナカムラ先生が妄想グッズ。
直さん、おまんさはおいに孤独ば気付かせよった。
おいに嫉妬ば植え付けよった。
国王なんぞどうでん良か。
おまんさにナカムラ先生ち男がおっ事がどげんしてん許せん。
おいだけんもんにしたか、おいだけ思もて欲しか。
苦しか…!
おいはナカムラ先生が妄想グッズん婚姻届ば出しっせえ、そいに記入した。
いつか直さんに突きつけちゃっ。
ナカムラ先生、おまんさん妄想は終いじゃっど。
おまんさんおなごはもう他ん男んもんじゃっど…!




